【業界研究】通販業界の現状・動向・課題について

業界の現状

通販業界とは、小売業態のうちの無店舗販売の一つで、店舗ではなく、メディアを利用して商品を展示し、メディア経由で消費者から注文を受け、商品を販売する業種です。日本通信販売協会によると、2016年9月の時点での正会員数は678社となっており、その多くが「カタログ通販」と「テレビ通販」に分類されています。

カタログ通販

通販カタログの種類は総合型と専門型に分かれます。幅広い顧客にさまざまな商品を紹介しているのが総合型になります。ニッセン、千趣会、ベルーナ、ディノス・セシールなどが代表的な企業です。

専門型は、特定の顧客に独自性の高い商品を紹介しています。アスクル、ミスミグループ、カウネットなどが代表的な企業です。

テレビ通販

テレビ通販は、通販専門放送局、テレショッパー、テレビ局通販の3つに分類されます。

通販専門放送局は、ジュピターショップチャンネルとQVCジャパンの2社です。ジュピターショップチャンネルは生放送を開始して、24時間放送体制に移行しています。

テレショッパーはテレビ局から放送枠を購入して通販番組を放送するもので、オークローンマーケティング、ジャパネットたかた、テレビショッピング研究所などがこれにあたります。

テレビ局通販は日本テレビなどの在京キー局が運営するテレビ通販になります。

基本情報

  • 市場規模:6兆5,100億円
  • 労働者数:10,385人
  • 平均年齢:37.2歳
  • 平均勤続年数:8.6年
  • 平均年収:544万円

通販業界の市場規模6兆5,100億円というのは比較的大きい数字で、鉄道業界や百貨店業界、広告業界と同程度の規模になります。

平均年収は544万円ですが、これは流通業界や小売業界のなかではとりわけ高い数字です。その要因としては、通販業界は運営コストが少くて済むこと、通販市場が成長を続けていることが挙げられます。

仕事内容

通販業界の仕事は、おおまかに「営業」「マーケティング」「開発」に分けることができます。

営業

集客するための提案や、売上を上げるための戦略を考える仕事です。ウェブサイト、テレビ、ラジオ、雑誌とそのメディアは多岐にわたります。

マーケティング

集客施策の最適化を行う仕事です。通販業界のビジネスは、リピート客や定期購入顧客の獲得が大切になるため、この集客施策が通販業の生命線とも言われています。

開発

実際に売るための商品を開発する仕事です。商品は、化粧品やサプリメントといった有形のものから、保険といった無形のものまでさまざまです。商品の力で企業の売上も変わるので、とても重要な業務になります。

業界シェアランキング上位3位

1位:アスクル:2,534億円
2位:大塚商会(サービス&サポート事業):2,318億円
3位:ニッセンHD(コマース事業):1,908億円

平均年収ランキング上位3位

1位:大塚商会:805万円
2位:アスクル:697万円
3位:フェリシモ:694万円

業界の動向

カタログ通販業界の再編問題

ネット市場の成長を受け、カタログ通販各社もネット通販事業を強化しています。

しかし、現状としては、まだまだネット通販専門業者に見劣りするため、大きな収益にはなっていません。さらに、ネット通販専門業者に顧客を奪われることも多く、経営的な苦戦を強いられた各社は、再編に乗り出しています。

カタログ中堅企業のセシールとディノスが合併したことを機に、2014年には最大手のニッセンがセブン&アイの傘下に入りました。さらに千趣会も2015年に、大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ・フロントリテイリングと業務提携しました。

カタログ通販各社の店舗事業

カタログ通販各社が店舗事業を強化しています。

これは各社ともカタログに次ぐ収益源を探しているためで、ベルーナは、カタログ通販と同じ「ベルーナ」で首都圏を中心に店舗を展開しています。店舗では、カタログ通販で扱う衣料品のほか、カタログでは扱っていない店舗オリジナル商品も販売しています。

商品の仮装試着

ジュピターショップチャンネルはKDDI(au)と組み、衣料品のバーチャル試着サービスをはじめます。

これは、テレビ通販の顧客が商品の試着イメージをつかみやすくするため、KDDI直営店の店頭に等身大のモニターを設置し、画面に映った姿にテレビ通販の衣料品のイメージ画像を投影できるというものです。ショップチャンネルの顧客は40代後半〜60代女性が多く、体型に悩みを抱えている人ほど店頭での試着を敬遠することから、需要があると判断されて導入されました。

