就職浪人と就職留年の違いとは|就職留年のメリット・デメリット

就職浪人する割合は?

大学を在学中に就職活動をしなかった人や、内定に至らなかった人を、一般的に「就職浪人」と呼びますが、意図的に就職浪人をする事を選ぶ方や、就職氷河期と言われた時期に内定がもらえなかった方など、一口に就職浪人と言っても事情は様々です。

日本の大学卒業者の就職率の推移を見てみると、バブル崩壊後に徐々に下がりはじめ平成12年から平成17年にかけて、卒業者に占める就職者の割合は全体の50%台という戦後最悪の数字が続く時期もありました。

その後、リーマンショックや震災などの事件などを経て、現在までに徐々に就職率も回復してきました。平成27年と平成28年には70%を超え、現時点では「売り手市場」とも言われています。

では視点を変えて、今度は卒業後に進学も就職もしなかった人の割合を、文部科学省が発表している平成27年と平成28年の大学卒業者数から調べてみると以下のような統計結果である事が分かりました。

平成27年 卒業者数564,035人

進学者数62,238人
就職者数409,710人(正社員以外を含む)
他進学者15,776人
一時的な仕事に就いた者11,730人
上記以外の者58,102人

平成28年 卒業者数559,678人

進学者数61,521人
就職者数418,095人(正社員以外を含む)
他進学者15,460人
一時的な仕事に就いた者10,184人
上記以外の者48,866人

 

調査不能な人や死亡などの要因以外で見ると、以上の結果となっています。

この中から仮に、大学卒業後に就職も進学もしなかった「上記以外の者」を就職浪人として考えた場合、平成28年では全体の約11%、平成27年では10%弱の人が就職浪人となっていると考える事ができます。

もちろん、ここに書くことができない特殊な要因で就職も進学もできなかったという方もいらっしゃるでしょうし、数字だけで判断するのも早合点になるかもしれません。

しかしながら、大学卒業者に占める就職率は7割程度という事実もあり、5万人前後の方が就職も進学もしなかったという事を考えると就職浪人をする方は決して少なくないと言う事ができます。

就職浪人と就職留年の違いは?

さてでは、就職浪人をする人の数についてお話しさせていただいたところで、一つ明確な区別をしておきましょう。ここまでのお話で、当然のように「就活浪人」という言葉を使用していますが、それとは別に「就職留年」という言葉もあります。

この2つの言葉の意味には明確な違いがあり、それぞれのメリットやデメリットにも大きな違いがありますので、ご説明させていただきます。

「就職浪人」は、「浪人」という言葉は、江戸時代に生まれた「牢人」という言葉が転じたものであって、「生まれた地を離れて、他国を浮浪、放浪する人」という意味として使われてきました。

このような意味合いから、大学を卒業するまでに就職をしなかった、またはできなかった人の事を就職浪人と呼ぶことが一般的ですが、元の言葉の意味から就職浪人という言葉があまり良いイメージとして認識されていないという現実もあります。

対する「就職留年」を簡単に申し上げるなら、卒業することなく、大学に在籍しながらもう一年間、就職活動に専念するようなことを指します。

もう一年とは言っても、大学に在学しながら就職活動を行うということ自体に期限があるわけではありませんので、自分の目的を達成するために2年、3年と就職留年をされる方もいらっしゃいます。

ただ何故、就職浪人や就職留年をされるのか気になるところではありますが、理由は様々なようです。

「内定がもらえなかった。」
「希望の会社に入るために新卒というカードを持って再度チャレンジしたい。」
「思っていたような企業ではなかったことが後になって分かった。」
「大学在学中にしか経験できない事や、他にやりたいことができた。」

このような理由から就職浪人や就職留年という選択をされる方がいらっしゃいますが、中には内定をもらっているにも関わらず、それを蹴ってまで就職浪人や就職留年を選ぶ方もいらっしゃるほどです。

となると、次に気になってくるのが「そこまでして就職浪人や就職留年を選ぶことには何かメリットがあるのか?」ということです。

では続いて、そこまでして就職浪人や就職留年を選択することに、どのようなメリットやデメリットがあるのかお話させていただきます。

就職浪人のメリット・デメリット

就職浪人は何も遊ぶための期間ではありませんので、しっかりメリットを享受して、就職活動に活かしたいところです。

まずは、就職浪人をするメリットから見てみましょう。

就職浪人のメリット1:時間が自由である

就職浪人は、就職留年との違いでも申し上げましたとおり、大学を卒業して次の就職活動をしていくことですので、大学在学中に授業や論文などに割いていた時間を、今度は自分の為に使うことができます。

