【業界研究】運送業界の現状・動向・課題について

運送業界の現状

運送業界を誰にでも分かりやすく説明すると、物を国内外へ運ぶ会社、と言うことができます。物を運ぶ手段には、トラック、鉄道、航空機、船などの種類がありますが、多くの割合をトラックが占めています。

そのトラックの運送に関しては、昨今のインターネットの復旧と、インターネットをスマホやタブレットで気軽にいつでも利用できる状況が整ったことによって、オンラインでの売買が急増したことと連携して需要が拡大しています。

アマゾンや楽天などのインターネット専業の販売会社の利用者が拡大したことによって、商品の注文が簡単にできるようになり、それに伴って運送のニーズが急増しました。指一本でお買い物ができるインターネットによる商品の売買は今後もニーズが衰える兆しがないため、この拡大傾向は今後も続くものと見られています。

しかし、この運送業界は法改正の影響もあって、競争過多に陥っており、需要が拡大しても全然稼ぐことのできない過酷な業界になっています。なかなか利益を出すことが難しい事情を抱えつつも、インターネット通販は成長を続けていくため、ITシステムの導入による効率化や、拠点の整備、業務効率の改善など、様々な変革が業界全体に求められています。

現状1:基本情報

運送業界の市場規模は7兆5,424億円で、全産業で見ると中規模程度の業界となっています。運送業界における労働者数は94,427人になります。

人材不足が叫ばれている業界ですが、物流という大切なインフラを支える人はかなりの数がいることが分かります。運送業界は男性の中高年層を中心に形成されていますが、長時間労働による不規則な勤務形態や、過酷な労働内容にも関わらず低賃金という厳しい条件のため、若い男性や女性の労働者の割合が少ない特殊な業界になります。

運送業界で働く労働者の平均年齢は41.2歳で、平均勤続年数は13.3年になります。気になる平均年収ですが、514万円とそれほど多くない業界になっています。

以前は佐川急便で数年ドライバーをすると、それなりの額が貯まると言われていたほど、過酷な労働環境に対する良い対価をもらえていた印象の強い業界ですが、今ではあまり稼げない業界になってしまっています。

現状2:業界シェアランキング上位3位

運送業界のシェアランキングをこちらでご紹介します。

1位:日本通運(売上高:1兆7,524億円 シェア率:23.2%)
2位:ヤマトホールディングス(売上高:1兆3,746億円 シェア率:18.2%)
3位:日立物流(売上高:6,245億円 シェア率:8.3%)

上記の通り、運送業界は2位のヤマトホールディングスと1位の日本通運の2強で形成されている業界と言えます。ヤマトホールディングスはアマゾンの配送を一手に引き受けて、物量を確保することでシェアを確保しています。アマゾンからの厳しい要求を飲み込みながらも、何とか利益を出そうと効率化などの改革を推し進めています。

1位の日本通運は個人宅の引っ越しにおけるシェアや売上において、常に上位をキープする総合物流会社です。総合物流と言っているのは、生活品だけでなく、美術品などの特殊な物の輸送も、国際貨物、現金、重量品なども日本通運で運べないものが無いというほど、様々な物の運送を請け負っています。元々国営企業ということもあり、その基盤は他の追随を許さない盤石なものが築かれています。

現状3:平均年収ランキング上位3位

運送業界の平均年収はこのようになっています。

1位:ヤマトホールディングス(838万円)
2位:近鉄エクスプレス(773万円)
3位:日立物流(739万円)

運送業界全体の平均年収は514万円と低い水準ですが、運送業者の9割以上は地域に根ざした小規模な会社が多いためです。このランキングを見て頂ければ分かる通り、運送業界のトップ企業は比較的高い年収をもらえることが分かります。

3位の日立物流、2位の近鉄エクスプレスは700万円をオーバーするほどの給料をもらえます。また、1位のヤマトホールディングスは、センター長クラスで900万円程度の給料がもらえるようになります。このように大手どころは荷物の元請けであることこともあり、利幅を確保できる位置にあることから、高い給料を社員に支払えるようになっています。

業界の動向

動向1:市場動向

運送業界を語るうえで欠かせないことは、国内物流の輸送においては、トラックによる運送が6割以上を占めていることです。そのため、このトラックによる運送の動向が業界全体に及ぼす影響が大きいことになります。

運送業界は、消費者の消費動向に密接に関連してきます。東日本大震災の買い控えの影響で、運送業界は一時的に業界の売上が下がりましたが、今般のインターネット通販の勃興によって上昇傾向が続いています。

これまでトラック運送は、国内の経済成長を糧に発展してきました。それによって、経済活動には欠かせない存在にまでなりましたが、いわゆる物流2法という法律の施行がされてからは、免許制から許可制に移行し、それが原因で競争が一気に激化しました。

