【業界研究】サービス業界の現状・動向・課題について

業界の現状

ウォークマン vs iPod

もともと携帯音楽プレーヤーといえばソニーのウォークマンが元祖であり、1979年の発売以来、市場では圧倒的な強さを誇っていました。画期的だったのは野外に音楽を持ち出すというスタイルで、ソニーは製品の製造・販売で利益を上げるというビジネスモデルを構築し、より高性能・高機能な製品の開発に力を注ぐことで、世界をリードする王者として君臨したのです。

しかし、2001年に発売されたアップルの携帯音楽プレーヤー「iPod」の登場で状況が一変しました。iPodは瞬く間にウォークマンのシェアを追い抜き、市場を席巻するようになったのです。BCNランキングによると、2006年の携帯音楽プレーヤーのシェアはアップル:72%、ソニー:13%、その他:15%。たった5年でここまでの差が開きました。

なぜこうなったのでしょうか。

それはアップルが携帯音楽プレーヤーという製品だけを市場に投入したわけではないからです。製品だけを開発しても技術力で勝る当時のソニーに勝てるわけはありません。そう考えた彼らはインターネットを利用した音楽配信サービスと簡単に使えるソフトウェアを整備することに着目しました。

つまり、好きなときに好きなところで好きなだけ音楽をダウンロードできるという「サービス」の部分に圧倒的な付加価値を付けたことが勝因となったのです。

サービス業界とは何か

ひとくちにサービス業界といってもさまざまな業種があります。そして、時代の変遷とともに新しいサービスが次から次へと生まれては消えていき、サービス業の定義をさらに困難なものにしています。

ただ、総務省の「日本標準産業分類」では、第一次産業(農林水産業)でも第二次産業(製造業・鉱業)でもないそれ以外が広義のサービス業と規定されています。つまり第三次産業のことです。では、産業分類をみてみましょう。

日本標準産業分類(平成25年10月改定)

第一次産業

A. 農業、林業
B. 漁業

第二次産業

C. 鉱業、採石業、砂利採取業
D. 建設業
E. 製造業

第三次産業

F. 電気・ガス・熱供給・水道業
G. 情報通信業
H. 運輸業、郵便業
I. 卸売業、小売業
J. 金融業、保険業
K. 不動産業、物品賃貸業
L. 学術研究、専門・技術サービス業
M. 宿泊業、飲食サービス業
N. 生活関連サービス業、娯楽業
O. 教育、学習支援業
P. 医療、福祉
Q. 複合サービス事業
R. サービス業(他に分類されないもの)
S. 公務(他に分類されるものを除く)
T. 分類不能の産業

2013年度に改定された上記の産業分類では全20業種に分類されています。このうち第三次産業はF〜Tの15業種で、この15業種が広義のサービス業となります。ただし、F(電気・ガス・熱供給・水道業)、S(公務)、T(分類不能の産業)の3つをサービス業に分類するのは少し苦しいため、この3つを除外したG〜Rの12業種をサービス業と呼ぶのが一般的なようです。

よって、サービス業界とは、情報通信業、運輸業、郵便業、卸売業、小売業、金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育、学習支援業、医療、福祉、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)になります。

基本情報

  • 市場規模:286.7兆円
  • 労働者数:2,610万人
  • 平均年齢:38.0歳
  • 平均勤続年数:8.1年
  • 平均年収:528万円

サービス業界は市場規模、労働者数ともに巨大な数字になっていますが、これはサービス業が日本のGDPの大部分を占め、雇用の面でも大きなウェイトを占めているということであり、経済全体に与える影響が大きいことを意味しています。

1991年から2010年までの経済的低迷期間を「失われた20年」と呼びますが、この20年間における産業別のGDP・就業者の推移をみると、製造業の生産額が50兆円近く減少し、就業者も600万人ほど減っているかわりに、第三次産業の生産高は60兆円近く増加し、就業者も760万人ほど増えているという結果になっています。

このような現象は日本に限ったことではなく、欧米といったいわゆる先進国全体に見られる傾向で、経済成長とともに付加価値や就業者のシェアが第一次産業→第二次産業→第三次産業へと移っていく現象は、ぺティ=クラークの法則として知られています。つまり、社会がある程度成熟すると、人々はより高度なサービスを望むようになるのです。

仕事内容

サービス業界の仕事内容は多岐にわたります。

そもそもサービスという言葉自体、非常に曖昧なものです。広辞苑では、サービスとは奉仕や給仕・接待と説明されていますが、日本では、「サービスする」という言葉が「無料にする」という意味になることもあり、純粋な機能以外の意味も含む言葉となってしまっているのも問題です。

ただ、サービス業界の仕事にはいくつかの特徴があるのも事実で、それは無形性と同時性という2つの面に大別されます。

無形性であること

これは、サービス業が目に見えない価値を提供することを意味しています。とうぜんながら、サービス自体は製品のように触って確認したりすることができません。

同時性を持つこと

これは、生産と消費が同じ場所・同じ時間に発生することを意味します。たとえば、バスや地下鉄といったサービスは、利用者がサービスを受けると同時に、バスや電車を運行してサービスを提供しなければなりません。サービスというものをどこかに在庫として保管することは不可能なのです。

