【業界研究】製粉業界の現状・動向・課題について

業界の現状

小麦の特性

約6億トンの小麦が世界中で生産されていますが、品種や気候によってその特性は様々です。小麦には、粒が硬い「硬質小麦」と「軟質小麦」があります。

硬質小麦のなかでも、たんぱく質が多くグルテンの力が強いものは食パンを作るのに向いており、たんぱく質がやや少なくグルテンの力もそれほど強くないものは「準硬質小麦」と呼ばれ、菓子パンやフランスパンに使われます。パスタ用のデュラム小麦も硬質小麦ですが、これはさらに粒が硬い小麦です。

一方の軟質小麦は、たんぱく質が少なくグルテンの力がソフトで、ケーキや天ぷら粉に使われます。うどんやそうめんなどの日本めん用の小麦としては、たんぱく質の量が10〜11%で、でんぷんの性質が良いものが向いており、硬質か軟質かはめんの品質には関係ありません。

2015年は世界で小麦が豊作になり、小麦在庫が潤沢になったことで、国際的な取引価格が低下しました。輸入小麦の政府売渡価格は、2016年10月に7.9%下がり、3期連続で値下げとなっています。

小麦の流れ

原料小麦は約9割を輸入に頼っています。政府が一括して購入し、製粉企業に販売され、小麦粉などに加工されます。そして、パンや麺、菓子といった食品加工メーカー等に供給される仕組みとなっています。

このときの食品加工メーカーに供給される小麦粉の量は、総生産数の80%以上にもなります。

大手製粉4社による寡占

製粉業界は、食品業界のなかで数少ない寡占業態として知られています。

農林水産省「製粉工場実態調査」によると、2015年度の大手製粉4社(日清製粉、日本製粉、昭和産業、日東富士製粉)の小麦粉の生産量は約381万トンと、生産量全体の約78%を占めています。

大手4社の販売シェアは、
1位:日清製粉(38.6%)
2位:日本製粉(22.8%)
3位:昭和産業(9.0%)
4位:日東富士製粉(7.3%)
となっています。

基本情報

  • 市場規模:1兆1,680億円
  • 労働者数:3,657人
  • 平均年齢:40.7歳
  • 平均勤続年数:16.4年
  • 平均年収:637万円

勤続年数が16.4年で平均年齢が40.7歳ということは、大卒で入社した社員が辞めることなく定着していることを意味しています。

その理由としては、まず何よりも平均年収が高いことが挙げられますが、もしかしたらそれ以外にも製粉業界自体で働きやすさを実現させるような取り組みが行われているのかもしれません。

仕事内容

製粉業界の仕事は、主に「営業」「開発」「設備」に分けられています。

営業

食品加工メーカーやベーカリーなどの小売店に、自社商品を提案しながら、お客さまの利益を上げるための施策を考える仕事です。

開発

小麦粉に関するざまざまな開発を行う仕事です。マーケティングから、製造、そして商品の安全管理までとその業務は多岐にわたります。

設備

設備の管理や、工場の保守を行う仕事です。単に故障した機械を修理するだけではなく、ラインの改修や設備の新規導入といった設備改修作業にも携わります。

業界シェアランキング上位3位

1位:日清製粉グループ本社:4,959億円
2位:日本製粉:2,871億円
3位:昭和産業:2,464億円

平均年収ランキング上位3位

1位:日清製粉グループ本社:877万円
2位:日本食品化工:758万円
3位:日本製粉:708万円

業界の動向

日清製粉の再編進む

最大手の日清製粉は、2016年に食肉加工品会社大山ハムを売却し、事業を製粉中心に再編しています。また、東福製粉を完全子会社化し、九州での製造販売を強化しました。

そして、生産性向上のために内陸工場を順次閉鎖して臨海工場に集約化させ、関東地区の小麦サイロの収容力を増強するなどして原料小麦の安定供給を図っています。

国産小麦の需要拡大

国産小麦を原料に採用する動きが製粉業界で広がっています。

2014年に国産小麦の価格が大幅に下落して、国産小麦と輸入小麦との価格が逆転しました。その結果、食品メーカー等が国産小麦を積極的に使えるようになったのです。

では、なぜ国産小麦の価格が下がったのかというと、生産量が大幅に増えたからです。自給率向上を目指す政府の政策に加え、作りやすい品種の「ゆめちから」が開発されたことも、生産量増加の一因になりました。

