【業界研究】コンサルティング業界の現状・動向・課題について

業界の現状

コンサルティング業界の歴史

コンサルティング業は、企業や各種団体のさまざまな課題を抽出して、中立的な立場から改善策の立案・提言を行い、課題を解決へと導いていくことを業としています。

そのはじまりは古く、1800年代後半に米国の技術者であったフレデリック・テイラーが工場での現場作業に科学的マネジメントを取り入れたことで工場の生産力が回復し、それ以降さまざまな工場に同様の手法の導入支援を行なうようになったことがきっかけだといわれています。

そして、世界最初のコンサルティング事務所は、1886年に米国で生まれた「アーサー・D・リトル」でした。これは、マサチューセッツ工科大学のアーサー・D・リトル博士によって設立された会社で、“Side-by-Side”(常にクライアントとともにあれ)というコンセプトを掲げ、効率化という観点でコンサルティングを行いました。

日本では、1966年にボストン・コンサルティング・グループの日本支社が誕生したことがその発祥になります。コンサルティングという文化はアメリカの文化であり、日本には経営者がコンサルタントに助言を求めるという土壌はありませんでしたが、外資系企業の日本進出にともないコンサルタントのニーズが徐々に増えて、コンサルティングビジネスが活性化するようになったのです。

コンサルティングの分類

コンサルティング業界は、その成り立ちと得意分野によって大きく6つに分類されています。

戦略系

  • マッキンゼー・アンド・カンパニー:世界最大級のコンサル会社
  • ボストン・コンサルティング・グループ:マッキンゼーに並ぶ大手グループ
  • ベイン・アンド・カンパニー:欧米中心に30カ国に拠点
  • A.T.カーニー:金融、エネルギー問題に強み

国内系

  • ドリームインキュベータ:ベンチャー企業の育成に強み
  • 船井総研ホールディングス:流通、サービス業向けコンサル
  • 日本能率協会コンサルティング:製造業に強み
  • タナベ経営:中小企業向け

人事系

  • マーサージャパン:世界40カ国以上に拠点
  • ウイリス・タワーズワトソン:人事制度改革や報酬設計など
  • コーン・フェリー・ヘイグループ:リーダーシップ開発に強み
  • リクルート・マネジメント・ソリューションズ:社員教育に強み

シンクタンク系

  • 三菱UFJリサーチ&コンサルティング:三菱UFJファイナンシャル・グループ
  • 野村総合研究所:金融系のシステム開発に強み
  • 三菱総合研究所:官公庁受注に強み
  • 日本総合研究所:三井住友ファイナンシャル・グループ

IT系

    • アビームコンサルティング:元はデトロイト・トウシュ・トーマツのグループ
    • 日本IBM:ソフトウェアとコンサル事業
    • アクセンチュア:女性のキャリア支援活動など

会計事務所系

  • EYアドバイザリー:アーンスト・アンド・ヤング・グループ
  • プライスウォーターハウスクーパース:M&A、事業再生に強み
  • デトロイト・トーマツ・コンサルティング:デトロイト・トウシュ・トーマツ・グループ
  • KPMGコンサルティング:グローバル事業支援に強み

基本情報

  • 市場規模:6,463億円
  • 労働者数:8,270人
  • 平均年齢:34.2歳
  • 平均勤続年数:5.5年
  • 平均年収:601万円

市場規模、平均年齢、平均勤続年数の数字からわかるのは、コンサルティング業界がまだ未成熟な業界であるということです。日本での成り立ちは1966年と決して新しいものではありませんが、それでも業界が成熟しきっていないということは、日本企業のコンサルティング活用度がいまだに低いとみるのが自然です。

アメリカのコンサルティング市場が10兆円規模となっていることから、アメリカの約3分の1のGDPを持つ日本のコンサルティング市場は3兆円程度までは伸びる余地があると考えることも可能で、何はともあれ今後大きく伸びていく業界であることに間違いはありません。

仕事内容

コンサルティング業界の職種は主に、コンサルタント職とオペレーション職に分かれています。

コンサルタント職

企業や団体などの依頼を受けて、問題点を調査・分析し、解決策を見つける仕事です。コンサルタント各社はある程度の専門分野に分かれてはいますが、それでも依頼内容は多岐にわたるため、経験や知識はもちろんのこと、情報収集のノウハウや分析力、クライアントとのコミュニケーションスキルなどが高いレベルで求められます。中小企業診断士の資格を持っているとプラスにはなりますが必須ではありません。

