【業界研究】駐車場業界の現状・動向・課題について

業界の現状

駐車場業とは何か

駐車場業とは、主として自動車の駐車のための場所を賃貸する事業のことを指します。土地あるいは建物内に自動車を停めるスペースを確保して、利用者とのあいだに賃貸借契約を結んでそのスペースを提供することにより収益を得るというのが、そのビジネスモデルです。

1957年に日本で初めて都市機能の維持増進を目的とした「駐車場法」制定され、これに基づいて各地方公共団体条例が整備されたことにより、駐車場は法的に存在を認められました。

そして、自動車の需要増加にともない市街地を中心とした慢性的な駐車場不足が起こり、自分で所有している土地であるならば比較的短期に投下資本を回収できることもあって、駐車場業界は1つのビジネスモデルとして注目を集めるようになったのです。

駐車場の分類

駐車場業界は、
大手企業のパーク24(タイムズ)
ナビパーク(スターツアメニティー)
三井のリパーク(三井不動産リアルティ)

などのほか、中小企業、個人事業主という構図になっています。そして、駐車場そのものも運営形態や構造によって分類が可能です。

運営形態による分類

  • 月決め駐車場:月単位で賃貸借契約を結び利用される駐車場
  • 時間貸駐車場:駐車時間に応じて料金を支払えば利用できる駐車場
  • 併用駐車場:月決め契約と時間貸契約を併用している駐車場

構造面による分類

  • 24時間コイン式時間貸駐車場:パークロック(車止め)付きのパーキングメーター方式によるコイン式の時間貸駐車場
  • プレハブ立体駐車場:二段に別れた簡易的な駐車場。遊休土地の暫定利用に有効的
  • 建物式立体駐車場:車の回転半数や駐車効率から最低190坪の敷地面積が必要とされる駐車場
  • 機械式立体駐車場:狭い土地においても設置が可能な駐車場

基本情報

  • 市場規模:1,833億円
  • 労働者数:719人
  • 平均年齢:33.5歳
  • 平均勤続年数:4.5年
  • 平均年収:497万円

労働者数を見ても分かるとおり、駐車場業界は労働者の少ない業界となっています。事業者はやはり東京、大阪、名古屋、福岡の4つの経済圏およびその周辺に集中しているのですが、平均従業者数でみると地域に関係なくどの事業者も2〜4名となっており、事業者自体の経営規模が小さいことがわかります。

仕事内容

駐車場業界は、大手企業や中小企業、そして個人事業主と参入者が多様であり、それぞれのケースに応じて仕事内容は変わりますが、大手企業の場合は主に営業職と開発職に分けることができます。

営業職

土地の開拓から、マーケティング、そしてその土地のオーナーへの土地活用提案までを行う仕事です。もちろん受注して終わりではなく、開発した駐車場の運営も行います。また、駐車場に関する情報だけではなく、不動産、金融、投資といった知識も必要になります。

開発職

駐車場運営に必要なシステム開発を行う仕事です。駐車場の予約や管理のためのシステムはもちろんのこと、ウェブやアプリの開発も行います。スピードや品質も大切ですが、何よりもお客さま目線で使いやすいシステムを作ることが重要になります。

業界シェアランキング上位3位

1位:パーク24:1,554億円
2位:日本駐車場開発:134億円
3位:パラカ:89億円

平均年収ランキング上位3位

1位:パーク24:628万円
2位:パラカ:502万円
3位:駐車場綜合研究所:457万円

業界の動向

多様化するサービス

駐車場業界の大手による駐車場サービスが多様化しています。

時間貸駐車場大手のパーク24(タイムズ)は、駐車場内での洗車サービスを提供しています。2015年の時点で東京、池袋、川崎の3カ所でサービスを実施していますが、今後は10カ所に増やす予定とのことです。これは駐車場を利用した人向けのサービスで、少量の水で汚れを落とす洗剤を使用し、周囲に影響が出ないように工夫しています。普通車の場合は料金は1,500円で、所要時間は約30分となっています。

同社はそれ以外にも、開業を控えた駐車場などで無料の駐車レッスンも実施しています。これはサービスの充実はもちろんですが、運転が苦手な人の動きを分析して駐車場の設計に役立てるという意図もあるようです。

