【業界研究】介護業界の現状・動向・課題について

業界の現状

介護業界の魅力

介護保険制度(*)が施行されて17年、たくさんの新規事業者の参入とともに介護サービスが増加し、さらなる拡大の様相を見せているのが介護業界です。

人気の理由は、大きく分けて2点あります。

  • 社会の高齢化が進み、ビジネスとして期待できること
  • 高齢者やその家族に喜んでもらえること

介護という仕事の特性上、いたずらに利益を追求してはいけないという側面もありますが、介護業界はビジネスとしてまだまだ未成熟なため、既成概念にとらわれることのない新しい発想で力を発揮する余地が十分に残されていると考えることも可能で、それゆえに若い方々に打ってつけの業界と言ってしまってもいいかもしれません。

介護保険制度:2000年4月1日に施行された社会保険で、健康保険と同じように国民が介護保険料を支払うことで、介護が必要になったときに1割の自己負担で介護サービスを受けられるようにする制度

施設、在宅、地域密着の3サービス

介護業界は、施設型、在宅型、地域密着型の3つのサービスに分類されます。

施設型

主に民間企業によって運営されている高齢者住宅サービスです。有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、グループホーム、特別養護老人ホームなどがこれにあたります。

在宅型

訪問介護サービス(自宅訪問)、通所介護サービス(デイサービス)、短期入所介護サービス(ショートステイ)といった、高齢者が自宅で生活しながらサポートを受けられるサービスです。

地域密着型

住み慣れた地域で暮らしていけるように、市町村指定の事業者が地域住民に提供するサービスです。夜間訪問型訪問介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護などがあります。

基本情報

      • 市場規模:8兆9,005億円
      • 労働者数:51,270人
      • 平均年齢:40.4歳
      • 平均勤続年数:5.9年
      • 平均年収:454万円

8.9兆円という市場規模に対して平均年収454万円という数字は、若干の物足りなさを感じます。そして、勤続年数も5.9年と短くなっています。これらの数字は、事業者の数が多いことと介護業界全体で人的リソースを有効活用できていないことを示しており、まだまだ改革の余地を残していると言えます。

仕事内容

介護業界は、相対的に数が少ないマネジメント職と圧倒的多数の介護職から成り立っています。

介護職の仕事は、入浴、排せつ、食事といった援助を通して高齢者を支えることがその業務の基本となります。資格は必ずしも必要ではありませんが、ホームヘルパー、介護福祉士といった資格を持っていると年収アップやキャリアアップにつながるようです。

一方、マネジメント職には管理職、指導員、相談員などの職種があります。一般企業への就職活動と同じようなプロセスをたどることで、いきなり民間介護事業者等のマネジメント職に就くことも可能ですが、まずは介護職を経験しておくことが望ましいでしょう。現在、マネジメント職に就いている人材の多くが、介護職を経験してからのキャリアアップ組になっています。

ただ、介護業界は生まれて間もない若い業界であり、人材育成などのパターンが定まっていないことが多いので、この業界を目指す人はその点を踏まえた上で、自分なりのステップアップの道を模索していく必要があります。

業界シェアランキング上位3位

1位:ニチイ学館:2,714億円
2位:ベネッセホールディングス(シニア・介護事業):795億円
3位:メッセージ:742億円

平均年収ランキング上位3位

1位:ベネッセホールディングス:944万円
2位:シップヘルスケアホールディングス:648万円
3位:セコム:601万円

業界の動向

相次ぐ異業種参入

損保ジャパン日本興亜ホールディングスは、居酒屋大手のワタミから「ワタミの介護」と介護サービス大手のメッセージを傘下に収めました。

ワタミの介護はSOMPOケアネクスト、メッセージはSOMPOケアメッセージに商号を変更し、トップのニチイ学館に次ぐ介護業界2位の規模になりました。損保ジャパンは、介護事業を損保・生保事業に次ぐコア事業と位置づけ、業界トップを狙っています。

警備大手の綜合警備保障(ALSOK)も介護業界に進出しています。

ALSOKは埼玉県、神奈川県、千葉県で有料老人ホームを運営しているウィズネットを買収し、介護事業を常駐警備業務と並ぶ事業の柱に据えたい考えです。

虐待防止宣言

介護施設などで、職員による認知症高齢者への虐待が相次いでいます。

2014年度に確認された職員による高齢者虐待は約300件ですが、2012年度と比べてほぼ倍増しています。信頼が揺るぎかねない事態となった日本認知症グループホーム協会は「認知症高齢者虐待防止宣言」を発表し、グループホームでの虐待の完全排除に取り組んでいます。