オペレーション職

会計、人事、法務等の職種にさらに分類されます。コンサルタント職をあらゆる角度からサポートする仕事になります。

業界シェアランキング上位3位

1位:トライステージ:360億円
2位:エフティコミュニケーションズ:358億円
3位:P&Pホールディングス:261億円

平均年収ランキング上位3位

1位:日本M&Aセンター:1,412万円
2位:GCAサヴィアン:1,331万円
3位:ドリームインキュベータ:1,119万円

業界の動向

中小企業のM&A増加

日本政策金融公庫総合研究所によると2016年の中小企業M&A動向は、18%がM&Aの実績ありとなっており、それと合わせてM&Aを検討したことがある企業も40%と比較的多めの数値になっています。

M&Aの目的は、「市場シェアの拡大」が最も多く、次に「事業の多角化」、「新製品・サービスの拡充」となり、相手企業は同一地域の同業種が多くなっています。M&Aを効率的に進めるためには、事業者同士を結びつけていく仲介者の存在が不可欠となるため、経営コンサルタントにとって事業拡大のチャンスが訪れています。

安倍政権の海外戦略1,000事業

経済産業省は、地方の優れた技術やサービスを持つ企業の海外進出を後押ししています。

これは、コンサルタントや技術者、投資家ら25人と協力して企業の海外戦略の構築や異業種間連携を強化するもので、IoTやバイオ技術など今後成長が見込める分野から207事業を採択し、採択企業はコンサルタント等の専門家から海外でのビジネスに関する助言を受けられるようになります。

政府は、安倍政権が掲げる地方創生の一環として、今後5年間で1,000事業を採択していくとしています。

市場動向

コンサルティング業界の市場規模は6,463億円

調査会社のIDC Japanによると、2015年の国内コンサルティングサービス市場は前年比6.3%増の6,463億円でした。

国内コンサルサービス市場のうち、戦略、業務改善、財務・経理等のビジネスコンサルティング市場は同8.6%増の3,389億円と高い伸びをみせました。また、IT戦略やIT業務といったITコンサルティング市場も同3.9%増の3,074億円と堅調に拡大しています。

同社は、とくにデジタル関連のコンサルティング市場が伸びるとみており、コンサルティング業界の市場規模は今後、年平均3.8%で成長し、2020年には7,773億円に達すると予測しています。

業界の課題

中小企業診断士の資格の意味

中小企業診断士という資格は、コンサルティング業界のなかで唯一といってもいい資格で、これを持っていれば経営コンサルタントとして認められる公的資格となっています。しかし、弁護士や社会保険労務士等の他の士業とは異なり、中小企業診断士には独占業務が何もありません。

また、統一された報酬基準もないため収入面での不安も多く、独立したくても金銭面で独立の計算が立てられず企業内にとどまる若手の中小企業診断士が多くなっているという現状もあります。

プロのコンサルタントとして活動する中小企業診断士を増やして、コンサルティング業界全体を活性化させるためにもさらなる環境整備が必要になっています。

業界の今後の将来性

コンサルティング業界はまだまだ拡大する可能性あり

近年、日本では、経営コンサルティングを利用している企業が増加しています。

2009年から2014年までのあいだに企業が経営コンサルタントを利用した回数は4倍弱に増加しており、それに応じてコンサルティング業を営む企業の数も2倍近くに増えています。

また、コンサルティング業界大手の船井総研ホールディングスは2015年度の売上高が前年比17.9%増の147億1,700万円、タナベ経営の2016年度の売上高も同5.5%増の82億9,700万円とともに業績を上げており、コンサルティング業界のこれまでの市場規模の推移からみても、業界が縮小する要因はとくに見当たらないという状況になっています。

テクノロジーの発展とグローバル化による変化の時代へ

時代は目まぐるしく変化しています。そして、それに合わせて必要になるスキルも変わっていきます。

たとえば、近年、多くの企業がさらなる市場を求めてアジアや南米、アフリカに進出しています。国内市場の多くが飽和状態になっていることを考えれば海外進出はとうぜんの一手ともいえますが、新興国への参入はそれほど容易いものではありません。言語、慣習、文化、法規制等のあらゆる問題が大きな壁として立ちふさがるのは誰の目にも明らかです。

これからのコンサルティング業界はこのような企業の課題にどれだけ対応できるかで変わるといっても過言ではありません。これは海外進出といったグローバル化に限った話ではなく、テクノロジーの発展にもあてはまる大きな課題と言えるのです。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『コンサル業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』廣川州伸

近年では新卒需要も高まっているようですが、専門的な知識と高度な指導力が求められるコンサルティングという仕事の特性上、即戦力となる中途採用が多いのがコンサルティング業界の特徴となっています。そのため本書は、中途でコンサルティング業界を目指す人も視野に入れて作られており、新卒者の業界研究本としては少し難しいものになっているかもしれません。

ただ、発行が2017年と新しく、IoT技術やAI技術といった新技術を反映させた内容にもなっていますので、業界の現在地を知るには最適の1冊と考えピックアップしました。

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