先ほども申し上げましたが、この時期は時間が自由になるからと言って、遊ぶ時間を増やしてしまっては就職浪人をする事を選んだ意味がありません。

この時期に次の面接に向けた考察を行う、資格の勉強をする、自分の得意分野を伸ばすために時間を費やすなど、これまでにできなかったことを行えることは就職浪人としての最大のメリットとも言えます。

就職浪人のメリット2:就職浪人には費用をかけずになれる

就職留年と違って大学は卒業しますので、親に迷惑をかけてまで行う必要がないという点はメリットになります。

むしろ、時間が自由になるという点も考えると、アルバイトや社会人インターンシップを募集している会社で、働く経験をしながら給料を貰うといった選択をしている方もいらっしゃいます。

費用がかからないだけではなく、就職浪人という期間に「稼ぎながら経験を得られる」という可能性を秘めている事は立派なメリットでしょう。

就職浪人のメリット3:希望の企業に再チャレンジできる

就職浪人という選択をされた方の中には「どうしても就職したい希望の会社がある」という事を理由にされている方もいらっしゃいます。

内定をもらったにもかかわらず就職浪人を選ぶ方に多いようですが、一度は就職活動を経験しているということも、そのまま強みとなりますし、希望している会社があるのであれば、再チャレンジする事は少なくとも熱意を伝えられることに繋がります。

以上が就職浪人をすることの主なメリットとなりますが、次にデメリットについてお話させていただきます。就職活動はやはり在学中に内定をもらって、就職活動成功と言えるのであればそれに越したことはありません。

しかしながら、自分の意志で就職浪人を選ぶ限りは、以下のようなデメリットがある事も認識しておく必要があります。

就職浪人のデメリット1:大学というサポート者はいない

就職活動においての武器として重宝されているのが「新卒」というカードです。就職浪人となると、新卒というカードがない状態での就職活動を行うことになりますので、不利か有利かで言うと「不利になる」とも言われがちです。

また、大学に用意されているキャリアセンターや就職課といった学校のサポート体制も利用できなくなる事も大きなデメリットとなります。

就職浪人のデメリット2:マイナスイメージとして取られがちである

就職浪人を選んだ場合、そもそもマイナスイメージに見られることを前提として考えておいた方が良いでしょう。

就職浪人をする事を選んだ理由や目的がはっきりしていればプラスに見てもらえる事もあるかもしれませんが、それに期待するのではなく、「マイナススタートである」という意識の下で就職活動を行った方が、様々な対策やリスク回避といった行動を自ずと起こせるでしょうし、自分が置かれた状況を甘く見る事もなく、今すべきことも自然と分かってくるでしょう。

就職浪人のデメリット3:学生の時以上のスキルが求められる

就職浪人はマイナススタートとは申し上げましたが、企業の面接の担当者はわざわざ就職浪人を選んだ理由や、就職浪人中に何をしたのかといった事を必ず面接の際に聞かれるかと思います。

忘れてはいけない事は、「就職浪人の期間に行えることはたくさんある」ということです。

この期間に得る事ができるものをしっかり考え、「就職浪人は不利」というデメリットを「自分のスキルアップに使える時間を得た」というメリットに変えるような努力や工夫が必要だという認識をしておくことは大切ことです。

就職留年のメリット・デメリット

では続いて、就職留年をする事を選んだ場合のメリットとデメリットについてです。

次の年も大学生として就職活動を行っていく事を考えると旨味もあれば、不利になる点もあるという事は認識しておきましょう。

就職留年のメリット1:就職活動を行った経験を持っている

一度就職活動を経験しているという事は大きな財産と言えます。

新年度に入って早々に就職活動を始められる方もいらっしゃるかと思いますが、経験という財産さえあれば、現役の大学生よりもスタートダッシュは間違いなく早いため、少しの間、前回の就職活動においての反省や、自分を見つめ直す時間を設けても良いかもしれません。

就職留年のメリット2:新卒として就職活動に望める

就職留年という選択をされる方で「新卒」というメリットを意識しない人はいないのではないでしょうか。やはり新卒かそうでないかについては、就職の際に少なからず影響は出ますので、持っておきたいカードです。

ただし、一度選考に通らなかった人に関して、二度目の募集をしていない企業もありますし、同じ企業に再チャレンジしたとしても選考に通るとは限らない事は肝に銘じておく必要はあります。