市場動向

2025年には30兆円の市場規模になるという予想も

介護業界は、2000年からの10年間で2.2倍に急拡大しており、2025年には、介護保険における介護給付費の負担が2012年の8.4兆円から2.35倍の19.8兆円に急増するなど、周辺ビジネスを含めて30兆円産業になると予想されています。

介護報酬引き下げ

介護関連事業者の収入に影響する介護報酬は3年ごとに改定、介護保険法は5年ごとに見直しが行われます。

介護職員の賃金向上が介護業界全体で図られていますが、介護事業者が国から受け取る介護報酬が2015年4月に2.27%引き下げとなり(約10年ぶりのマイナス査定)、人件費などの負担で苦しむ小規模施設を中心にさらなる経営の悪化をもたらしています。

業界の課題

人手不足と外国人スタッフ問題

仕事がきつい、賃金が低いといった理由により、介護業界の離職率は高い数字になっています。

介護事業は、製造業とは違って、人が人に介護というサービスを提供する仕事です。高齢者が増えても職員が不足していては、質の高い介護サービスは実現できません。さらには、労働人口が減少していくという問題もあり、今後ますます人材の獲得は難しくなっていくと予想されます。

そういった事態を踏まえて、厚生労働省は経済連携協定(EPA)に基づき、東南アジアから来日した介護福祉士が訪問介護事業所で働くことを解禁しました。同省は、この措置を訪問介護の分野のみに限定しており、さらにはEPAでベトナム、フィリピン、インドネシアから来日し、日本の介護福祉士資格を取得した人だけという条件も加えています。

今後は、外国人向けの相談窓口の設置、訪問先でのトラブルを防止する体制の構築を行なって、2017年4月からの実施を目指していますが、先行きは不透明なものとなっています。

介護事業のコンビニ化

介護事業の事業所数が大手コンビニの店舗数を上回りました。

2015年4月の厚生労働省「介護給付費実態調査月報」によると、介護報酬請求事業所数は11万3,563事業所、日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計調査年間集計(2015年1月から12月)」によると、全国のコンビニ店舗数は5万3,544店となっており、介護事業所の数は、コンビニ店舗の実に2倍以上もの数字になっています。

これは、日常的にコンビニの店舗を見る頻度で、介護関連の事業所が存在しているということを示しています。そして、その介護事業者のほとんどがどれも同じようなサービス形態となっており、高齢者や家族にとって「どれも似通っていて違いが分からない」状態になってしまっている可能性があります。介護事業所は、高齢者や家族に認知してもらうために、早急に他の施設との差別化を図らなくてはなりません。

業界の今後の将来性

ベンチャー分野としての成長性

介護業界は、介護保険制度が施行されてまだ17年という未成熟な業界です。そして、社会がさらなる高齢化を迎えることもあり、市場規模はさらに成長すると予測されています。

さらにはこの業界は、既存の企業によって寡占されているような市場でもありません。従来通りのやり方や商習慣などに縛られることなく、新しい発想でチャレンジできるベンチャーとしてこれからさらに伸びていくことだけは間違いないでしょう。

実際、若い人間のアイデアは介護ビジネスの大手と言われる会社で積極的に採用され、急成長の原動力となっています。

高齢者住宅と介護および生活支援を一体化させたサービス、高齢者にGPS発信機を持たせて、緊急のときにすぐ駆けつけるサービス、冷凍食品技術の進歩により、以前よりもはるかに美味しくなった食事など、以前にはなかったサービスが次から次へと開発されています。墓参りの代行や写真や動画、チャットでの墓参り報告サービスまであります。

介護保険の対象分野だけではなく、その周辺ビジネスも大きく様変わりしてきており、介護業界はその成長が最も楽しみな業界のうちの1つとなっているのです。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『介護ビジネスの動向とカラクリがよ〜くわかる本』川原経営総合センター

介護保険制度は5年ごとに制度そのものを改正することになっているので、介護業界について解説するのであれば、常に最新の情報が必要になります。この本は発行が2016年と新しく、2015年に行われた改正にも対応しているので、業界研究には最適の1冊と言えるでしょう。

賢い就活生が使う就活ツール「イッカツ」

就活サイトは、実は50以上も存在していて、就活をスタートすると、1人およそ3~5サイト登録します。1サイトに記入するのは50~100項目。全てのサイト登録をするだけで数時間かかることになります。

その非効率さに気づく、賢い就活生が使うのが「イッカツ」。

複数サイトの登録といっても、記入項目はほとんど一緒。「イッカツ」に登録するだけで、複数サイトに自動でユーザー登録をします。

さらには、大量に送られてくるメールも一括管理するので、サービスから送られてくるメールに、選考メールが埋もれて見逃してしまった、なんていう悲惨な自体を招かずに済みます。

ぜひあなたも「イッカツ」で、就活を賢く、効率よく、進めませんか。