【業界研究】トイレタリー業界の現状・動向・課題について

業界の現状

トイレタリーとは何か

トイレタリー業界は、明治時代以降、石鹸や洗剤を中心に形成されました。そして、日本人の生活様式の欧米化とともに人々の生活に浸透し、経済発展による社会の多様化に合わせて商品も多様化・細分化して、今日に至っています。

「トイレタリー」とは、英語で化粧や身づくろいを意味するトイレット(toilet)から生まれた言葉です。

日本では、スキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などをいわゆる「化粧品」と定義しており、それ以外の石鹸やシャンプーといったヘアケア製品、歯磨き粉等のオーラルケア製品を「トイレタリー」と称し、化粧品と区別しています。

つまり、トイレタリー製品とは、老若男女を問わず、体の衛生・洗浄目的で日常的に利用する商品のことになります。

わたしたちが「清潔で快適な生活」を送ることができるのは、トイレタリー製品のおかげと言うことも可能であり、それだけに毎日の暮らしになくてはならないのがトイレタリー業界なのです。

トイレタリー製品の分類

トイレタリー製品はトイレタリー用品とサニタリー用品に分けることができます。

トイレタリー用品:体の衛生・洗浄目的で使う製品、身だしなみを整えるための製品のこと

  • ヘアケア製品(シャンプー、リンス、トリートメント)
  • ヘアスタイリング剤、染毛剤(白髪染め、ブリーチ等)
  • ヘアトニック、養毛剤
  • ハンド用品、ボディケア用品
  • 皮膚用石鹸(浴用、手洗い用などの固形石鹸)
  • 洗顔料、ボディ用洗浄料(洗顔フォーム、ボディソープ、ボディシャンプー)
  • 入浴剤
  • オーラルケア製品(歯磨き、歯ブラシ、洗口液)
  • 髭剃り関連製品(シェービング剤、使い捨てシェーバー等)

サニタリー用品:生理用品や紙おむつといった紙製品のこと

・生理用品(ナプキン、タンポン)
・紙おむつ(ベビー用、大人用)

主要大手メーカー

トイレタリー業界は、国内メーカー大手7社と外資系メーカー2社に分類できます。

国内メーカー大手7社

花王、ユニ・チャーム、ライオン、サンスター、小林製薬、クラシエホールディングス、エステー

外資系メーカー2社

プロクター&ギャンブル(P&G)、ユニリーバ

基本情報

  • 市場規模:5,596億円
  • 労働者数:16,162人
  • 平均年齢:41.8歳
  • 平均勤続年数:16.2年
  • 平均年収:677万円

市場規模の数字は国内に限定したものになりますが、この業界は、過去10年の国内市場規模の推移をみても、アップダウンの幅が小さく堅調を維持しているという特徴があります(石鹸の販売量でも、東日本大震災の前後で数値が変動していないというデータもあります)。

近年において、各社とも業績が伸び悩んでいるという事実はありますが、平均年齢、勤続年数、平均年収はどれも高水準の数値になっており、これはトイレタリー業界が安定していて堅い業界であることを示しています。

仕事内容

トイレタリー業界の仕事は、技術職、営業職、クリエイティブ職に分けることができます。

技術職

研究、開発、生産とさらに分類されますが、その仕事は、素材の開発・研究からマーケティングをもとにした商品の企画・開発まで多岐にわたります。必要なのは、市場のニーズに合わせて、ヒットする商品を開発することになります。

営業職

卸や小売店といった顧客に対して自社製品をPRすることが基本になります。ただ、仕事の内容はそれだけではなく、市場の動きを把握して、潜在ニーズを捉えるマーケティング機能も担います。

クリエイティブ職

CMなどの広告や、商品のパッケージを作る仕事です。

業界シェアランキング上位3位

1位:花王:1兆0,919億円
2位:ユニ・チャーム:5,994億円
3位:ライオン:3,520億円

平均年収ランキング上位3位

1位:ツムラ:849万円
2位:ユニ・チャーム:839万円
3位:花王:758万円

業界の動向

卸業界の2強

トイレタリー業界の卸は、以前は各社地域別に基盤を築いていました。しかし、スケールメリット(規模を大きくすることで得られる利益)を追求し、合併などの業界再編が行われた結果、全国に流通網を持つ卸会社が誕生しました。

現在では、国内最大の医薬品卸メディパルホールディングスの子会社であるPALTACと、2002年4月に中堅卸3社が経営統合して誕生し、日用品卸で初の全国展開企業となったあらたが業界を2分しています。

