【業界研究】コンビニ業界の現状・動向・課題について

業界の現状

コンビニエンスストアとは

コンビニエンスストア(以下「コンビニ」)は、もともとアメリカで生まれた小売業態で、営業時間の制約なしに手軽にちょっとした日用品を購入したいという消費者ニーズに応えるかたちで展開されていたものです。あくまでスーパーマーケットの補完がその目的でした。

日本でのコンビニは、経済産業省の定義により「飲食料品を扱い、売場面積30平方メートル以上250平方メートル未満で、営業時間が14時間以上のセルフ方式の店舗」となっていますが、その出現は1960年代後半ともいわれており、その後1974年にセブン-イレブンが豊洲(江東区)に1号店を出店したことをきっかけに急成長を遂げたのです。

コンビニの特徴

コンビニの最大の特徴は、フランチャイズ(以下「FC」)というシステムを導入していることです。

FCとは、本部が加盟店に商標の使用を許諾し、経営指導を行って、一定のロイヤルティを得るシステムになります。現在では、コンビニ業界各社すべてにおいてブランドイメージを統一した均質的運営が行われています。

主要コンビニ一覧

・セブン-イレブン:コンビニ業界最大手。2017年度の店舗数は19,423店
・ローソン:14年に成城石井を子会社化
・ファミリーマート:10年にam/pmを吸収合併、16年にサークルKサンクスと経営統合
・サークルKサンクス:04年にシーアンドエス、サークルK、サンクスの3社が合併。16年にファミリーマートと経営統合し消滅
・ミニストップ:店内ファストフード販売に強み
・デイリーヤマザキ:13年に山崎製パンが吸収合併
・セコマ:北海道地盤。セイコマートなど
・スリーエフ:神奈川県中心に首都圏で展開
・ニューデイズ:駅ナカで展開
・ポプラ:中国地方が地盤。その他に「生活彩家」「くらしハウス」「スリーエイト」など

基本情報

㈰市場規模:6兆7,811億円
㈪労働者数:27,077人
㈫平均年齢:39.5歳
㈬平均勤続年数:12.8年
㈭平均年収:571万円

市場規模が大きいわりには平均年収が少ないという印象を持つかもしれませんが、500万円を超える平均年収は小売業のなかでは高水準に位置します。そして、大手を筆頭に業績が安定しているというのがコンビニ業界のウリの1つでもあるので、キャリアアップとともに年収は大きく増えていくようです。ただ、実際の現場(店舗)での長時間労働等が問題になることもあり、もしかしたらそのあたりの事情が平均勤続年数の決して長いとはいえない数字に表れているのかもしれません。

仕事内容

コンビニ業界の職種は、主に総合職、店舗開発職、商品開発職、システム職、人事職等に分かれますが、新卒で入社する場合はFCシステムの仕組みを学ぶためにまず店舗勤務からスタートします。そして、店舗スタッフや店長として店舗運営を経験しながら、スーパーバイザーを目指すというのが基本的な流れになります。スーパーバイザーの仕事は、加盟店に対して情報提供や経営指導を行うコンサルティングになりますが、ここまで習熟してはじめて、店舗開発や商品開発といった上級職へのキャリアアップが可能になります。

業界シェアランキング上位3位

1位:セブン&アイ・ホールディングス:2兆5,292億円
2位:ローソン:1兆9,453億円
3位:ファミリーマート:1兆7,219億円

平均年収ランキング上位3位

1位:セブン&アイ・ホールディングス:719万円
2位:ファミリーマート:641万円
3位:ローソン:636万円

業界の動向

ファミマとサークルKサンクスの経営統合

2016年にコンビニ業界3位のファミリーマートと、ユニーグループ・ホールディングス(サークルKサンクス)が経営統合し、新しくユニー・ファミリーマートホールディングスが誕生しました。

この新会社とセブン-イレブン・ジャパン、ローソンの3社で業界の9割のシェアを占めることになり、さらには、三菱商事がローソンを子会社化する予定があることからも、コンビニ業界の競争はさらに激しくなると予想されています。