就職留年のメリット3:応募できる企業の範囲が広く保てる

どうしても入社したいという企業が特になかったとしても、応募できる企業が多くある事に越したことはありません。

これは、数打てば当たるというレベルの話ではなく、就職留年をしてまで就職活動をしっかり行おうと考えたのであれば、選択肢が多く用意されている方が気持ちにも余裕を持てますし、それにより、前回の就職活動の経験を存分に活かす事もできます。

逆に言ってしまえば、気持ちに余裕があるからこそ、一点集中で思いっきり就職活動に臨むこともできます。余裕を持つという事は、自分に足りない物を補うためにも必要なことですから、応募できる企業は多いほうが良いと言えるでしょう。

就職留年も就職浪人同様、やはりメリットだけではありません。就職留年という選択をした場合のデメリットも見てみましょう。

就職留年のデメリット1:自助努力が絶対に必要になる

これまでに、同い年で共に就職活動を行ってきた仲間は、就職留年をするといなくなると考えた方が良いでしょう。

就職に成功して社会人デビューをした人、就職は諦めて別の道を歩む人、そもそも進学をしていく人など様々ですが、これまでのように常に仲間がいるという安心感は無くなります。

仲間がいる事は精神的支えになるばかりか、企業の選考情報の交換や面接の練習相手になってくれたりもしますので、本当に大事な存在だと言えます。就職留年を選ばれるのであれば、次の年は孤独な戦いになる事は覚悟した方が良いでしょう。

就職留年のデメリット2:学費などの費用が嵩む

就職留年を選んだ場合の最大のデメリットとも言えるのが、「学費が必要になる」ということです。半年間の学費で済む大学もあるようですが、それでも就職が成功していたら不要だったはずの学費は必ず必要になります。

親と話し合った結果、生活費だけでも自分で稼ぐようにと言われるケースも考えられます。5年目の学生生活ともなれば、それなりに費用がかかるものだという事は自覚しておく必要があります。

就職留年のデメリット3:選考が有利になるとは考えない方が良い

新卒というメリットがあるというお話と矛盾するように思えますが、就職留年を選んで新卒というカードを持ったことが、選考に有利になるとは考えない方が良いでしょう。

そもそも、履歴書の学歴を見れば、就職留年だという事はすぐに分かりますし、就職留年をした理由がハッキリしていないと採用となる可能性は低いかもしれません。

もちろん、就職留年であろうが中途入社であろうが、あまり厳しい選考基準を設けていない企業もありますが、新卒というカードはあくまで選択肢を広げておくものであって、就職活動の肩書として立派に機能する物とは考えない方が良いでしょう。

就職浪人すると不利になるの?

就職浪人と就職留年の違いについて分かったところで、実際のところ、これらの選択をすることは不利となるのかという点はハッキリさせておいた方が良いでしょう。

今回は就職浪人に絞って、不利となるかどうかを考えてみます。

まず、既にお話させていただいた就職浪人となった場合のメリット、デメリットを再度一覧で比較してみましょう。

メリット

・時間が自由である
・費用をかけずになれる
・希望の企業に再チャレンジできる

デメリット

・大学というサポート者はいない
・マイナスイメージとして取られがちである
・学生の時以上のスキルが求められる

 

就職浪人にはメリットもありますが、大学に在籍していたころに受けられたサポートが受けられなくなるという事実が既にマイナススタートであることを考えると、決して就職浪人が有利であるとは言えません。

また、就職浪人を選んでまでもう一年就職活動をしているという事は、企業側が最も気にするところだとも言えます。

元々就職浪人という立場自体が、一般的には不利だと思われているところがありますので、それを裏付けるかのように就職浪人をしている間に、何かを経験したわけでもなく、資格を取得したわけでもない、つまり何もしていなかったということになると、就職活動の再チャレンジはほぼ失敗に終わると考えた方が良いでしょう。

こういった事から、有利か不利かという2択で考えた場合には「不利」の方向に天秤の針は振れると考えるの自然だと言えます。

就職浪人すると不利になってしまう理由

就職浪人としてのデメリットだけを抜粋して不利かどうかをお話させていただきましたが、不利となってしまうにはれっきとした事実と根拠もあります。

まず、最初にお話させていただいた「大学の卒業者数に占める就職浪人になる人の割合」を思い出してみるとその答えも見えてきます。

進学も就職もしなかった、若しくはできなかった人の割合は平成27年と平成28年でおおよそ10%ほどという紛れもない事実がありますが、これは逆に言うと「就職も進学もできなかった1割にいるのが私です」という事実でもあります。

