【業界研究】ドラッグストア業界の現状・動向・課題について

ドラッグストア業界の現状

日本がまだまだ不景気のあおりを受けている2000年頃から、ドラッグストア業界は他の業界と異なって店舗数や売上を堅調に伸ばし続けています。その背景には日本の人口が減少していくにも関わらず、少子高齢化による高齢の人々が増え、それに伴う医薬品の需要が年々増しているからです。

団塊世代や団塊のジュニア世代が仕事を現役で引退し、第二の人生を謳歌する時代に差し掛かり、高齢化率が一層高まることが顕著に見られるため、ドラッグストア業界はそれに連動して今後も成長の続く業界と予想されています。

仕事を引退した高齢者は、都心でずっと働いてきたことから地方の地元に戻るケースが多くなりました。

しかし、若年層は地元を飛び立って都心に出てくることによって、都心回帰、地方の過疎化の問題が再度浮上しています。過疎地においては、流通や交通網のサービスが行き届かなくなり、買い物弱者の問題が拡大してきています。

一番の厚い消費者層である高齢者に、住んでいる場所に関係なく医薬品や食品を届けるため、ドラッグストア業界は業界再編をして流通を最適化したり、簡単な傷や病気は自身で手当するセルフメディケーションの啓蒙活動をしたりと、様々な対処をしています。

本来ドラッグストアは医療提供施設として地域に存在すべきものですが、大手調剤チェーン、商社やスーパーマーケットなどの競合がひしめく、営利目的に重きをおいた薬局に変わっています。

日本の一大テーマである医療費削減の一端を担うドラッグストアは、医療と医薬品の分業によってその大きな役目を果たすべく病院とは独立して存在しているのですが、他業界からの参入などの営利目的の市場原理が働くことによって、大規模な市場に成長し、本来の目的が果たせていない状況に陥っています。

さらに、医薬品の販売に関する規制緩和が行われて、インター ネット通販やコンビニエンスストア等で医薬品を販売するケースが生まれて、その本来の目的に反する動きはより一層加速しています。

2027年には薬剤師が40万人にも登り、薬剤師余りのための就職混乱期が予測されると以前より危機感がささやかれていますが、この溢れ出した余剰人員の受け皿として期待されているのが、ドラッグストア業界です。

現状1:基本情報

ドラッグストア業界の市場規模は4兆4,118億円になり、全体の業界で見ても、それなりの規模を有する業界と言えます。ドラッグストア業界で働く労働者数は24,679人で、働いている人達の平均年齢は37.3歳になります。

ドラッグストア業界における平均勤続年数は7.5年で、他の業界と比較すると短い傾向にあります。この業界の平均年収は520万円となっており、それほど高い年収がもらえる業界ではないと言えます。

薬学部を卒業し、薬剤師として活躍することを目指している学生はかなりの数におよび、このままの推移でいくと2025年頃には約40万人の薬剤師が日本で働いている計算になります。

調剤薬局の母数や需要に対する薬剤師の供給はかなり過剰な状況となっており、狭き門をくぐり抜けるための過酷な就職活動が予測されます。

しかし、この大きな問題に明るい兆しを示しているのがドラッグストア業界で、次から次へと溢れ出てくる薬剤師志望の学生の受け皿として期待を寄せられています。

ドラッグストア業界はマツモトキヨシやツルハドラッグなどの大手チェーンの台頭や、他業界からの参入によって、飛躍的に店舗と売り上げを増加させてきています。

医療に関わる事業であることから、利益追求を叩かれるケースもありますが、それによって雇用を創出している面もあるので、一概に悪いとは言えない状況になっています。

現状2:業界シェアランキング上位3位

1位:マツモトキヨシホールディングス
(売上高:4,953億円 シェア率:11.2%)
2位:サンドラッグ(売上高:4,478億円 シェア率:10.2%)
3位:ツルハホールディングス(売上高:3,884億円 シェア率:8.8%)

ドラッグストア業界のシェアランキングは、どこかの会社がダントツでシェアと売上を獲得しているということはなく、各社が均等と言えるようなシェアを獲得しています。

3位のツルハホールディングスは、プライベートブランドに力を入れており、それを積極展開しています。

2位のサンドラッグは低い販管費、短い在庫回転数など、徹底した効率主義を現場に導入し、他社が真似できないほどの経営効率を実現しています。

1位のマツモトキヨシホールディングスはHBCと呼ばれるヘルス&ビューティーケアの商品に力を入れることで他のドラッグストアと差別化して、お客を呼び込む戦略を展開しています。

現状3:平均年収ランキング上位3位

1位:マツモトキヨシホールディングス(778万円)
2位:ウエルシアホールディングス(761万円)
3位:スギホールディングス(713万円)

ドラッグストア業界の平均年収は、トップ3のどの企業も700万円台になっています。売上高、シェア率1位のマツモトキヨシホールディングスが平均年収でも1位にランクインしていますが、2位以下を大きく離すようなことはなく、他の企業と同等の給料体系になっています。