物流2法は、貨物運送取扱事業法と貨物自動車運送事業法の2つを合わせて呼ぶ通称で、自動車運送事業の事業行為を規定する法律です。この法律の制定によって新規参入が容易になったことに加えて、トラックの燃料である軽油の価格高騰が原因で、一つの荷物を運ぶことに対する利益の幅がどんどん少なくなってきています。

さらに追い打ちをかけるように、送料無料、全国一律料金などと謳うインターネット通販業者のプロモーションによって、荷物を出す人への価格転嫁ができず、運送業者へのしわ寄せが益々加速してきています。

しかし、このインターネット通販業者の拡大による荷物量の増加で恩恵を受けている面があるので、運送業界としては何とも言えない状況になっています。

動向2:業界の課題

運送業界が抱える重要な課題はいくつかありますが、そのひとつが物流2法の制定による参入障壁の低さがもたらした、競争過多です。運送事業を運営するには、許可を得られればすぐに営業を開始ができるようになったことから、参入してくる業者がどんどん増えて荷物の取り合いになってしまっている現状があります。

その証拠に、大型トラックの運転手というのはこれまで稼げる職種として考えられていましたが、熾烈な価格競争による運送料金の低価格化によって、以前ほど稼げる職種ではなくなってしまいました。

そして、競争過多に陥っているにも関わらず、運送業界というのは他社との差別化をすることが難しい業種と言われています。運送業者は預かった物を管理して、届け先に運ぶだけの単純な仕事です。

そのロジスティクスの部分などには業界独自のノウハウがありますが、各社ごとに大きく異なった特色があるという業界ではありません。よって、他社との競争はノウハウや技術ではなく安易に価格競争になってしまい、自分で自分の首を締めるような状況に陥ってしまっています。

運送業界の利益を圧迫している要因は競争過多だけでなく、荷物の再配達という業界独特の問題もあります。荷物を届けに行った際に不在にしていると、業者は再度配達に行かねばならず、それが利益を大幅に圧縮しているのです。

この再配達という制度は日本だけで、海外の他の国では不在にしていた場合はユーザーが自ら運送業者の拠点に取りに行くことが当たり前となっています。しかし、きめ細かいサービスを展開する日本の運送業界は、再配達という制度を導入し、この過剰なサービスが業界を苦しめてしまっています。

過剰な競争原理が働いている運送業界ですが、増え続ける荷物に対するドライバーの数は年々減少してきており、慢性的な人材不足に悩まされています。特に、長距離輸送を担う大型トラックのドライバーはかなり不足しています。

給料が安くなったのにも関わらず、過酷な労働をあえてしようという人が減ってきており、さらにドライバーの高齢化が進んでいて、将来の運送を担う若い人材の確保が難しくなってきています。人材をいかに獲得し、獲得した人材をどう留まらせるか、ということが運送業界全体の課題になっています。

個人向けインターネット通販の荷物量は年々増えており、この分野の配送は非常に好調をキープしていますが、法人を含めた国内全体の分野を見渡すと、それほど良い材料は見当たりません。少子高齢化による人口減少と、人件費の高騰による工場の海外移転が不調の大きな要因です。日本で次々と工場が建設されていた高度経済成長の時代は、工場間を行き来する物の移動を運送業界が一手に担うことで、メーカーと共に成長を遂げてきました。

しかし、日本の労働者の賃金が高くなるにつれて、工場を海外に移転する動きが活発化し、それと連動するように国内の工場間を行き来する荷物が減ってしまいました。このような状況を考慮して長期的な視野で見ると、利益を確保できないがゆえに会社をたたんでしまう業者は、今後も後を絶たない状況となるでしょう。

動向3:業界の今後の将来性

運送業界は競争過多、人材不足など様々な課題を抱えていますが、世界では課題を解決すべくベンチャー企業による新たなサービスのローンチも出てきています。運送業界はITの導入が遅れている業界ということもあって、そこに活路を見出すべく、世界で見るとベンチャーブームが盛んな業界になっています。

このIT化のキーワードはIoT(Internet of Things)といい、今までインターネットに繋がっていなかったモノにインターネットが繋がるようにすることで、新しいサービスが次々に生まれています。

また、配送の方法も無人化をキーワードに変化してきています。アマゾンが配送用のドローンを開発していたり、自動運転カーなどの台頭によって劇的な変化が行われています。日本におけるドライバー不足は、地方に行けば行くほど深刻な問題を抱えているため、ここに荷物を運ぶ自動運転カーを走らせることができれば、状況を一変させることができると期待を寄せられています。

おすすめの業界研究本

ここでは、就活生が運送業界を研究するときにオススメの本をご紹介します。

  • 図解入門業界研究最新運輸業界の動向とカラクリがよ~くわかる本
  • 図解 基本からよくわかる物流のしくみ
  • 物流ビジネス最前線
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