「ネガティブに捉えた結果ではないか」と思われるかもしれませんが、会社の経営側の人間として考えた場合に、これらの数字としてハッキリしている事実を、企業側が果たしてプラスに受け取ってくれるかと考えると、少々考えづらい事です。

 

では、今度は企業側が中途採用者に求める事を考えてみたいと思います。

そもそも、新卒採用が狙えない時点で中途採用にも的を絞っていく必要があるわけですから、就職浪人の方の活動は最初から間口は狭くなるという現実も待ち構えています。

中途採用に至る社員に対して企業が求める事、それは「業界での経験」です。

中途採用は基本的に同業の転職者に有利であることが多く、仮にインターンシップの経験があったからと言っても、同じ業界で1年でも2年でも実務経験を積んだ転職者の方を企業が選ぶのは当然だと言えます。

せっかく自分の将来を確実にするつもりで就職浪人を選んだところで、様々な面での障害やライバルが新たに出現するのだということは、目を背ける事ができないものです。

しかしながら、だから就職浪人の再チャレンジは諦めるべきかというとそうではありません。上記までは一般論としての話であり、働き方改革や少子高齢化が進む今、喉から手が出るほど人材を欲している会社もあります。「多少は妥協しましょう」と言うことではなく、自分の能力を別のジャンルに置き換えて活躍できる場もあるはずです。

就職浪人で休学するのはアリ?

「就職留年か、就職浪人か」ということで悩まれるときに、もう一つの選択肢として検討されるのが「休学」です。

上記までと重複するものもありますが、休学をした場合の主なメリットは以下のようなことです。

・新卒での就職が可能
・就職留年と違い学費がかからない場合が多い
・最低限の学校のサポートは受けられる
・学校に在籍しながらスキルアップのための時間が取れる。

他にもメリットは考えられますが、休学したという事実は履歴書に記載しなければいけませんので、次回の面接の際には必ず「休学中は何を?」と高い確率で聞かれるでしょう。

自分自身へのメリットがあるかどうかを考えると、休学をするのであれば「大学に籍を置きながらでもやりたい事がある」という明確な理由がない限り、その選択は単なる時間と費用の無駄、そして就職活動失敗のキッカケにもなるかもしれません。

つまり、就職浪人や就職留年と同様に「休学を良しとするかどうかは自分次第」といった結論になります。大学にもよりますが、休学自体は、学費がかからずに在籍していられるという大きなメリットがありますから、留学や中長期的なインターンシップを理由に休学をされる方がいらっしゃるのも事実です。

「就職浪人」
「就職留年」
「休学」

今回、上記の3つを選択肢としてお話しさせていただいていますが、どれにも共通して言える事は「目的が明確で、それを達成するために自分を律することができるかどうか」です。

この点がハッキリしていないようですと、どの選択をしたところで、無意味に自分を不利な立場に追い込んでいるだけという、まさに本末転倒な結果なるかもしれないのです。

この点については、最終判断をする上でも絶対に忘れてはいけないことだという事を肝に銘じましょう。

就職浪人して成功するためにすべきこと

就職浪人や就職留年、休学といった方法を選ばれる方で、遊ぶ時間が欲しいといった事を理由にすることはまずないでしょう。

上記までにお話させていただいたとおり、「新卒扱いというメリットを享受したい」「どうしても希望する会社に再チャレンジしたい」「インターンや留学を経験してから改めて就職活動に臨みたい」など、就職浪人という選択をする理由は個々人で違います。

では、ここまでお話しさせていただいた内容から、就職浪人をして成功するために必要な心構えをまとめさせていただきます。

・就職浪人である間は遊ぶ期間ではない事をしっかり自覚する。
・資格取得、面接対策、短期留学など就職浪人の間にできることは積極的に行う。
・就職浪人は不利な点やリスクを伴う事を肝に銘じる。
・次の選考では必ず内定を勝ち取るつもりで、就職浪人をする目的はハッキリさせる。

考えてみれば当然のことだと思われるかもしれませんが、就職浪人という孤独な世界に飛び込むのであれば、自分をしっかり律する必要があり、それは簡単なことではないかもしれません。

しかしながら「デメリットをメリットに変える」という考え方に当てはめるのであれば、「就職浪人という不利な戦況ではあるが、自分の能力を高めるための貴重な時間を手にした」と考えるのも大事なことだと言えるでしょう。