【業界研究】雑貨業界の現状・動向・課題について

業界の現状

雑貨とは?

「雑貨」という言葉は、江戸時代後半の幕末に生まれたと言われています。

鎖国が終焉を迎え、1854年に開国し、日本が西洋化する過程で、当時の民衆たちが身の回りに増えていく「よく分からない外国のもの」にとりあえず名前をつけて、無理矢理にカテゴライズしようとしたときのとまどいが「雑」という言葉に含まれているのではないでしょうか。

時を経て、雑貨は日本にすっかり浸透し、日常生活のなかであふれてかえっています。しかし、今でも「雑」の意味の通り、その境界線は曖昧なままです。

雑貨業界大手7社

経済産業省「商業統計」によると、2014年の洋品雑貨・小間物小売業の事業所数は1万4,997店あります。そして、雑貨業界のなかでも大手生活雑貨専門店と言われる会社が7社あり、7社の店舗数は合計で993店となっています。

  • 良品計画:「無印良品」。欧州やアジア、北米に出店
  • バルス:インテリア・雑貨のセレクトショップ「Francfranc」
  • ロフト:「ロフト」。タイに出店
  • 東急ハンズ:市街地立地型のホームセンター「東急ハンズ」
  • スタイリングライフ・ホールディングス:「PLAZA」
  • パスポート:「PASSPORT」
  • 京王アートマン:東京の多摩地区中心「京王アートマン」

取扱商品

雑貨業界が取り扱う商品数は数万種類にも及びます。

キッチン用品、洗濯用品、バス・トイレ用品、掃除用品、収納用品、健康用品、文房具、化粧品などジャンルを問わず、国内で流通している一般的な製品というよりも、海外製品、ユニークな製品、あまり知られていないマイナーな商品を取り扱う比率が高いのが生活雑貨専門店の特徴です。

立地

大手の生活雑貨店は、駅ビルやショッピングセンター、アウトレットモールなどの施設に出店している傾向が強く、生活雑貨品のみの中小店でも交通の要所となるような駅や街への出店が多くなっています。

基本情報

  • 市場規模:1兆673億円
  • 労働者数:93,457人
  • 平均年齢:34.1歳
  • 平均勤続年数:6.1年
  • 平均年収:432万円

労働者数が93,457人と多いですが、これは雑貨業界が小売業を中心としているからです。上述した通り、全国に事業所が1万4,997店もあるわけですから、販売員をはじめとした労働者数も増えて当然でしょう。

そして、接客・販売の仕事は給与水準が低いなどと言われていることを考えれば、この432万円という平均年収はほぼ日本の平均値ということもあり、決して低水準ではありません。

仕事内容

雑貨業界の仕事は、おおまかに分けて「販売系」「営業系」「開発系」に分かれています。

販売系

店頭にて販売・接客を行う仕事ですが、もちろんそれだけではなく、商品の陳列、POP作成、商品管理、発注、従業員の教育など多岐にわたります。

営業系

小売業への販売促進が主な仕事になります。また、売り場も含めて、売上を上げるための提案も大切な業務になります。

開発系

商品を開発する仕事です。マーケティング、企画、プロダクトデザイン、展示会の運営等、アイデアを商品化するまでの業務全般に携わります。

業界シェアランキング上位3位

1位:良品計画:2,320円
2位:ロフト:956億円
3位:東急ハンズ:948億円

平均年収ランキング上位3位

1位:レック:599万円
2位:トランザクション:526万円
3位:良品計画:505万円

業界の動向

小売業初のインド出店

良品計画は、インド国内企業との合弁事業で、インド共和国において無印良品(MUJI)を2店舗新規出店しました。

インド最大の商業都市であるムンバイ市と、IT産業の中心地であるベンガルール市に、日本初の小売業としてはじめて出店しました。1号店「MUJI Palladium」は年間来場者数2,400万人を超える大型商業施設内に出店し、2号店「MUJI VR Mall」の出店はベンガルール市最大の商業施設内となっています。

インド国内の消費者はMUJIブランドを一切認知しておらず、この2店舗がどのような結果を残すのか、その動向に注目が集まっています。

ユニーの生活雑貨店

ユニーは2016年、キッチン用品を中心とした生活雑貨ショップ「soomin(スーミン)」をオープンしました。

同社は、総合スーパーとして強みを持っているカテゴリーの商品を中心に展開していくという戦略をとっており、主にキッチン用品において既存の品揃えと違うテイストの商品を提案し、分かりやすい価格設定にすることで集客を図っています。