高齢者向け商品が好調

増加する高齢者を中心に「ユニバーサルデザイン」が受け入れられています。

トイレタリー業界は、人口のボリュームやライフスタイルの変化に大きな影響を受ける業界として知られていますが、高齢化社会の到来とともに、各社揃ってユニバーサルデザインを積極的に導入するなど、使いやすさへの配慮をしています。

花王は、シャンプーとリンスを触って識別できるように、ボトルに凸凹のラインを入れています。また、クラシエもボディソープのボトル容器を広口にするなど設計を変更し、詰め替えが楽にできるようにしています。

花王はグループ体制を強化

花王は2015年、グループの子会社を統合しました。

同社は2006年に、産業再生機構からカネボウを4100億円で買収しましたが、カネボウの統合はせずに、カネボウ化粧品のブランドを維持しながら花王ブランドも強化するという戦略を立てていました。

しかし、2013年にカネボウ化粧品が肌がまだらに白くなる「白斑」問題を起こしたことで方向転換を余儀なくされ、別々だった販売子会社を統合するなどカネボウとの一体化に踏み切りました。

今後は、カネボウ化粧品との統合を契機にグループ体制を強化し、さらなる収益改善を目指す考えです。

市場動向

トイレタリー業界の国内市場規模は5,596億円

経済産業省「生産動態統計」によると、トイレタリー製品の2015年の国内出荷額は前年比1.3%増の5,596億1,500万円となりました。

2014年は消費税増税にともなう駆け込み需要があったため、2015年の3月までは前年同月比で減少しましたが、4月以降は持ち直しました。インバウンド消費と合成洗剤の新商品の売上が堅調だったことが要因とみられています。

また、海外市場は、為替が円安傾向で推移したこともあり、売上が堅調となりました。

業界の課題

国内市場は既に飽和状態

トイレタリー製品は生活必需品であるがゆえに価格が安いものが多く、トイレタリーメーカー各社が売上を伸ばすには大量の商品を製造・出荷し続けなければいけないという薄利多売の構図になってしまっています。

さらには近年、スーパーやドラッグストアといった小売りが安価なプライベートブランドの販売を開始したことで国内市場は飽和状態となり、メーカー各社への値下げ圧力も強まっています。

各社は、店頭価格の低下を受けて、競合より優れた高付加価値商品を開発することで対抗していますが、これは変動する需要への対応や開発技術においてさらに高いレベルが要求されるということであり、コスト管理などを含めた経営判断を難しいものにしています。

中国市場でのシェア拡大なるか

国内市場の不振を打破するため、トイレタリー業界大手は積極的に海外市場に参入しています。

花王は2016年より、中国の消費者向け越境電子商取引サイト「JD Worldwide」での販売を開始しました。また、PALTACも中国最大の医薬品卸である国薬HDが運営するECサイトを通じて、中国における正規日本製品の販売を開始するなど、中国における消費者向けECの販売拡大に各社注力しています。

ただ、中国市場ではP&G、ユニリーバといった外資系メーカーがすでに1980年代から展開しており、どれだけ市場に食い込めるかが大きな課題となっています。

業界の今後の将来性

内需拡大と海外進出

近年の人口減少や国内市場での冷え込みを受けて、トイレタリー業界各社は内需の拡大と海外進出という2つのキーワードを軸に市場の開拓を進めています。

成熟した国内市場に対しては高付加価値商品を開発することで活性化を促しています。この動きを象徴しているのが液体洗剤の売上増であり、2010年前後を境に液体洗剤の売上は粉末洗剤のそれを上回りました。

各社とも商品に香りのバリエーションや、除菌効果、コンパクト性などの機能性を追加して差別化を図っており、トイレタリー業界市場の緩やかな増加基調の一因となっています。

ただ、今後の成長の鍵を握るのはやはり海外進出になります。ユニ・チャームは国内市場の成熟化をいち早く察知し、1990年代後半よりアジアを中心に海外展開を進めました。その結果、2015年に総売上における海外売上高の割合を61.4%にまで伸ばすことに成功しています。

そして、海外といっても、中国や東南アジアだけではなく、中東諸国、北アフリカ、ブラジルと新興国は存在していることも事実であり、トイレタリー業界の未来は、現地で消費者のニーズを捉え、商品ブランドを構築してシェアを伸ばすことができるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

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『国際商業』国際商業出版

毎月1回発行される化粧品・トイレタリー業界の専門業界誌になります。業界動向、企業分析、新製品情報等のほか、百貨店のメーカー別化粧品売れ行き月間ベスト10が掲載されています。図書館などに置いてあることも多いので、バックナンバーも含めて目を通しておけば業界研究として十分なものになるでしょう。

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