【業界研究】カフェ業界の現状・動向・課題について

業界の現状

カフェ業界史

カフェ業界といってもさまざまな形態がありますが、本格的なセルフサービス型(*)のカフェに限定するのであれば、その先駆けは1980年に原宿と青山に開店したドトールコーヒーショップです。

1996年にはスターバックスコーヒー、1997年にはタリーズコーヒーなどの外資系セルフサービス型カフェが日本に参入して、カフェ業界の競争は激化することになります。

それまでの日本では、焙煎して挽いたコーヒー豆の粉末に、沸騰した湯や水を注いでコーヒー液を抽出するドリップコーヒーが主流でした。しかし、スターバックスコーヒーやタリーズコーヒーは、シアトル系コーヒーと呼ばれるイタリア式エスプレッソをベースとしたコーヒーにアレンジを加えて提供することで、消費者に新しい飲み方を提案しました。

以下、セルフサービス型カフェ大手の開店年表です。

1980年:ドトールコーヒー(原宿と青山に開店)
1986年:カフェ・ベローチェ(東京を中心に開店)
1996年:スターバックスコーヒー(銀座に開店)
1997年:タリーズコーヒー(銀座に開店)
1999年:エクセシオールカフェ(芝浦に開店)

セルフサービス型:商品をレジで注文して支払いを済ませた後、カウンターで商品を受け取る形式のカフェです。㈰従業員が席まで注文を取りに行く形態よりも従業員が少なくて済む、㈪大きな店舗スペースも必要ないので人件費や家賃を抑えられるという2つのメリットがあり、それゆえに低価格での商品提供が可能となっています。

基本情報

  • 市場規模:3,584億円
  • 労働者数:8,535人
  • 平均年齢:37.6歳
  • 平均勤続年数:9.5年
  • 平均年収:545万円

飲食業界の年収は低いとよくいわれますが、この数字をみる限りはそんなことはないようです。ただ、それ以外の数字がどれも印象の薄いものになってしまっており、これは、カフェ業界そのものが過渡期を迎えていることの現れかもしれません。

仕事内容

カフェ業界の仕事は、店舗運営職とマネジメント職に分けることができます。

店舗運営職の仕事は、接客、ホール・キッチン業務、売上・在庫管理、アルバイトスタッフの育成・シフト管理といった実際の店舗運営に関わる業務が基本となります。

一方、マネジメント職には、店長、スーパーバイザー、本部スタッフ等の職種があります。一般企業への就職活動と同じようなプロセスをたどることで、最初から店長候補として採用されるケースもあるようですが、まずは店舗運営職を経験しておくことが望ましいとされています。実際、マネジメント職に就いている方々のほとんどが店舗運営職からのキャリアアップ組となっています。

業界シェアランキング上位3位

1位:スターバックスコーヒージャパン:1,256億円
2位:ドトール・日レスホールディングス:734億円
3位:サンマルクHD:232億円

平均年収ランキング上位3位

1位:サンマルクホールディングス:597万円
2位:キーコーヒー:577万円
3位:ドトール・日レスホールディングス:561万円

業界の動向

第3の波、登場

昔ながらの喫茶店が姿を消し、低価格のコーヒーチェーン店が台頭する一方で、喫茶店のようなこだわりのコーヒーを売りにする「サードウェーブ」が注目されています。

代表格は、「ブルーボトルコーヒー」で、2015年に清澄白河に国内1号店をオープンしました。コーヒーの価格は、450〜600円程度で、コーヒー豆の産地や焙煎にこだわり、1杯ずつ丁寧に入れることが特徴となっています。これを受け、キーコーヒーではサードウェーブ向けのコーヒー豆「KEYシングルオリジン」の提供をはじめました。

国内のコーヒーの消費量は拡大しており、カフェ業界の競争はさらに激しいものになっています。

カフェチェーンは紅茶の商品数を増やす

カフェチェーン各社は、コンビニが格安のコーヒーを提供するなど競争が激しくなっていることもあり、紅茶に力を入れています。

タリーズコーヒージャパンは、季節限定のフルーツティーの商品数を増やし、紅茶と合うスコーンや菓子類も合わせて販売しています。プロントコーポレーションも紅茶のグランドメニューを増やし、季節ごとに紅茶商品の顔ぶれを変えています。