他の業界と比較すると、そこそこの給料がもらえる業界と言えますし、一般的なサラリーマンの年収が400万円程度ということから考えると、300万円以上も高い給料がもらえる計算になるので、悪い業界ではないことが分かります。

業界の動向

動向1:市場動向

少子高齢化が進む日本社会において、高齢者の割合が年々高まっていくことによって、ドラッグストア業界が果たすべき社会的役割に対する期待が高まっています。なぜかと言うと、安倍首相が提唱している日本再興戦略には、「国民の健康寿命の延伸」がテーマとして掲げられているからです。

これは年々膨張していく医療費の削減をすることが目的で、何か体の不調があったときは病院に通うのではなく、軽度なものであれば自身で手当てをしてみましょう、というものです。

この自身で手当をするというセルフメディケーションの推進が、国の施策として掲げられているため、それを補助する役割としてドラッグストアの存在が欠かせないのです。

健康増進や予防、不調が起きた時のセルフメディケーションの必要性が謳われることで、ドラッグストアには地域のヘルスケアステーションとして、セルフメディケーションの拠点として、密着していくことが求められています。

社会的な意義を求められているドラッグストア業界ですが、売上高・店舗数とも拡大傾向にあるものの、最近は売上高の拡大率に対する成長の鈍化傾向が見られます。

他業界からの新規参入や競合他社同士の苛烈な競争によって、成長している売上高から見て、市場の伸びがそれほど見られなくなってきています。大手どころの業界再編もさらなる競争に影響を与えている状況となっています。

日本における競争はインバウンドによる海外からの渡航者の需要を取り込むところにも波及しています。特に中国からの観光客は必ずと言っていいほど日本の薬局に立ち寄り、爆買いをしていきます。

平成26年に外国人旅行者向けに消費税免税制度が改正されたことで、化粧品などの消耗品が免税対象となり、ドラッグストアに押し寄せる外国人の波はさらなる勢いを増すようになりました。

日本の品質の高い化粧品をはじめ、幼児用の食品や、薬が飛ぶように売れて、インバウンド客への対応を急ぐことが求められています。

動向2:業界の課題

小売が全般的に縮小する中でもドラッグストア業界は消費者のニーズを受けて堅調に成長を続けてきましたが、近年は成長が鈍化してきています。都市部における店舗の飽和状態に加えて、インターネットでの販売も解禁されたことから、市場の顧客争奪戦が益々激しくなっています。

この競争激化はドラッグストア業界における深刻な問題となっており、各社が利益を追求すればするほど、より競争が激しくなるという矛盾を抱えています。

また、都市部への商品の供給は何も問題を抱えていませんが、地方への商品の供給には課題を抱えています。高齢化社会がバスや電車などの交通インフラの弱体化と組み合わさって、買い物ができなくなる買い物弱者の発生、増加が出てきています。

ドラッグストアの半分の役割は病院と言っても過言ではないため、日本国民に平等に医療を施すためには、このような過疎地域にも様々な種類の薬が届くように配慮をしていかないといけません。

動向3:業界の今後の将来性

業界再編、他業種からの新規参入によって苛烈を極める出店競争や、インターネット販売の緩和、一般用医薬品の登録販売者制度開始などによって、国内市場は明らかに飽和状態となっています。

コンビニとの融合店舗、陳列する商品の多様化など差別化を図るために各社が異なる戦略を実行していますが、業績によって明暗がはっきりと分かれるようになってきました。

社会的存在意義を求められている業界ということもあり、地域一帯の商圏を獲得するためにM&Aを積極的に行う企業が増え、業界が生き残りを賭けて拡大戦略を図るようになってきています。

2009年のマツモトキヨシホールディングスがコンビニ大手のローソンと業務提携をしたり、同年の末にはココカラファインホールディングスが同じく大手コンビニチェーンのサークルKサンクスと業務提携をし、業界マップが一変する出来事が相次いで起こっています。

ある経済アナリストは、ドラッグストア業界は10兆円にまで拡大すると予測しています。24時間体制による営業、健康増進・病気の予防を目的に介護用品の取り揃えや保険調剤への拡大など、従来のドラッグストアの領域や枠組みから一歩出たサービスの提供が求められています。

今後続いていく高齢化社会においては、このような潜在的な需要があるため、これらを展開していくことでこの先のドラッグストア業界は成長産業として更なる飛躍が期待できる業界と言えます。

おすすめの業界研究本

  • 図解入門業界研究最新ドラッグストアの動向とカラクリがよ~くわかる本
  • ドラッグストアの常識・基礎編
  • 良いドラッグストアの条件
  • これからのドラッグストア(DgS)・薬局で はたらく君たちに伝えたいこと ドラッグストア進化論

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いかがでしたでしょうか。

この記事だけでも、業界の展望や各企業の力関係など、様々な発見があったかと思います。業界研究をせずに企業だけを調べても、業界全体の流れがわからず、狭い視野での企業研究になってしまいます。

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