価格は100円、300円、500円、1,000円と4段階に分かれ、キッチン用品などのキッチン・ダイニング部門と、タオルなどのリビング・インテリア部門という構成になっています。年齢やライフスタイルを問わず、幅広く支持されるようなナチュラルテイストで飽きのこないアイテムをセレクトしているとのことです。

イッツデモの店舗数増加

アパレル大手ワールドは、雑貨店「イッツデモ」の出店を増やしています。

同社は、アパレル事業の不振が続くなか、幅広い客層が見込める雑貨店を増やして、売上の確保を狙っています。今後は、80店舗まで店舗数を増やし、化粧品と衣料品に加えて生活雑貨や食品なども揃える予定です。

東急ハンズのインバウンド対策

東急ハンズは、訪日外国人観光客需要を見越して、来店促進、購買促進施策に取り組んでいます。

経験のある販売員によるチームを結成して、都心の大型店舗を中心に実演販売を実施しています。実演販売では、使い方に説明が必要な商品やあまり世に知られていない便利な商品の紹介、既存の商品の新たな使い方の提案などを行なっています。

市場動向

雑貨業界の市場規模は1兆673億円

日経流通新聞の専門店調査によると、2015年度の雑貨業界の市場規模は1兆673億円で、6年連続の増収となりました。

各生活雑貨店別の売上高は、
1位:良品計画(2,320億円、前年比12.3%増)
2位:ロフト(956億円、前年比8.3%増)
3位:東急ハンズ(948億円、前年比8.2%増)
4位:スタイリングライフ・ホールディングス(653億円、前年比1.5%減)
5位:パスポート(109億円、前年比3.1%減)
となっています。

業界の課題

広がる企業格差

消費増税後の節約志向のなかで、消費者は価格だけではなく質も重視した商品を求めるようになっています。こうした消費行動を背景に、雑貨業界は堅調に成長を続けていますが、各企業のあいだでは経営対応により格差が開いています。

日経流通新聞の専門店調査によると、雑貨業界各社の多くが売上を伸ばしている一方で、1人暮らしの若者を新規顧客として獲得することができていません。以前から生活雑貨店を利用してきたような消費者は結婚して、子育てをする年齢に差し掛かっており、それにともない顧客ニーズが大きく変化しています。

若者だけを対象とするのではなく、中高年層にも受け入れられるような店づくりが求められています。

プラザの化粧品販売

スタイリングライフ・ホールディングスが運営する雑貨店「プラザ」は、雑貨から化粧品まで幅広い品揃えを誇っていますが、店頭ではセルフ販売が主体となっているためスタッフが必ずしも専門知識を持っているわけではなく、詳しい商品知識を求める顧客に対応できていませんでした。

プラザは、この問題に対応するために、とくに店頭での相談や試用の要望が多い化粧品売り場に、化粧品の専門知識を持つ化粧品コンシェルジュを置くことを決定し、化粧品販売を強化していく予定です。

生活雑貨店が、単にモノを販売するだけの店舗から脱却して、顧客ニーズに応えることのできる店舗に変化できるかどうか注目されています。

業界の今後の将来性

独自性を高めて差別化を

雑貨業界で取り扱っている商品は、機能やデザインが似ていることが多く、競合することも多くなっています。また、雑貨業界の商品そのものが、価格や商品特性のせいか、消費者に軽視されるといった風潮もあるようです。

これからの店舗作りとしては、店のコンセプトを明確にし、店舗の内装や商品陳列方法などで独自性を高め、ライフスタイルの提案などを基本軸にブランド化を促進しながら他店との差別化を図っていくことが不可欠となります。

また、雑貨業界各社の競争も激化しているなかで、価格と品質を重視した個性的な商品を積極的に取り扱う必要があるでしょう。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『本当にすごい! 日用品&雑貨カタログ350』日経トレンディ

業界研究本ではありませんが、たくさんの日用品や雑貨が掲載されており、見ているだけで楽しいのでピックアップしてみました。一通り眺めてみれば、雑貨業界の現在地がある程度はわかるようになるのではないでしょうか。