これまで手薄だった紅茶にスポットをあて、女性を中心とした需要を取り込みたい考えです。

コメダが上場

カフェチェーン店「コメダ珈琲店」を運営するコメダは2016年、株式を上場しました。

上場を機に知名度を高め、中部地区以外や海外の店舗を増やしていくとのことです。コメダは名古屋流のモーニングサービスが売りで、郊外を中心に全国で店舗を増やしています。

スタバのリサイクル

スターバックスコーヒージャパンは、関東や関西を中心にコーヒーの豆かすを回収する店を増やしています。

これは、コーヒーの豆かすを牛のえさや堆肥にリサイクルし、環境対策と資源の有効活用を推進するためです。堆肥は農家に販売するほか、専門のリサイクル施設で牛の乳酸発酵飼料や野菜を育てる堆肥として再資源化します。

市場動向

カフェ業界の市場規模は3,584億円

日本フランチャイズチェーン協会の資料によると、コーヒーショップの2013年度の売上高は前年比17.5%増の3,584億円2,000万円で、増加基調にあります。

チェーン数は41チェーン(前年度と同数)、店舗数は5,392店舗(同0.6%増)となっています。

業界の課題

商品のマンネリ化

メニューの中心はコーヒーですが、ホットドッグやサンドイッチ等のサイドメニューも売り上げに貢献しているので、サイドメニューの開発も必須になります。

メニュー開発は独立店では店舗で行いますが、FCチェーン店の場合は本部で行われます。季節感を出したり、ハンバーガーチェーン店との差別化を図ったりと、消費者を取り込もうとする工夫は十分にされていますが、価格を高く設定することができないので、新メニューにはいつも同じような商品が並ぶことになります。

厳しい競合状況

カフェの競合相手はたくさん存在しています。

本格的なコーヒーを提供するという意味では喫茶店が競合先になり、提供するメニューやサービスが似ているという点ではファーストフード点が競合相手となります。また、コンビニや自動販売機も競合先といえるなど、常に厳しい状況にあります。

低価格でも本格的なコーヒーを出したり、立地を踏まえた上でストアコンセプトを確立したりするなど、競合店との棲み分けを図る必要があります。

営業の難しさ

飲食店のなかでも、カフェや喫茶店はいちばん新規参入がしやすい業種といわれています。

独立開業がしやすく、粗利益も高いことから、参入障壁が低く見られるのかもしれませんが、実際に独立営業をしてみると集客と差別化が非常に難しく、新規参入が多い分だけ廃業も多くなっているのが現状です。

今後の将来性

個店の特徴を出すこと

喫茶店や個人経営のカフェにおいて、廃業数が多くなっていることもあり、経営視点からネガティブに語られたりもすることも多いカフェ業界ですが、コーヒーに対する消費者のニーズが少なくなったわけではありません。

その証拠に、低価格のコーヒーショップや大手チェーン店は不採算店の見直し・撤退を繰り返しながらも、強気の店舗展開を推進しています。

カフェの将来性は、個店の特徴を出せるかにかかっています。つまり、経営コンセプトをしっかり持ち、コーヒー等の商品や店の雰囲気で顧客にアピールした上で、満足度を与えなくてはなりません。

近年においては、コーヒーという商品に対して料金を払うのではなく、その店のサービスや満足度に対してお金を払うという顧客が増えているのです。

立地の重要性

カフェという形態は、集客力という点で立地が大きな要素を占めることになりますが、各チェーンが駅周辺を中心に積極的に出店していることもあり、要所における競争は激化しています。そのため、カフェビジネスの最大のテーマは出店場所の探索になっています。

出店場所としては、病院やガソリンスタンド、大型店舗内、ショッピングセンター、郊外などが候補となり、女性や家族連れが利用しやすい店舗づくりが大切になります。デザートメニューの充実も必須になってくるでしょう。

カフェ業界は、商品単価が低いという特性からも規模の経済となる傾向が強く、個人経営よりも大手チェーンが圧倒的に有利という情勢は今後も変わらないとみられています。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『カフェオーナー・カフェスタッフ・バリスタになるには(なるにはBOOKS)』安田理

個人経営のオーナー、大手チェーンのスタッフ、バリスタ世界チャンピオンといったカフェで働く人々にスポットをあてた内容になっています。

カフェ業界というものを俯瞰的な視点で説明しているような本ではないので、業界研究をするには少し物足りないかもしれませんが、カフェスタッフとしての就職から独立・開店までの道のりについての解説もありますので、一度目を通しておくといいかもしれません。