ドゥクラッセのテレビ通販

ドゥクラッセが地上波のテレビ通販をはじめました。

40代以上の女性をターゲットとする衣料品カタログ通販のドゥクラッセは、2016年からテレビ朝日の番組「じゅん散歩」の通販コーナーで商品を紹介しました。番組用に開発した商品やベストセラーの復刻品を中心に販売することで、ブランドの認知と販路の獲得を狙っています。

市場動向

通販市場は6兆5,100億円

日本通販協会によると、2015年度の通販業界全体の売上高は、前年比5.9%増の6兆5,100億円で、17年連続で増加傾向となりました。

ネット通販市場の伸びがそのまま通販市場の成長につながっているようです。

媒体別の構成比では、1位:インターネットPC(22.1%)、2位:カタログ(20.4%)、3位:リーフレットDM(14.5%)、4位:テレビ(11.8%)となっています。

カタログ通販の市場規模

2014年度のカタログ通販業界の市場規模は1兆2,546億円でした。

カタログ通販企業の売上高では、1位:ニッセンホールディングス(1,908億円)、2位:千趣会(1,343億円)、3位:ベルーナ(1,317億円)、4位:ディノス・セシール(1,196億円)となっています。

テレビ通販の市場規模

2014年度のテレビ通販業界の市場規模は7,257億円でした。

テレビ通販企業の売上高では、1位:ジュピターショップチャンネル(1,394億円)、2位:QVCジャパン(963億円)、3位:ジャパネットたかた(415億円)、4位:オークローンマーケティング(265億円)となっています。

業界の課題

カタログ通販はさらなる改善が必要

インターネット通販の参入障壁の低さにより、企業間の競争が激化しています。

とくにカタログ通販企業は、ネット通販企業に比べて、サービス面で遅れをとっているのが目立ちます。パソコン、携帯、スマートフォン、タブレット端末への対応を強化し、顧客の利便性の向上に努めなければいけません。

また、売れ筋商品の開発や、利益の安定確保・拡大に課題を抱えている企業が多くなっているのも事実で、カタログ通販業界全体で対策を考える必要があります。

テレショッパーのマンネリ化

通販専門放送局の業績は順調に伸びている一方、テレショッパーは苦戦が続いています。

その大きな原因がマンネリ化です。テレビ通販は、ネット通販のように多数の商品を同時に展開することができないため、売れる商品のみに絞ってPRする必要がありますが、ここ数年、特徴のある商品の登場がなく、どの番組も同じような商品になってしまっています。

また、テレビ局通販自体の増加によりスポット枠が確保しにくくなっていることや、枠そのものが値上がりをしていることも含めて、テレショッパーの存在自体を見直さなければいけない時期に来ています。

業界の今後の将来性

カタログ通販業界は強みの再確認を

カタログ通販の性質上、そのフットワークには限界があります。カタログを作るのに時間がかかってしまうため、商品の売れ行きに合わせて対応するといったスピード勝負になるとどうしても分が悪くなってしまうのがカタログ通販です。

衣類などは気候の変動が売れ行きを左右するため、対策が必要と長いあいだ言われ続けていますが、一方で、カタログを見てじっくり商品を決めたいと考える消費者がシニア層を中心に多く存在してるのも事実です。

今後は、商品開発と紙面づくりを工夫し、ネット通販にはない特性を強化できれば、固定客の獲得も可能になるはずです。

テレビ通販業界はヒット商品を生み出す環境作りを

テレビ通販はヒットが生まれやすく、当たれば大きいという特徴を持っています。オークローンマーケティングのマットレス「トゥルースリーパー」シリーズは好評で、売り上げを伸ばしています。その代わり、ヒット商品が出ないとやはり経営は苦しくなります。テレビ通販を軸にヒットが生まれる確率を上げていかなくてはいけません。

そのためには、実店舗の出店をはじめ、顧客との接点を増やすオムニチャネル戦略が有効となります。テレビ通販だけではなく、ネット販売や卸売といったチャネルを積極的に活用し、ヒットの生まれやすいサイクルを築いていけるかどうかが大きな鍵となるでしょう。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『通販のしくみがわかる本』 大石真

これから通信販売事業をはじめる方向けに書かれた本らしいのですが、通信販売ビジネスのテクニックといった部分は内容に乏しく残念な点が多いです。ただ、通販業界の仕組みに関しては非常にわかりやすく説明できているので、業界研究におすすめの1冊としてピックアップしました。

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