また、三井不動産リアルティは、壁や看板にサンリオのキャラクター「ハローキティ」をあしらった駐車場を設計するなどして家族や観光客の利用増を狙っています。

駐車場シェアサービス

これまではベンチャー企業が中心となっていた駐車場シェアサービスに、駐車場業界大手の参入が相次いでいます。

akippa(アキッパ)は住友商事と連携して参入し、登録駐車場を現在の3倍の2万カ所に増やす計画です。

パーク24は、「B-Times」という新サービスを始めました。これは、土地オーナーが住宅やビルなどで空いている駐車スペースの情報を登録し、利用者とマッチングを図るもので、事前に利用者が予約をしておくことで混雑が予想される地域であっても駐車場探しに苦労しなくて済むというものです。

駐車場シェアは、自動車、家に続く第3のシェアリングエコノミーとして注目を集めています。

パラカの自社保有駐車場

駐車場業界大手のパラカは、自社保有の駐車場の割合を多くすることで、同業他社との差別化を図っています。

コイン駐車場は地主から借りた土地で運営することが多くなっていますが、地主が土地を売却したり、マンションなどを立てようとした場合は、駐車場を閉鎖しなければいけませんでした。また、それ以外にも地主が同業他社の駐車場に乗り換えるというリスクがありますが、自社保有の場合はこうしたリスクなく駐車場ビジネスを展開できるというメリットがあります。

ただ、パラカはむやみに土地を購入して保有するのではなく、マーケティングで住宅や飲食店などが入り組んだ地域などに絞って駐車場を展開させています。

市場動向

駐車場業界の市場規模は増加基調

駐車場業界最大手のパーク24の2014年度における駐車場事業売上高は1,275億円で、前年比4.5%の増収となっています。

近年においては、業績が好調な駐車場業界大手企業が相次いで株式上場を果たしており、上場会社の数も売上高も増加傾向にあります。

業界の課題

過剰供給問題

駐車場業は、遊休土地の有効活用やマンション建設までの暫定利用といった側面も合わせもっており、ここ数年都市部を中心に急激に市場を拡大させています。そして、そのなかでもとくに増加しているのがコインパーキングであり、コインパーキングが選ばれる要因としては、

1.遊休土地の有効活用手段としての認識の高まり、
2.契約が一時的なもので地上権等を主張されない、
3.小刻みな時間設定が都市のニーズに合致した、
4.小規模の場合は届け出が不要であること
が挙げられます。

ただ、コインパーキング自体が初期投資を抑えて多数展開できるものであるため、ビジネスとして参入障壁が低く、すでに一部では過剰供給となっている地域もあり、今後はこれまでのような稼働率は見込めない状況となっています。

PFI手法による取り組み

全国の自治体などで、駐車場整備にPFI手法を導入したいという意向を示すところが増えています。

PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)とは、公共施設等の設計、建設、運営に、民間の資金とノウハウを活用し、公共サービスの提供を民間主導で行うことで、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図るという考え方で、駐車場は都市のインフラ整備という観点で取り組むべき課題であり、今後は1事業者の経営にとどまらず、国や地方自治体の計画と連動させた整備が必要になると考えられています。

業界の今後の将来性

ITを活用して駐車場状況を提供するシステムの普及が鍵

駐車場業界は、個人から企業まで経営形態が多様なこともあり、業界に定着しているIT活用はほとんどみられない状況です。

ただ、大手企業等が複数箇所の駐車場を運営している場合に、とくに時間貸駐車場については、稼働率向上のためにインターネットを通じて利用者にタイムリーに空き情報を提供する取り組みが行われていることもあり、今後は携帯電話からアクセスして最寄の駐車場状況を検索できるサービスの利用者ニーズが高くなるものと思われます。

また、都市交通の円滑化という視点でみても広域的な駐車場情報提供は意味があるものであり、道路管理者が地域の駐車場を把握してマップと合わせてリアルタイムに駐車場状況を提供するシステムが普及していく可能性も十分に考えられます。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『コインパーキングで年1200万円儲ける方法』上原ちづる

いわゆるハウツー本で内容が少々希薄ですが、コインパーキングについての解説がとても分かりやすく書かれているのでピックアップしました。業界研究本ではありませんので、そういうものとして割り切った上で、時間の空いたときにでも読んでみてください。

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