【業界研究】石油業界の現状・動向・課題について

業界の現状

石油業界について

石油は、ガソリンや灯油のように燃料として用いられるだけではなく、火力発電において電気エネルギーに変換して利用されたり、または化学製品の原料として使われるなどさまざまな場面で用いられ、私たちの暮らしになくてはならないものになっています。

この石油の開発や精製、販売に携わる産業を総称して石油業界と呼びますが、石油業界は石油元売り系と石油開発系の2つに大別されています。

石油元売り系

原油を精製して石油製品として販売する会社のこと。

  • JXホールディングス:石油元売り最大手。新日本石油と新日鉱ホールディングスが統合
  • 東燃ゼネラル石油:元売り2位。東燃とゼネラル石油が合併
  • 昭和シェル石油:元売り3位。株主にはサウジ国営アラムコも
  • 出光興産:元売り4位。利益力に定評あり
  • コスモエネルギーホールディングス:元売り5位。販売に強み。筆頭株主はアブダビ政府系投資会社

石油開発系

探鉱・開発を通じて石油・天然ガスの生産を行う会社のこと。

  • 国際石油開発帝石:国際石油開発と帝国石油が統合
  • 石油資源開発:新潟、北海道での探鉱、開発、生産
  • 三井石油開発:三井グループ17社により設立

石油産業の4つの特徴

輸入産業であるということ

石油製品の多くは原油から精製されますが、日本は資源的に乏しい国であるため、そのほとんどを海外からの輸入に頼っています。2015年度のデータでみれば、99.6%が輸入であり、国内原油はわずか0.4%しかありません。

連産品であるということ

石油製品は、原油を蒸留という方法で精製して作ります。ただこのとき、特定の製品だけを作り出すことはできないので、ガソリン、灯油、経由、重油等の石油製品が同時に生産されるのです。このような1つの工程から2つ以上の製品を生産する物質のことを連産品と呼びます。

装置産業であるということ

日本の石油産業は、自国で消費する石油製品は自国において精製するという消費地精製主義を貫いてきました。それは、国家の安全保障やエネルギー戦略という大局的見地によるものでしたが、とうぜんのこととして、原油の備蓄、精製、貯蔵等の設備には多額の投資が必要となります。

エネルギーの主役であるということ

高度経済成長の原動力となったのが、石炭に取って代わった石油です。1973年の時点では1次エネルギー*の77.4%もの割合を石油が占めており、現在でも、その割合は少なくなりましたが、約46%を占めています。

※1次エネルギー

自然から採取されたままの物質を源としたエネルギーのこと。石炭、石油、天然ガス、水力、原子力など。

基本情報

  • 市場規模:28兆9,939億円
  • 労働者数:12,873人
  • 平均年齢:42.5歳
  • 平均勤続年数:18.8年
  • 平均年収:810万円

まず目につくのは28兆9,939億円という市場規模の大きさですが、それに劣らずそれ以外の数字もすべて高水準になっています。平均勤続年数が長く平均年収も高いということは、石油業界の仕事内容や労働環境に従業員の多くが魅力を感じているということであり、さらには業界大手になればなるほど勤続年数と年収は増加する傾向にあります。

ただ、やはりネックになるのは近年の大手を中心とした業界再編の活発化で、大手に勤務していても先行きが不透明という状況に不安を感じる社員が増えているようです。

仕事内容

石油業界の仕事は主に探鉱、開発、原油調達、生産、販売に分かれています。

探鉱

地下の石油・天然ガスを探す仕事です。掘削する前に、地質調査や航空写真・衛星画像調査、そして重磁力探査や地震探査などの物理調査を行う必要があります。

開発

探鉱の結果から商業生産が可能と判断された油層・ガス層の開発作業を行う仕事です。具体的には、原油・天然ガスの生産、貯蔵・出荷施設等の設計建設、パイプライン敷設等の作業が中心になります。

原油調達

その名のとおり産油国から原油を調達する仕事です。そして、国内外の原油需要を踏まえて、生産の計画立てることも重要な任務の1つになります。

生産

原油からガソリン・灯油・軽油・重油などの各製品を製造する仕事です。製造はプラントで行いますので、プラントの管理や改善といったメンテナンスも担当します。

販売

特約店・販売店が運営するSS(サービスステーション)の経営サポートや販売戦略立案を行う仕事です。また、産業向けに工業用燃料、航空・船舶用燃料、潤滑油等の販売も行います。

業界シェアランキング上位3位

1位:JXホールディングス:10兆7,457億円
2位:出光興産:5兆0,349億円
3位:コスモ石油:3兆5,377億円

平均年収ランキング上位3位

1位:JXホールディングス:1,157万円
2位:昭和シェル石油:935万円
3位:国際石油開発帝石:930万円

業界の動向

加速するM&A

1990年代後半には12社あった国内石油元売り会社ですが、1999年の日本石油と三菱石油の合併を機にM&Aが進み、2010年の新日本石油と新日鉱ホールディングスの経営統合をもって5グループ体制となっていました。

