【業界研究】精密機器業界の現状・動向・課題について

業界の現状

精密機器とは

精密機器とは、高度な精密さを要求され、電子制御やソフトウェア制御によって精密に動作させることが求められる機器のことを指します。

もともと精密機器という言葉の定義が曖昧だったこともあって、何が精密機器であるかについての明確な分類は現代においても存在していません。古くは時計・カメラ・オルゴールのことを精密機器と呼んだ時代もあったようです。ただし、通商産業省の「機械統計年報」によると、計測機器、光学機械器具(カメラ)、時計の製造業をまとめて精密機器業界と総称しているようです。

精密機器業界の業態は2つ

精密機器業界はその業態(ビジネスモデル)によって大きく2つに分類されます。

B to C(Business to Consumer)

企業・消費者間の取引で、一般の消費者が利用する商品を扱うもの。カメラや時計など。

B to B(Business to Business)

企業間の取引で、企業や研究所が利用する商品を取り扱うもの。計測機器や検査機器など。

そしてこのなかでも、B to Bの精密機器は一般企業、メーカー、医療機関、開発機関と多岐にわたる顧客に需要があり、あらゆる分野の産業と密接に関係しているのです。

精密機器業界の主要メーカー

計測機器

・横河電機:国内最大手、世界第3位
・キーエンス:情報機器や光学顕微鏡も
・島津製作所:医療機器にも強み

光学機械器具

・キャノン:デジカメ世界首位
・ニコン:一眼レフに強み
・ソニー:ミラーレスで攻勢

時計

・カシオ計算機:計算機中心に楽器やデジカメも
・シチズン時計:クオーツ式の時計製品に強み
・セイコーインスツル:情報システム機器や計測分析機器も

基本情報

  • 市場規模:4兆8,424億円
  • 労働者数:40,252人
  • 平均年齢:40.9歳
  • 平均勤続年数:13.4年
  • 平均年収:600万円

平均年齢が高く、勤続年数も比較的長いというデータから、社員にとって働きやすい環境が整っている業界だということができるでしょう。しかし、世界をリードする精密機器の製造を行っている割には平均年収が比較的おとなしめといった印象です。大手はともかくとして、中小企業の経営に少し問題がある可能性があります。

仕事内容

精密機器業界の職種は、主に技術系と営業系に分けることができます。

技術系:研究や開発を軸としながら、製品開発、生産技術、生産管理、品質保証を行う仕事です。医療、映像、科学等の分野を問わず、高品質で競争力のある製品を開発することが求められます。

営業系:国内外への販促活動を中心に、マーケティングから製品企画までを行う仕事です。市場のニーズをつかみ、お客さまに最適な提案を行うことが大切になります。

業界シェアランキング上位3位

1位:ニコン:9,805億円
2位:オリンパス:7,132億円
3位:テルモ:4,673億円

平均年収ランキング上位3位

1位:オリンパス:826万円
2位:セイコーホールディングス:785万円
3位:トプコン:750万円

業界の動向

ミネベアのM&A

機械部品大手メーカーのミネベアは、1970年代からM&Aを積極的に進めることで事業を拡大してきましたが、近年は計測機器事業におけるM&Aが目立っています。

とくに独同業大手のザルトリウス・メカトロニクスT&Hを買収したことにより、欧州での販路が確保され、相互に部品を調達できる体制が整いました。同社の計測機器事業は増収が続いており、収益の柱として育てたい考えです。

また、同社は2015年、ミツミ電機と経営統合し「ミネベアミツミ」となることを発表しました。モーターなど機械部品のノウハウを持つ旧ミネベアと無線・通信部品などのノウハウを持つ旧ミツミという異色の組み合わせになりましたが、今後は部品企業の枠組みにとどまらずに完成品を製造するメーカーへと変化する道を進むようです。

ニコンはX線分析機器業者に出資

ニコンは、X線分析機器を手掛けるベンチャー企業、Tribogenic社に対して優先株の増資を引き受け、約12億円を出資しました。

近年、電子部品や機械加工部品などのX線による非破壊での検査ニーズが高まっています。同社は、Tribogenic社のX線分析機器と同社が持つX線・CT検査機器を合わせることで、両社の持つ技術シナジーの創出や販売チャネルの活用を図りたい考えで、X線非破壊検査機器事業における製品競争力を強化して、新市場の開拓に取り組んでいくとのことです。