つまり、こういった無形性や同時性といったサービスの特徴が、サービス業を分かりにくいものにしているのであり、定義や公的な標準がほとんど存在しないのもそのような事情があるためなのです。

業界シェアランキング上位3位

1位:電通:2兆3,093億円
2位:博報堂DYホールディングス:1兆0,959億円
3位:セコム:8,222億円

平均年収ランキング上位3位

1位:日本M&Aセンター:1,412万円
2位:GCAサヴィアン:1,331万円
3位:電通:1,191万円

業界の動向

GEのインダストリアル・インターネット

世界中でIoT(Internet of Things)が加速しています。IoTとは直訳すれば「モノのインターネット化」となりますが、さまざまなモノがインターネットでつながることにより、従来以上に便利に生活ができるようになることを意味しています。

そのようなIoTをいち早く取り入れたのが米GE(ゼネラル・エレクトリック)です。GEは、2012年に「インダストリアル・インターネット」を提唱し、産業機器から得られる稼働状況データの収集、分析を行うソリューションの提供を始めました。

発電プラント等の製造メーカーとして名を馳せてきた同社ですが、今後は製造業からサービス製造業へと移行し、ハードウェア開発だけではなく顧客サービスというソフトウェア面での強化も図っていく考えです。

トヨタのTコネクト

トヨタは、2014年に自動車向け情報通信サービス「Tコネクト」を発表しました。

これは、ビッグデータ(※)を利用して、ナビゲーションの地図情報の自動更新、交通情報、ルート検索、音声案内、盗難車両の追跡等を行うもので、これにより同社は顧客の走行状況、または旅行、飲食、音楽などの個人情報を収集することが可能になります。

これまで自動車産業は、製造を主体とするいわば「売りっぱなし」の産業でありましたが、今後はサービス面を強化して、事業自体がサービス業化していくものとみられています。

※ビッグデータ:事業に役立つ知見を導出するためのデータのこと。オンラインショッピングの購入履歴、ソーシャルメディアにおけるプロフィールやコメント、GPS情報等が挙げられる

市場動向

サービス業界の市場規模は286.7兆円

総務省統計局「サービス産業動向調査」によると、2014年度のサービス業の年間売上高は前年比1.6%増の286.7兆円で、2年連続の増加となりました。

内訳をみると、「学術研究、専門・技術サービス業」が前年比7.1%増、「運輸業、郵便業」が同3.7%増、「宿泊業、飲食サービス業」が同2.5%増、「不動産業、物品賃貸業」が同2.0%増、「医療、福祉」が同1.0%増と5業種で増加しています。

一方、減少は3業種で、「生活関連サービス業、娯楽業」が同2.5%減、「教育、学習支援業」が同0.7%減、「サービス業(他に分類されないもの)」が同0.4%減となっています。

業界の課題

サービスを中心とした考え方へのシフトチェンジを

製造業を中心にその生産の中心は新興国に移っています。

デジタル化が進む以前は、機械製品の開発を筆頭に、匠の技ともいえるような高度な技術が必要でした。複雑な機械と電気制御をすりあわせる必要があったのです。しかし、デジタル化の進展とともに要素は半導体とソフトウェアに置き換わり、高度な技術は不要となりました。

そして、部品同士の組み合わせが容易になったことで、製品の組み立て工程のモジュール化が一気に進行していきました。つまり、このモジュール化が新興国の参入を促したのです。新興国にとって、高度な技術という参入障壁はなくなり、安い人件費を武器に一気にシェアを拡大することが可能となりました。

高品質な製品の大量生産が日本の売りであり、経済的発展をもたらす原動力となっていたことは事実です。でもそんな時代ではなくなりました。高性能な製品を作っても、ニーズがなければ利幅の薄い商売にしかならず、多くの日本企業が業績を悪化させる結果となりました。

今後は、製品を開発するのであれば、サービスを含めた新しい価値を提示できるものでなければなりません。従来の経営戦略はあくまで製品中心で、サービスはあくまでおまけのような存在でしたが、今後はサービスを中心とした考え方にシフトする必要があるのです。

業界の今後の将来性

ますます重要になるサービス業

サービス業には成長の可能性がたくさん残されています。

サービス業界こそこれからの産業であるといわれて久しいですが、いいのか悪いのかは別として、サービス業の需要は増し、重要性も増加しています。ただ、サービス業には多くの困難が存在していることも事実です。そして、それと同時にそういった問題への取り組みもはじまったばかりで、解決方法等ほとんど確立されていないという状況でもあります。

しかし、これは逆に言えば、解決することさえできれば大きな成長が見込め、莫大な利益となることを意味しています。大切なのは、何が問題なのかを理解することです。それさえ分かれば答えはほとんど見つかったも同然です。後は、具体的な解決方法を提示することに注力し、それに対して絶え間ない努力をするだけというシンプルな構造が浮かび上がります。

これからの経済は、サービス業界のみならずすべての分野で、サービスという目に見えないもののクオリティをいかに上げるかにかかっているのです。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『サービス業に就職したい』久保亮吾

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