【業界研究】工作機械業界の現状・動向・課題について

業界の現状

工作機械とは?

工作機械とは、自動車産業をはじめ製造業の幅広い分野で使用される、機械を作る機械のことを指します。別名、「マザーマシン」とも呼ばれています。主な種類としては、マシニングセンター(*)のように刃物工具で削る切削型の加工機のほか、放電加工機、砥石で削る研削盤などがあります。

*マシニングセンターとは、複数の工具で穴開けや削り、ねじ立てといった加工が一度にできる工作機械のこと。

工作機械メーカー

工作機械業界には、マシニングセンターや旋盤中心の大手から、特定の分野のみに特化した中小まで数多くのメーカーが存在します。

以下、代表的な工作機械メーカーになります。

マシニングセンター系

  • ヤマザキマザック:非上場ながら世界大手
  • DMG森精機:独DMG MORI SEIKIを連結子会社化
  • オークマ:技術力に定評がある
  • 牧野フライス製作所:マシニングセンターと放電加工機に強み

NC(数値制御)旋盤系

  • シチズンマシナリー:シチズンホールディングスの工作機械事業
  • スター精密:音響機器、精密部品製造
  • ツガミ:スマートフォン部品

NC装置系

  • ファナック:中国市場で苦戦

放電加工機系

  • ソディック:放電加工機、射出成形機

板金・プレス加工機系

  • 三菱電機:NC装置、レーザー加工機
  • アマダホールディングス:板金国内首位
  • アイダエンジニアリング:自動車向けプレス機械

大型機・歯車機械系

  • 三菱重工業:工作機械事業が分社化
  • 東芝機械:射出成形機、大型工作機械

主な需要先

工作機械は、自動車産業のほか、船舶や鉄道車両の製造にも使われています。また、風力発電機などのエネルギー分野や、航空機産業もこれからの有望市場として注目されています。

マシニングセンターに流行の兆し

工作機械の開発は、その時代の流れや、顧客のニーズに大きく左右されます。たとえば、大量生産による生産コストの低減が重視されれば、工作機械もそれを可能とする専用機が開発されます。

近年では、国内で多品種少量・変種変量にシフトしているため、加工種類の柔軟性が高いマシニングセンターにニーズが移行しています。

また、工作機械の稼働率を上げるため、時間のかかる部品の製作を効率化し、1回ですべての加工を完了させる「ワンチャック」のニーズが高まっています。ワンチャックにより、工作機械のオペレーターの作業時間の短縮化や、作業工程数を減らすことによるミスの低減が可能となります。

ワンチャックを実現する手段として、マシニングセンターの多軸化、さまざまな切削方法の複合化が進んでいます。

基本情報

  • 市場規模:1兆4,806億円
  • 労働者数:60,122人
  • 平均年齢:40.4歳
  • 平均勤続年数:16.3年
  • 平均年収:577万円

市場規模は1兆4,806億円という数字になっており、この数字だけを見れば比較的大きな規模の業界と受け取ることもできますが、過去10年の推移はアップダウンがかなり激しくなっており、景気変動の影響を受けやすい業界であることがわかります。

ただ、景気の影響を受けやすくはあってもこれだけの平均年収があるということは、工作機械業界自体にある程度体力があって安定しているということなのでしょう。

仕事内容

工作機械業界の仕事は、主に「開発」「生産」「営業」に分かれています。

開発

製品を設計し、試作して商品化する仕事です。

生産

開発する製品に必要な部品の加工プランを立案し、加工に必要な道具・工具の設計・手配を行う仕事です。

営業

お客さまのもとを訪問し、お客さまのニーズや情報を収集して、開発する製品の機種や仕様を提案する仕事です。

業界シェアランキング上位3位

1位:ファナック:4,509億円
2位:マキタ:3,832億円
3位:安川電機:3,635億円

平均年収ランキング上位3位

1位:ファナック:980万円
2位:安川電機:746万円
3位:森精機製作所:709万円

業界の動向

海外営業拠点を拡充

工作機械業界各社は、外需の拡大のため、海外での拠点を増やしています。

牧野フライス製作所は、顧客が求める形状や精度を実証することができるテクニカルセンターをタイに増設しました。また、ポーランドで新たな営業所を開設したほか、同国内でテクニカルセンターの設置を検討しています。

