【業界研究】小売業界の現状・動向・課題について

小売業界の現状

小売業界と一言で言っても、明確に小売業界がどのような業界なのかをイメージできる学生さんは少ないのではないでしょうか。

小売業界というのは、一般消費者を対象に、物の販売やサービスの提供を行う会社を指します。もう少しおおざっぱに表現すると、お客さんに物を直接売る商売をしている業種のことです。

ここで重要なのは「お客さん」というのが、消費者であり、法人格を有した会社ではないことです。そのお客さんが法人の場合は卸売業界に該当し、メーカーが作ったものをメーカーから仕入れて、小売業界に販売する、いわゆる問屋さんの商売になります。

小売業界にはコンビニ、スーパー、百貨店などの他店舗展開をしているようなものから、八百屋さん、お魚屋さん、タバコ屋、酒屋まで様々な種類があります。

時代とともに変化するニーズ

小売業界は、消費税が8%になる増税前の駆け込み需要や世界金融危機など、その時々の情勢やイベントに業績が大きく影響を受ける業界です。

昨今は、比較的安定した情勢に加えて、アベノミクスなどの経済的なプラスのニュースが多い影響もあって、業界の売上は落ち着いた推移を見せています。コンビニやスーパーなどの店舗が小さい規模の業態は、売上が拡大してきており、今後に期待が持てる業態になっています。

しかし、一時期は小売りの代名詞でもあった百貨店は、消費者の高級志向からの変化もあり、かなり苦しい戦いを強いられています。特に地方の百貨店は、経営に息詰まって廃業に追い込まれるケースが後を絶たない状況となっています。

イオンモールなどの何でも揃えた大規模なモールやショッピングセンターに人を取られてしまい、中途半端なコンセプトの地方の百貨店は苦境に立たされる一方となっています。

小売業界ではコンビニやスーパー、モールやショッピングセンター以外にも堅調に規模を拡大させている業態があります。消費者の目まぐるしく変化するニーズに対応したり、商品サイクルに小回りを利かせたり、どの層にも対応できる品揃えをすることで消費者の心を鷲掴みにして成長を遂げている業態があります。

ドン・キホーテなどの最新スタイルの小売業者です。このような業者は品揃えの豊富さに加えて、流行りのものをすぐに店頭に並べたり、季節ごとに細かく商品を買えたりすることで、お店にお客さんを呼び込んで売上を拡大させています。

現状1:基本情報

小売業界の市場規模は、56兆3,953億円となっており、全部の業界の中でも大きな市場規模になっています。食料や日用品などは必需品のため、景気に関係なくそれなりの売上規模が上がります。

そのため、小売業界は市場規模が急激に下ることはなく、大きな規模を毎年維持しています。小売業界で働く労働者数は267,071人で、市場規模の大きさもあって、多くの人達が働いている業界になります。この業界で働く人の平均年齢は38.0歳で、平均勤続年数は10.3年になります。

気になる平均年収は484万円で、あまり多くの給料をもらえる業界ではないことが分かります。小売業界は肉体労働の側面もあるような厳しい労働環境ですが、それに対する給料などの待遇があまり良くないため、退職者による人材の入れ替わりが多い業界となっています。

それによって、労働者の勤続年数は比較的短く、平均年齢も他の業界と比較すると若い人材が多い業界になっています。

小売業界の仕事内容は、いかに商品を消費者に買ってもらうか、ということが仕事の内容になります。そのため、売れるような陳列をしたり、POPを飾ったりありとあらゆる方法で売り場作りをします。

また、商品の仕入れなどのデスクワークも小売業界では切っても切れない業務になります。

現状2:業界シェアランキング上位3位

小売業界のシェアランキングはこのようになっています。

1位:イオン(売上高:6兆3,951億円 シェア率:11.3%)
2位:セブン&アイ・ホールディングス
(売上高:5兆6,318億円 シェア率:10.0%)
3位:ローソン(売上高:1兆9,453億円 シェア率:3.4%)

小売業界のシェアランキングは1位のイオンと2位のセブン&アイ・ホールディングスが2強となっており、大きなシェアも獲得しています。

それ以下は、3位のローソンと4位のヤマダ電機(売上高:1兆8,939億円)、5位のファミリーマート(売上高:1兆7,219億円)の3社が同規模程度のシェア率を獲得しているという様相を呈しています。5位までのシェアを見てみても、小売業界ではショッピングモールやコンビニが幅を利かせている業界だということが分かります。

現状3:平均年収ランキング上位3位

小売業界の平均年収ランキングはこのようになっています。

1位:WDI(937万円)
2位:エイチ・ツー・オーリテイリング(899万円)
3位:ジパング(853万円)

小売業界の3位にランクインするジパングという会社は、日本で唯一の渋谷に本社を置く金専門鉱山会社です。エイチ・ツー・オーリテイリングは阪急などの百貨店や、食品などの小売会社となります。

1位のWDIはカプリチョーザやハードロック・カフェ、エッグスンシングスなどのレストランを展開する会社になっています。小売業界を全体で平均した年収は低めですが、小売業界の中におけるトップ企業は多めの給料がもらえることが分かります。

業界の動向

動向1:市場動向

小売業が大型店舗として日本で最初に登場したのは百貨店になります。今ではイオンモールやアウトレットショッピングセンターをイメージしますが、元々は百貨店が大型店舗の先駆けになります。

