【業界研究】文具業界の現状・動向・課題について

業界の現状

文具こそ「おもてなし」

オフィス文具市場での企業の経費削減、またはデジタル機器の普及による紙離れといった不況のなか、アイデア勝負の新商品をたくさん送り出して市場を切り開き、健闘を続けてきたのが文具業界です。

今では、訪日外国人がお土産として爆買いするのはもちろんのこと、多くのメーカーが海外での売上高を伸ばすなど、日本の文具は世界でも一目置かれる存在となっています。

文具業界の魅力は、潜在的な不満やニーズを見つける観察力とその観察から導かれる豊かな発想力、そして技術開発を続ける姿勢にあります。

「かゆいところに手が届く」「細部を作り込む」「使う人に合わせてカスタマイズする」ということが基本的な文具業界の取り組み方ですが、これはまさしく、日本ならではの「おもてなし」の精神と言ってもいいのではないでしょうか。

「もてなし」とは「持って」「成す」、つまり、ものをもって成し遂げるということです。「どうしたら喜んでもらえるか 」を考えて実行することが「おもてなし」であり、最上級の心遣いにあたります。

訪日外国人がお土産として文具を爆買いするのは、そんなおもてなしの精神に惹かれているからかもしれません。

文具業界の主要メーカー

文具業界のメーカーは、主に「総合文具」「事務ファイル」「筆記具」に分類されます。

総合文具

コクヨ:「キャンパスノート」を手掛ける最大手
プラス:はさみ「フィットカット」がヒット

事務ファイル

キングジム:「ショットノート」「ポメラ」
リヒトラブ:「ツイストノート」

筆記具

パイロットコーポレーション:「フリクション」
三菱鉛筆:「ジェットストリーム」「クルトガ」
ぺんてる:「エナージェル」「オレンズ」
ゼブラ:「サラサ」「デルガード」「マッキー」
トンボ鉛筆:「消しゴムMONO」

基本情報

  • 市場規模:4,662億円
  • 労働者数:15,066人
  • 平均年齢:40.8歳
  • 平均勤続年数:15.4年
  • 平均年収:559万円

市場規模から考えると、文具業界の平均年収は十分に高いものとなっています。ただし、文具メーカーは数が多く、小規模の会社もたくさんあるので、場合によってはこの額を大きく下回ってしまうかもしれません。

仕事内容

文房具メーカーの仕事は、大きく分けると「企画」「生産」「営業」に分かれます。製品の企画からスタートして、仕様やデザインを決定し、工場で生産するというのが、おおまかな仕事の流れです。

そして、一般的な文具メーカーの場合、メーカー・流通卸・小売店といったルートで商品を販売するので、流通卸や小売店への営業も大切な仕事になります。

業界シェアランキング上位3位

1位:コクヨ:2,880億円
2位:アスクル:2,534億円
3位:岡村製作所:2,113億円

平均年収ランキング上位3位

1位:三菱鉛筆:741万円
2位:マックス:711万円
3位:コクヨ:708万円

業界の動向

リヒトラブの「ツイストノート」

リヒトラブが開発した「ツイストノート」シリーズが、年間約2億円を売り上げるヒット商品になっています。ツイストノートとは、とじ具が開いてリーフが交換できるノートです。

ダブルリングノートのようにかさばることなく、360度折り返して使うことができ、しかも、バインダーのように中のページを自由に抜き差しできるというのが特徴です。

ただし、このノート、最初から順風満帆だったわけではありません。リーフを日本の規格であるJIS規格ではなく、国際標準のISO規格にしたことから、小売店に取り扱ってもらえず、流通させることすら困難をきわめました。

潮目が変わったのは、カラフルな10色のツイストノート「AQUA DROPs」シリーズがきっかけです。ネットで消費者に注目されはじめ、「あのノートが欲しい」という消費者の声に促されるような形で、取扱店が増え、今ではリヒトラブを代表するヒット商品となったのです。

フリクションの独走続く

パイロットコーポレーションの消せるボールペン「フリクション」が世界販売数15億本を突破しました。フリクションは、熱を加えると透明になるインクを使用しているため、ペン軸後部のラバーで擦れば摩擦熱で文字が消えるという仕組みになっています。

ヨーロッパでは小学校からボールペンや万年筆を使用するため、書き損じても簡単に書き直すことができるフリクションは欧州の子どもたちのニーズにフィットし、この好結果につながりました。

消せるボールペン市場では、このフリクション技術の壁は大きく、競合企業はいまだ表れていません。文具店のボールペン売り場も、依然としてフリクションの独断場となっています。

シャープペンシルは高機能品に売れ筋がシフト

シャープペンシルは少子化の影響もあり長いあいだ販売本数が低迷していましたが、ここ数年の高機能化が支持を受け、販売額が増加しています。ゼブラが2014年に発売した「デルガード」も高機能タイプの商品です。