製パン大手の敷島製パンは2015年から国産小麦を使用した食パンの販売をはじめました。餃子の王将を運営する王将フードサービスも、店舗で提供する皿うどん以外の麺類に使う小麦粉を国産に切り替えています。

日清フーズのボトルタイプシリーズ

日清フーズは、主力ブランドでボトル入り商品を発売しています。

「日清 クッキングフラワー 薄力小麦粉」「日清 いろいろ作れるから揚げ粉」「日清 サク揚げ天ぷら粉」「日清 小麦粉・卵いらず ラク揚げパン粉」と、これまでに4種類のボトル入り商品を投入していますが、使いたいときに使いたいだけ使える手軽さが消費者のニーズとマッチして、人気商品となっています。

市場動向

大手4社の売上高

各社の決算報告によると、大手4社の売上高は1兆1,680億円で、前年比4.2%の増加となりました。

各社別の売上高は、
1位:日清製粉(5,567億円)
2位:日本製粉(3,116億円)
3位:昭和産業(2,478億円)
4位:日東富士製粉(519億円)
となっています。

業界の課題

中小製粉企業問題

製粉業界は、大手4社による寡占が進み、大手4社だけで生産量全体の約78%ものシェアを占めています。

農林水産省「製粉工場実態調査」によると、1998年と2014年で比較したときに、大手4社が生産量・稼働率ともに増加させているのに対して、中小製粉は生産量・稼働率ともにその数値を下げてしまっています。さらに問題なのは、中小製粉の企業数が125社から84社と大きく減少していることです。

中小製粉企業のなかには、地場で生産される小麦を積極的に引き取り、産地と連携してブランド化し、特色のある製品を生産している企業も出てきていますが、それは中小のなかでも比較的経営基盤がしっかりし、必要な設備投資が行われている一部の企業に限定されているようです。

稼働率が落ち、経営的な体力もなくなっている中小をどうしていくのか、製粉業界全体で考えなければいけません。

囲い込み戦略

製粉業界の売上は、小麦粉を使うパン製造業者、麺製造業者、ビスケット製造業者等(需要家)の動向に左右されます。

製粉事業者と需要家が共同で、地域名を出した小麦粉を使って商品開発を行うことができれば、それは製粉事業者にとって需要家を囲い込むこととなり、安定受注への布石となります。

地域商品を発展させ、需要家にとって代替の効かない製粉事業者になれるかどうかが収益拡大のための鍵となるのです。

業界の今後の将来性

製粉業界全体での体質強化を

現在、製粉業界だけではなく、日本の農業界全体で大きな問題を抱えています。ここ20年間で、食料自給率は10%近く低下し、農家は働き手が減少する一方で高齢化が進行しています。また、耕作放棄地は1.8倍にも増えています。

さらには、人口減少にともない、食料消費総量が2050年には現在の2〜4割程度減少することも見込まれており、製粉業界としては、設備過剰状態となっていくと予想されます。

こういった問題に、製粉業界全体で対応していかなければいけません。基本は、製粉業界全体の体質強化を図ることです。大手4社は、大消費地近くの臨海工場に集約化し、コストを抑えながら生産量を増加させなければなりません。

一方、中小製粉企業は、その経営基盤を強化していくために

  • 製造コストの引下げ
  • 高付加価値製品の製造・販売

に取り組む必要があります。

そして、国内産小麦を活用して特色ある商品を作ることができる、地域の中核となる製粉工場を増やさなくてはなりません。

海外の製粉会社、小麦粉商品製造会社との価格競争は年々激しくなっており、製粉業界全体で国際的な競争力を身につけなければなりませんが、まずは国内の生産体制の合理化・効率化を図り、小麦粉需要拡大のための基盤を作っていくことが市場拡大へ向けての最短ルートとなるのです。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

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『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『小麦の機能と科学(食物と健康の科学シリーズ)』長尾精一

1995年に発行されたものをベースに再版したもののため、中身のデータはかなり古くなっています。ただ、辞典としても使えそうなくらい小麦に関する情報量が多いので、ピックアップしてみました。業界研究の一環として小麦を勉強するのであれば、役に立つ1冊になるはずです。

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