日本橋にある三越本店が百貨店の記念すべき第一号店とされていて、呉服店から始まった会社が拡大し、三越という大きな百貨店を展開するまでになりました。

バブル経済が終焉に向かう直前の1990年代前半には、百貨店業界だけで9.7兆円もの売上を上げるほど、小売業界における百貨店の業態は栄えていました。

バブルの崩壊によって状況は一変し、贅沢を控えるようになったり高級品を求めなくなった影響で売上は下落し、閉鎖や吸収合併など経営が立ち行かなくなる百貨店が続出しました。

百貨店の特徴と言えば、ターミナルでの出店、高級品、対面による接客販売です。この業態の特徴や強みが分かっていても、変化する消費者の価値観やニーズにうまく合わせることができないと、すぐに苦境に立たされる厳しい時代がやってきたのです。

時代のニーズをうまく取り込めずに縮小の一途を辿る百貨店という業態を尻目に、小売業界を席巻しているのがイオンモールやショッピングセンターなどの大型商業施設です。品揃えの豊富さと絶妙な商圏の範囲を設定し、一気に勢力を拡大させることに成功しました。

また、多店舗展開することによって、大量仕入、大量販売ができるようになり、消費者に安価でありながら品質の高い商品を提供できるようになり、拡大を加速的に行っています。

動向2:業界の課題

小売業界が抱える課題のひとつに、少子高齢化による市場の縮小があげられます。日本が抱えている少子高齢化の問題は小売業界に大きな影響を及ぼすマイナス要因になっています。

小売業界はまだまだIT化が進んでおらず、店舗への来店による販売はメインになっています。しかし、少子高齢化によって、高齢者の来店客が減少すると、売上も必然的に連動するように下がるので、それをどのように食い止めるのかが大きな課題のひとつとなっています。

その解決方法のひとつとして、来店しなくても家でインターネットによって買い物ができるような仕組みを作ることです。体の調子が悪くて買い物のために外に出られない高齢者がいたとしても、家での買い物を楽しむことができ、売上減少の鈍化に貢献できるものと言われています。

小売業界にはもう一つ大きな問題があり、人件費などのコストの問題です。人件費はテコ入れを図りたいところですが、人件費を削ると、サービス品質の低下に繋がり、うまく立ち行かないことが多くあります。

最悪、その会社のイメージダウンにも影響のある問題のため、安易に人件費をカットするということもできないでいます。

しかし、この問題に関してテクノロジーによって一石を投じている試みがあり、それがセルフレジの導入です。購入品数の少ない人が長い時間レジの会計で並ぶことは苦痛でしかないため、購入品数の少ない人を優先的にセルフレジに誘導して、サービス力を変えずに人件費を削減する試行がされています。

動向3:業界の今後の将来性

小売業界の明暗を分ける最も重要な要素は、インターネットによる取引です。これを誰でも分かりやすく、簡単に操作できるような端末とソフトウェアを開発し、高齢者や共働きでなかなか買い物に行けない層をいかに上手く取り込むことができるかが、今後の業界内の勝敗を分ける要点になります。

また、ITリテラシーの高い消費者層に対しては、同じような種類の商品を別々の業者から、個々人に合わせた方法で購入できる今の時代において、小売業者としてマーケティング、ロジスティクス、在庫管理などなどのセクションにおいて、どのように対応していくのかが問われています。

なぜ、その会社のその商品でないといけないのか?ということを明確に訴えることができないと、目の肥えた消費者からは見向きもされなくなってきています。

このような現状の中、大手どころを始めとしてインターネットで商品が買えることを進めている業界のプレーヤーは多くなってきました。

しかし、実店舗を構えて来店客に商品を販売することがメインの小売業者は、小売業界の取引がオンラインに流れていく現状をだまって見ているだけではより縮小の一途を辿るだけとなってしまいます。

さらに、今般では本来小売に商品を販売するはずの問屋が、直接消費者に販売するケースも増えてきており、業界を渦巻く競争は苛烈になってきています。

小売業界に大きな影響を与えているものにインターネット専業の会社の台頭が上げられます。アマゾンや楽天、Yahoo!ショッピングなどのEC業者によるインターネット上で売買を完結させる会社の飛躍的な成長によって、店舗を構える小売業者は変革を求められています。

インターネットで販売する業者は、店舗運営と比較すると、人件費も不動産の費用も掛からないため、実店舗よりも安く商品を販売することができます。価格comのように、ひとつの商品の価格を店舗ごとに比較するサイトの登場も、実店舗で商品を購入する消費者の数を減らす原因になっています。

このような状況は益々加速することが予想されているので、従来の商習慣からは一歩脱して、店舗では商品を売るのではなくて、体験やサービスを売る方向にシフトしてきている小売業者も多くなってきました。

店舗で実際の商品を目で見て、触れて確かめて、インターネットで購入する、という一連の流れを他の会社や店舗に目移りさせないように、1社で完結させることができるかが、今後の生き残りに重要な要素となってきています。

おすすめの業界研究本

ここでは、就活生が小売業界を研究するときにオススメの本をご紹介します。

  • 図解入門業界研究最新小売業界の動向とカラクリがよ~くわかる本
  • ようこそ小売業の世界へ
  • 小売業の繁栄は平和の象徴 私の履歴書 (日経文芸文庫)
  • 手にとるように小売・流通がわかる本―新しい“顧客接点”をつくり出す仕組みとは?

業界研究をすれば、就活の戦い方がわかる

いかがでしたでしょうか。

この記事だけでも、業界の展望や各企業の力関係など、様々な発見があったかと思います。業界研究をせずに企業だけを調べても、業界全体の流れがわからず、狭い視野での企業研究になってしまいます。

自分の志望する業界は、かなりの時間を割いてでも研究するべきでしょう。

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