【業界研究】住宅設備業界の現状・動向・課題について

業界の現状

住宅設備とは?

住宅設備とは、「建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針」と建築基準法で定められているようです。簡単にいうと、建物のなかで生活するのに必要なライフライン関連機器を指します。

そして、その住宅設備に、サッシやシャッターといった建物に付属する設備すべてを含めて「住宅設備業界」と呼びます。

主な住宅設備メーカー

住宅設備業界は、主に「サッシ」「シャッター」「住宅設備」の3つで構成されています。

サッシ

  • 三協立山:三協・立山ホールディングスのグループ再編で発足
  • 三協立山アルミ社
  • 三協マテリアル社
  • タテヤマアドバンス社
  • YKK AP:断熱性の高い樹脂製サッシの窓に注力
  • 不二サッシ:ビル向け中心

シャッター

  • 文化シャッター:ゲリラ豪雨対策の止水製品
  • 東洋シャッター:商業施設、ビル向け
  • 三和ホールディングス:シャッター最大手

住宅設備

  • TOTO:トイレ、シャワー
  • トクラス:キッチン、バス
  • ハウステック:キッチン、バス
  • クリナップ:ステンレス製キッチン
  • タカラスタンダード:キッチン、バス
  • ノーリツ:ガス給湯器
  • パナソニック:キッチン、バス
  • リンナイ:ガス機器

基本情報

  • 市場規模:9兆3,676億円
  • 労働者数:125,851人
  • 平均年齢:41.1歳
  • 平均勤続年数:15.0年
  • 平均年収:569万円

住宅設備業界の市場規模は、コンビニ業界やアパレル業界とほぼ同じ規模になりますので、十分に大きい規模と言えます。

他に特徴的なのは、労働者数が多い割に、平均年収が高めなところでしょうか。営業の場合は、契約がインセンティブになっていることが多いので、場合によってはもっと稼ぐこともできるようです。

仕事内容

住宅設備業界の仕事は、大きく分けて技術系と事務系とがあります。

技術系は開発、品質管理、生産、施工等を担い、事務系は営業や広報等を行います。ただし、この業界は製品を消費者に直接納入することは少なく、地域の工務店や販売代理店等を通して現場に供給することがほとんどです。

そして営業が、地域の工務店や代理店にどれだけネットワークを持っているかが重要になります。

業界シェアランキング上位3位

1位:パナソニック:1兆8,466億円
2位:LIXILグループ:1兆6,286億円
3位:TOTO:5,534億円

平均年収ランキング上位3位

1位:LIXILグループ:1,026万円
2位:三和ホールディングス:960万円
3位:積水化学工業:940万円

業界の動向

住宅設備業界もM&Aが進行

近年、住宅設備業界大手による統合や提携が進みました。

TOTOと大建工業、YKK APの3社は、2002年に提携し「TDYアライアンス」を形成しました。トステム、INAX、新日軽、サンウェーブ、東洋エクステリアの5社は2011年4月に統合し、業界首位のLIXILグループが誕生するなど、寡占化が顕著になっています。

LIXILの家具のようなキッチン

LIXILは家具のようなたたずまいが特徴のシステムキッチン「リシェルPLAT」を2016年に発売しました。セラミックトップが特徴の「リシェルSI」と合わせ、前年度比20%増の3万台の販売を目指しています。

コンセプトは、「生活を楽しむキッチン」。収納扉の幅と高さを均等にしたほか、シンプルな形状のシンクを採用し、ワークトップを囲むタイプやキッチン側面につなげるタイプのテーブルも揃えました。キッチン収納と扉の色やサイズを合わせた収納も用意し、リビングとダイニング、キッチンに統一感を持たせられるようにしており、どんな個性のインテリアにもなじむようにデザインされています。

仕様を統一したガス給湯器

ガス給湯器大手のリンナイは海外向け製品「グローバル給湯器」を開発しました。

「グローバル給湯器」の特徴は、バーナーや熱交換器などの基幹部分の仕様が統一されていることで、部品を共通化することにより、生産コストを従来よりも10~15%削減することが可能になりました。

これまで海外向けの給湯器は、3ヶ国1地域(中国、台湾、韓国、ブラジル)の事情に合わせた製品をそれぞれが作っていました。しかし、現地ではガス管の整備が進むなど、仕様を統一する条件が整いつつあります。今後は、仕様を統一した汎用性のある商品を投入し、海外市場の開拓を進める方針です。