最大の売りは、「芯が折れない」ことで、「デルガードシステム」と呼ぶ新開発の機能が、垂直と斜めの両方の力に対応し、折れにくさを実現させています。「どれだけ力を込めても芯が折れない世界初のシャープペンシル」とアピールしていることからも、ゼブラ社の自信の程がうかがえる商品となっています。

海外比率はさらに高まる傾向

文具業界はもともと、ヨーロッパを中心に海外開拓が進んでいる業界です。とくに人気が高いのが筆記具で、「フリクション」のパイロットは売上の海外比率が65%、「ジェットストリーム」の三菱鉛筆も同46.5%と、両社とも海外での売上が大きくなっています。

コクヨはアジア各地に合弁会社や現地法人を立ち上げ、新興国市場での業績を拡大しようとしています。

市場動向

縮小傾向の市場に回復の兆しあり

2014年度の国内文具・事務用品の市場規模は前年比0.6%減の4,662億円となりました。オフィス文具市場における企業の経費削減がマイナス成長の要因とされていますが、パーソナルユーズでは筆記具を中心に販売が好調で、縮小傾向の市場に持ち直しの兆しを見せています。

経済産業省「繊維生活用品統計」から主な筆記具の売上をみてみると、鉛筆が前年比15.0%増、シャープペンシルが同16.9%増、ボールペンが同4.3%増、マーキングペンが同10.2%増と、筆記具の主力商品はすべてプラスとなっており、筆記具市場は今後も伸びていくと予測されています。

業界の課題

オフィス文具市場の縮小

企業の経費節減により、オフィス文具市場は縮小しています。文具は経費削減のターゲットになりやすいことと、IT化で筆記具を使う機会が減っていることが大きな要因となっています。

ただし、そうはいっても、文具はビジネスの必需品であり、一定消費量が確実に見込まれる分野でもあるので、文具業界としてはそろそろ打開策を見つけなくてはなりません。

どのように海外展開をするのか

文具市場全体が伸び悩んでいる背景には、人口縮小やデジタル機器の普及といった問題がありますが、文具業界はいまだその解決策を見つけることができていません。

もちろん、国内市場が飽和しているのであれば、海外での事業を拡大すればいいというのは正論です。アジアを中心とした新興国市場というものも確かに存在していますし、新興国市場規模はこれからさらに拡大していくでしょう。

しかし、新興国市場は常に難しい問題を孕んでいることも事実です。クオリティを重視すればコストが高くなって新興国市場では受けにくくなりますし、コストを下げれば新興国のメーカーとの過当競争に陥る可能性も出てきます。つまり、ただ海外に展開すればいいというわけではなく、どのように海外展開をするのかが重要になってくるのです。現時点では、日本のどのメーカーも、コストとクオリティのバランスに苦戦しているようです。

業界の今後の将来性

脇役としての文具

パソコンやスマートフォンといったデジタル機器の普及により、文具はさらに厳しい立場に追いやられてしまっています。

以前は、文具が業務効率化のツールでしたが、今は、パソコンやスマートフォンがそれに取って代わりました。パソコンやスマホを主役とすれば、文具は完全に脇役です。つまり、文具の立ち位置が変わったということであり、それに合わせてやり方を変えていかなければいけないということです。

これからは、パソコンやスマホの長所を踏まえた上で、文具の、単純で簡単に使えるという利点を生かす商品づくりが求められるでしょう。

自分たちの強みを生かす戦略を

法人需要の伸び悩み、デジタル機器の普及による紙離れなど、依然として文具業界の苦境は続いています。

しかし、そういった状況のなかでもボールペンや紙といった分野で、次々と新商品を送り出して市場を切り開いてきたのが文具業界です。消費者の声に応え、他の分野からのアイデアも柔軟に取り入れ、絶えず挑戦してきたことで、文具業界は独自の進化を遂げてきました。「フリクション」や「デルガード」などの事例でもわかるように、日本の製品開発力が世界的にみても高いレベルにあることだけは間違いありません。

オフィス文具市場や新興国市場といった問題は存在していますが、製品開発力という自分たちの強みを生かしながら、新商品の生産を続けていくという姿勢はこれからも大切にしたいところです。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『文具と雑貨づくりの教科書』 日経デザイン

文具開発者たちのインタビューをまじえながら、ヒット商品の開発ノウハウについてわかりやすく解説してあります。業界研究はもちろんのこと、ビジネスの実践書としても読み応えのある1冊となっています。

業界研究をすれば、就活の戦い方がわかる

いかがでしたでしょうか。

この記事だけでも、業界の展望や各企業の力関係など、様々な発見があったかと思います。業界研究をせずに企業だけを調べても、業界全体の流れがわからず、狭い視野での企業研究になってしまいます。

自分の志望する業界は、かなりの時間を割いてでも研究するべきでしょう。

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