対スーパーマーケット対抗策

市場規模は微増傾向にあるコンビニ業界ですが、それ以上に好調なのが食品スーパーマーケットです。

セブン-イレブン・ジャパンは、好調な食品スーパーマーケットに対抗して全国を20地区に分け、従来とは違う方式で地域にあった店舗づくりを実験的に行なっています。また、ファミリーマートは、2014年から「きちんとキッチン」の名称で、関東の店舗を中心にランチ限定で出来立ての弁当を販売しています。

証明書のコンビニ交付

マイナンバーカードを利用して、市区町村が発行する住民票の写しや印鑑登録証明といった各種証明書をコンビニのマルチコピー機から取得できるようになっています。

これは、現住所と本籍地が異なる場合でも取得可能で、年末年始を除く毎日6:30〜23:00の時間帯に対応しています。

市場動向

セブン-イレブンが空白地区に進出して市場拡大

経済産業省「商業動態統計」によると、2015年の新店を含む全店売上高は10兆9,957億円となり前年比5.5%の増加となりました。セブン-イレブンが、空白地区であった高知県、青森県、鳥取県に進出するなど、大手の積極展開が市場の拡大につながったと考えられています。

また、日本フランチャイズチェーン協会によると、既存店売上高伸び率も同0.9%の増加となりました。これは、コーヒーのカウンター販売や弁当・惣菜等の中食が好調に推移したことが大きな要因となっています。

業界の課題

コンビニ業界は飽和状態

2016年4月時点の全国店舗数は前年同月比2.9%増の5万4,931店となりましたが、業界内では5万店を1つの飽和点とする考え方が主流となっています。

今後出店をする場合、人口の多い都心部ならある程度の収益確保も期待できますが、新規店舗が既存店の売上や客を奪っているというデータもあり、これ以上の出店は難しい状態であるといわざるを得ません。

また、24時間営業の食品スーパーマーケットも増えており、スーパーマーケットの補完を目的とするコンビニの独自性維持が困難な状況となっています。ドラッグストアと融合した複合的スーパーマーケットも登場しており、コンビニはそのビジネスモデルのあり方を問われる段階にきているのです。

加盟店オーナー不足

人口の減少にともないコンビニ業界でも人材不足が問題になっています。

とくに、近年において難しくなっているのが加盟店の新規オーナーの確保です。また、経営の厳しさや高齢化を理由に加盟店を離脱するオーナーも増えており、経験者、未経験者問わず加盟店オーナーの確保が業界の課題の1つになっています。

業界の今後の将来性

新たなビジネスモデルの創出を

コンビニ業界は、FCシステムのもとで出店数を増やし、既存店の売上減をカバーし合うことでその市場を拡大させてきました。しかし、出店数を増やすというビジネスモデルに限界点がきたこともあり、大手を中心に大きな変革の波が押し寄せています。そして、それを受けてのコンビニ各社の施策は以下の2点になります。

商品・サービスの多様化

コンビニ各社は、商品・サービスを多様化させることで、売上の減少を食い止めています。具体的には、公共料金収納代行サービス、銀行ATMの設置、医薬品の販売、酒類の販売、書籍の取り扱い、プライベートブランドの開発等があげられます。また、近年の地産地消の流れを汲んで、地域や季節に合わせた商品を取り扱う店舗も出てきています。

海外進出

大手各社とも、積極的に海外に進出しています。セブン-イレブンはタイやマレーシアなど16カ国・地域で約4万店を展開し、ファミリーマートは3千店強を台湾で出店しています。ローソンは海外展開がやや出遅れたものの上海市を中心とする中国市場に進出し、出店を増やしています。

東日本大地震の際に、被災地のコンビニが地域のライフラインとしての役割を果たしたことからも、コンビニの存在が私たちの暮らしになくてはならないものになっていることが分かります。しかし、ビジネスモデルとしてみた場合には、㈰、㈪ともにこれからのコンビニ業界を支える大きな柱にはなれていないというのが現状です。

コンビニ業界の模索は当面続くものとみていいでしょう。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『コンビニ業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』根城泰、平木恭一

コンビニ業界の動向、コンビニ各社の経営戦略、仕組みと課題、今後の展望について、ちょっとした裏話等を交えながら簡潔に解説してあります。FCの場合、本部と現場(店舗)という分業体制が基本になるため、その両方の仕事を俯瞰的に把握することが難しくなってしまうのですが、この本ではそういった点も踏まえて書かれているので、業界研究の入門書として最適な1冊といえるでしょう。