フロンガス警報器

新コスモス電気は2015年、スイッチボックス埋め込み型のフロンガス警報器を発売しました。

同社は家庭用・工業用の警報器・検知器を製造している会社で、フロンガス警報器とは酸欠になるのを防止するものです。今回の製品は、従来のものよりも大幅な小型化に成功するなど画期的なものになっています。

フロンガス警報器の交換は、電気工事士の資格を持った人が施工する必要がありますが、新製品は電気工事が必要ないため、メンテナンスが手軽にできるというメリットもあります。

市場動向

住宅設備業界の出荷数は回復傾向

キッチン・バス工業会「自主出荷統計」によると、2015年度のキッチン国内出荷台数は前年比0.9%減の174万6,643台、システムバスは同3.1%増の142万3,541台、洗面化粧台は同2.0%増の180万4,733台となりました。

また、経済産業省「生産動態統計」によれば、2015年度のアルミニウムサッシ出荷量は、1.7%減の21万6,426トン、シャッターは同3.6%増の10万2,118トンとなりました。

政府の住宅関連施策もあり、消費税増税後の落ち込みからは回復基調となりました。

業界の課題

リフォームや海外展開

住宅設備業界は、建築需要・リフォーム需要に大きく依存しています。

さらには、人口減少や少子化といった問題、再度の消費税増税や伸び悩む個人住宅市場等の問題もあり、先行きに不透明感が漂っています。

東日本大震災からこれまで、住宅着工戸数は緩やかな伸びを見せ、景気の回復基調や消費増税前の駆け込み需要もあって住宅設備業界全体で堅調を維持してきましたが、それもそろそろ頭打ちになり、成長が止まると見られています。

住宅設備業界各社は、リフォーム分野や海外展開に注力していますが、依然として国内の建築需要・リフォーム需要に大きく依存するという体質の改善はできていません。

東京オリンピックを追い風とできるか

TOTOは2016年、バスルーム内への設置に配慮したホテル向け「ウォシュレット」を発売しました。

バスルーム内に設置できるコンパクトな形状で、定格消費電力を抑えているため、既存の電気設備への負荷が軽減されました。また、リモコンは英語を併記し、4ヶ国語表記の使い方ラベルも同梱するなど、外国人が利用することを前提とした製品になっています。

同社は、訪日外国人が今後さらに増加するとの予測から、東京オリンピックを控えた宿泊施設新設の需要取り込みを図っています。

そして、2015年にLIXILが「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」のゴールドパートナーとなり、2016年にはTOTOも同大会のオフィシャルパートナーに決まりましたが、東京オリンピックをどこまで追い風とできるかについては不確定要素も多く、懸念材料となっています。

業界の今後の将来性

低金利で回復の兆しも

景気は回復に向けた好材料に乏しく、このまま足踏み状態が続くとみられています。

しかし、日銀のマイナス金利導入による長期金利の低下で、住宅ローン金利も低下しており、新設住宅着工の増加やリフォーム需要も拡大すれば、住宅設備の需要増に繋がるとの期待があるのも事実です。

また、訪日外国人の大幅な伸びや、2020年の東京オリンピックを控え、宿泊施設向け需要も見込まれています。

LIXILの海外戦略失敗

2015年、LIXILグループ連結子会社のJoyou(独)は不正会計処理発覚により破産手続きを開始しました。

JoyouはLIXILが買収した独GROHEの子会社で、中国で金具などの製造販売を行ってきましたが、Joyou創業者自らが不正会計を主導していたこともあり、今回このような事態となりました。そしてその結果、LIXILは2014年~2016年のあいだに、最大で約662億円の損失が発生すると発表しています。

LIXILは海外進出するにあたり、①外部から経営者を招き入れ、グローバル化を推し進める、②M&Aによって事業規模の拡大を推進するという2つのポイントを重視して展開してきましたが、今回は②のM&Aにつまずいた形となってしまいました。

こうしたミスは、海外経営戦略を推進する上で、企業に対する信用を大きく傷つけるもので、今後は住宅設備業界だけではなく日本企業全体で、事前の調査を慎重かつ徹底的に行うなどしてM&Aの実施をしていかなければいけません。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『イラストでわかる建築設備』山田信亮、菊地至、打矢瀅二、中村守保

業界研究本ではなく、あくまで設備について書かれている本ですが、本のタイトル通り、設備についてイラスト付きで大変わかりやすく解説してありますので、住宅設備業界を目指す方は読んでおくことをおすすめします。

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