ニコンは、産業機器事業を中心に事業の規模と領域を拡大しています。

カシオはGショックからの脱却なるか

カシオ計算機は、2015年に世界中の都市の時刻が瞬時に設定できる「オシアナス」ブランドの最新機種「OCW-G1100」を発表しました。

OCW-G1100は海外とのやりとりが多いビジネスマンを対象にした機種で、カシオのブランドカラーの青色を基調に、針の動き方に独自性を持たせるなど、他のGPS時計と差別化を図っています。さらに、今回はデザインにもこだわっており、カシオの看板ブランド「Gショック」以外のヒットとなるか注目を集めています。

市場動向

カメラ市場は縮小、時計・計測機器市場は拡大

カメラ映像機器工業会の発表によると、2015年のデジタルカメラは総出荷台数、金額ともに減少しました。とくにレンズ一体型のコンパクトカメラの出荷個数は前年比24.5%減となり、市場の縮小が進みました。

経済産業省の発表によると、2015年の国内の時計生産は個数が前年比2.4%増、生産額が同12.6%増と2年連続で増加しました。国内では高級時計が好調でインバウンド効果の影響もあったと考えられています。

また、計測機器生産額は、設備投資予算が回復傾向にあることもあって増加しました。とくに、電力量計は家庭へのスマートメーター導入で同57.3%の大幅増となりました。

業界の課題

技術の伝承

とくに中小企業において、熟練した職人の高い技術をどうやって受け継いでいくかが大きな課題となっています。

高精度の精密測定機器などにおいて、特定分野に特化することで高いシェアを得ている中小企業は数多く存在していますが、そういった技術の多くが熟練工の力によりもたらされていることは周知の事実といってもいいでしょう。

しかし、熟練工になるには長い時間と訓練が必要であり、またその熟練工の多くがもう定年近い年齢になっていることを考えれば、彼らの技術を次の世代に伝えるのに残された時間はわずかとなっています。

ノウハウの流出

近年において、製品の組み立てを海外で行なっている企業が増えています。

しかし、海外の生産工場で海外のスタッフを教育することは必要不可欠の作業ではありますが、海外の技術力を高めていることであり、そして組み立てやそれに付随する技術のノウハウがそのまま海外のノウハウとなっていくことでもあるので、どうしても技術の流出が止められない状況となっています。

業界の今後の将来性

海外での販売体制強化が必要

人件費の高騰により、世界の工場としては陰りの見える中国ですが、現在でも力を持っていることは間違いありません。素材産業をはじめとする多くの企業が新たな市場を求めて依然として中国への進出を繰り返しています。

しかし、精密機器は日本が最も得意とする分野の一つであり、中国に対しても大きくリードしている状況です。これまでに日本がものづくりによって築き上げてきた信頼は大きく、当分は揺るがないものとも考えられています。

2008年のリーマンショックのあと、輸出額で対前年比約60%も減少するという厳しい状況にありながらも、精密機器業界大手各社は新興国市場への販売を続け、売上比率を高める取り組みに注力してきました。

2011年の東日本大地震で国内の生産拠点が被災したこともあり、2012年に同約10%減少するということもありましたが、精密機器業界全体としては2009年を底に回復基調にあります。つまり、こうした精密機器業界の市場動向は、この業界が、輸出比率が高く、輸出の好不調によって左右される業界であることを意味しています。

中小製造業も、海外商社と代理店契約を結ぶなどして積極的に海外進出を果たしていますが、まだ大きな結果は出ていません。代理店経由による販売は、その販売力を比較的簡単に活用できるというメリットがある反面、各国各地域のエンドユーザーのニーズをつかむことを困難にもしています。

海外のみならず、国内にもいえることですが、とくに精密機器業界の中小・中堅企業がどのような販売体制を構築して強化していくのかが今後の精密機器業界に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『最新機械業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』川上清市

機械産業について解説している本です。工作機械、ロボット、建設機械、プラント、精密機器といった分野ごとに解説がついていますが、あくまで機械産業の全体像を伝えることに注力されていますので、各分野ごとに深く掘り下げられているわけではありません。ただ、精密機器業界のみに限定した業界研究本というものもほとんどない状態ですので、この業界を志望される方は軽く目を通しておくといいでしょう。

賢い就活生が使う就活ツール「イッカツ」

就活サイトは、実は50以上も存在していて、就活をスタートすると、1人およそ3~5サイト登録します。1サイトに記入するのは50~100項目。全てのサイト登録をするだけで数時間かかることになります。

その非効率さに気づく、賢い就活生が使うのが「イッカツ」。

複数サイトの登録といっても、記入項目はほとんど一緒。「イッカツ」に登録するだけで、複数サイトに自動でユーザー登録をします。

さらには、大量に送られてくるメールも一括管理するので、サービスから送られてくるメールに、選考メールが埋もれて見逃してしまった、なんていう悲惨な自体を招かずに済みます。

ぜひあなたも「イッカツ」で、就活を賢く、効率よく、進めませんか。