しかし、近年においてさらなるM&Aが加速しています。

出光興産は2015年、昭和シェル石油と経営統合で合意*し、JXホールディングスも2016年に東燃ゼネラル石油との経営統合を発表しました。これにより5グループ体制は3グループ体制へと移ることになりましたが、JXと東燃の2社で石油業界の半分のシェアを占めるようになるため、事実上の「1強」体制であるとの指摘も出ています。

こうした動きの背景には、政府が2009年に成立させた「エネルギー供給構造高度化法」の存在があります。これは、石油元売り各社に対して2017年3月末までに生産能力の1割を削減するように促しているもので、

つまり、石油エネルギーの海外依存率を下げて非化石エネルギーの推進を図りたいという政府の思惑が、石油業界を再編へと駆り立てているのです。

*経営統合で合意したはずの出光と昭和の2社ですが、2017年3月の時点でも合併は暗礁に乗り上げたままです。一方、JXと東燃は2017年4月より経営統合して、JXTGホールディングスとなりました。

市場動向

国内石油需要の減少続く

国内では、人口減少や輸送機器の燃料性能向上、さまざまな産業における燃料転換等の影響もあり、ガソリンをはじめとする燃料油の需要は長期的な減少傾向にあります。

燃料油の販売数量は2009年度に2億klを下回った後も減少傾向にあり、2015年度には1.8億klに落ち込んでいます。東日本大地震以降、原子力発電所の停止を受けて火力発電設備の需要は高まっていますが、電源としての石油の構成比率も大幅な低下が見込まれており、今後も石油需要の減少は続くと考えられています。

原油の供給は世界的に過剰傾向

米国シェール革命や中国の成長鈍化等などで、原油の供給は過剰傾向にあります。

2015年に64.10ドル/バレルでピークを迎えた原油価格は、2016年に30.43ドル/バレルまで下落しました。そして、石油元売り大手は「石油の備蓄の確保等に関する法律」に基づく備蓄在庫で多額の損失を抱えたこともあり、その決算にも影響が出ています。

レギュラーガソリンの店頭価格も、2015年の145.10円から2016年に112.50円へと下落しています。

業界の課題

太陽光、地熱、バイオマスの注目度が上昇

1次エネルギー構成のなかで二酸化炭素排出問題等の理由から、よりクリーンな原子力やLNGへの切り替えが進んできましたが、東日本大地震の影響で原子力の見直しが図られています。

政府は、2014年に閣議決定された「第4次長期エネルギー計画」のなかで、石油について備蓄等の危機管理の強化や原油の有効利用等の推進が不可欠とした上で、石油産業の経営基盤の強化が必要との政策を示していますが、それと同時に2040年には1次エネルギー供給量のうち石油が33%にまで落ち込むとの試算も出しており、近年では、太陽光、地熱、バイオマス等の新エネルギーに注目が集まっています。

こうした事態を受けて石油業界大手各社は、人員削減を含めた大幅なリストラや物流の合理化を進めており、先行きが不透明な状況となっています。

業界の今後の将来性

石油元売り大手は総合エネルギー企業化を推進

エコカーの普及や太陽光発電などの住宅の省エネ化、発電所燃料としての石油の地位低下などを背景に、今後も国内の石油製品の需要は減少が続くとみられています。

石油業界大手各社は、石油がいずれ枯渇する資源であるということを念頭に入れた上で、メガソーラーや電力発電事業へ相次いで参入しており、石油以外のエネルギー関連の製品・サービスも取り扱う総合エネルギー企業化を図っています。

原油の可採年数はあと56年

原油は有限の資源ですが、2017年の時点であと56年分の埋蔵量があるとされています。これまでは原油の可採年数は30年といわれてきましたが、開発技術が向上していることもあり、その結果として埋蔵量が増えています。

したがって、今後もこのような技術革新が続けば56年で掘り尽くされるということもなくなるかもしれませんが、天然資源ですので、いずれピークを迎えることは確実です。

ただ、原油以外の石油資源にも目を向けるのであれば、オイルサンド、オリノコ重油、オイルシェールと選択肢が存在しており、それらの資源の埋蔵量を合わせるとその可採年数は200年以上になります。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『よくわかる石油業界』垣見裕司

1997年に初版が発行されて以来何度も改訂を重ねてきたシリーズの最新版になります。2017年1月31日時点での情報に基づいているとの注意書きがあるとおり、激動の時代を迎えている石油業界の2017年時点での最新情報が簡潔にまとめられていますので、これからこの業界への就職を目指すという学生の方々には業界研究本としてうってつけの1冊となるでしょう。

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