シチズンマシナリーも台湾に営業拠点を開設しました。台湾拠点では、実証などの作業を実施して工作機械の販売拡大を図りたい考えです。

IoT(Internet of Things)の活用

IoTとは直訳すれば「モノのインターネット」となりますが、「すべてのモノがインターネットでつながること」を意味します。

ファナックは、米シスコシステムズなどとIoTと人工知能を組み合わせた「フィールドシステム」を開発する方針です。工作機械業界各社やIT業界各社と組み、工場の自動化といった生産効率改善につなげていくとのことです。

シスメックスは医療用検査機器にセンサーを組み込み、その稼働状況や消耗品の残量などをリアルタイムにモニターし、故障予知、エラーログ監視、予防保守点検などのサービスができるシステムを提供しています。

オークマは、新型のコンピュータ数値制御装置を投入し、工作機械自体のネット対応力を向上させるなど、生産現場がIoTを活用できるサービスを提供しています。

DMG森精機のサービス強化

DMG森精機は、アジア各国で工作機械の保守サービス車両の導入を進めています。

通常、工作機械は10〜20年使用されるため、アフターサービスは顧客獲得に欠かせない要素となっています。DMG森精機は、「フィールドサービス」と呼ばれる担当者が、機械の保守・修理、顧客工場のレイアウト変更や移設作業などを行います。

そして、「サービスカー」と呼ばれる車にさまざまな工具を搭載して各地を巡回するとのことです。

中国の北京、上海、インドのニューデリーなどでは、加工精度の高い工作機械の需要が高まっています。大都市圏を中心に配置を進め、サービスの質を向上させながら、工作機械の受注につなげたい考えです。

市場動向

全体としては堅調維持

日本工作機械工業会によると、2015年の工作機械受注数は1兆4,806億円でした。前年比1.9%減も1990年以降では、2007年、2014年に次いで3番目に高水準となりました。

内訳をみると、内需が同18.1%増と伸びましたが、外需が同11.7%減と落ち込み、内需が外需の不信を下支えする形になりました。外需の不信は、為替と中国経済の低迷が大きく影響したと考えられています。

業界の課題

新興国メーカーの台頭

世界の工作機械の勢力図が変わりつつあります。

日本の工作機械業界は、品質を高めることで、先進国を中心に高機能品市場を切り開いてきました。

しかし、2000年以降中国をはじめとする新興国が力を伸ばし、とくに2008年のリーマンショックを機に、需要の50%以上を新興国が占める構図に変わりました。これにより、世界の工作機械は、新興国による中位機種、低位機種が中心となったのです。

そして、供給側でも、台湾や韓国といった新興メーカーが台頭するようになり、新興メーカーの製品を中位機種で作るという流れが確立しました。新興メーカーの製品なら中位機種であっても十分な品質で作ることができます。

つまり、高品質を売りにする日本産工作機械は、世界に取り残される形となってしまったのです。

業界の今後の将来性

高付加価値戦略での巻き返しを

2000年以降、世界の工作機械業界を牽引してきた中国が減速し、一時は受注額全体の約7割を占めていた輸出比率が低下しています。また、英国のEU離脱決定の影響から、アジア・欧州の需要動向に不透明感が漂っていることもあって、当分は外需が回復しないとみられています。

今後、日本の工作機械業界は、低価格を武器とする新興メーカーへの対応を迫られるはずです。しかし、すでに従来のような高品質が求められる時代でなくなっていることは明らかです。かと言って、新興国との過当競争は自らの首を絞めることになります。

つまり、工作機械業界全体でビジネスモデルを変革して再構築しなければいけない段階に来ているのです。

新興メーカーとの競争は激化し、受注環境は厳しくなると予測されますが、工作機械業界が成長を維持するためには、付加価値の高い新たな技術で新興メーカーとの競争に勝利することが最低限の課題となるでしょう。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『機械業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本』川上清市

機械産業全般という幅広いテーマで書かれた本なのですが、そのなかの第2章に工作機械業界についての説明があります。工作機械業界について書かれた業界研究本はほとんど存在していないので、この業界を志望される方は目を通しておきましょう。

業界研究をすれば、就活の戦い方がわかる

いかがでしたでしょうか。

この記事だけでも、業界の展望や各企業の力関係など、様々な発見があったかと思います。業界研究をせずに企業だけを調べても、業界全体の流れがわからず、狭い視野での企業研究になってしまいます。

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