【業界研究】靴業界の現状・動向・課題について

業界の現状

最後の秘境としての靴業界

近年、靴における消費者のニーズは大きく変わりつつあります。TPOにより靴を履き替える習慣が定着し、ファッション性に加えて機能美も求められるようになりました。そして、健康ブームを反映して、スポーツシューズやランニングシューズも売上を伸ばしています。

こうしたニーズの多様化・個性化は、量から質への転換をもたらし、競争を加速させています。また、ファッション性の高まりから、商品ライフサイクルも短くなっています。

しかし、サイズやデザインという種類の多さは、消費者に無限の選択肢となり、実際にサイズや履き心地を確認してからでないと靴を購入しないという消費者を増やすことにもなっています。

近年においては、インターネットでの販売が増えています。アパレルなどのネット通販は好調を維持しています。しかし、靴に関しては、まだネットはそこまでの影響力は持っていないようです。もしかしたら、靴業界は、いまだインターネットの力も及ばない、最後の秘境と言ってもいいのかもしれません。

基本情報

  • 市場規模:1兆4,040億円
  • 労働者数:3万3,656人
  • 平均年齢:38.4歳
  • 平均勤続年数:13.5年
  • 平均年収:490万円

靴業界の1兆4,040億円という市場規模は、出版業界や郵便業界の市場規模とほぼ同じになります。小売業、サービス業、アパレル業の年収はあまり高くならない傾向にありますが、靴業界の平均年収は490万円と十分に高い数字になっています。

これは、時代に関係なく靴という商品に需要があるため、靴業界全体がある程度安定した経営を行うことができているということでしょう。

仕事内容

靴業界の仕事は、靴の企画・商談から販売にいたるまで多岐にわたりますが、大まかには「営業」「生産」「販売」に分けることができます。

営業

アパレル業界や靴業界のクライアントに対して、自社製品の営業推進を行うことが基本の仕事になります。そして、必要に応じて、新製品の企画、工程改善、品質管理なども行います。

生産

工場などで靴作りを行う仕事です。さまざまなアイデアを、営業や職人と相談しながらカタチにしていきます。

販売

靴と足の専門知識を生かし、接客を通してお客さまのサポートをしていく仕事になります。

業界シェアランキング上位3位

1位:エービーシー・マート:1,880億円
2位:チヨダ:1,474億円
3位:ジーフット:983億円

平均年収ランキング上位3位

1位:リーガルコーポレーション:658万円
2位:チヨダ:509万円
3位:ヒラキ:470万円

業界の動向

エービーシー・マートの独占販売(NPB)商品

靴業界では、大手チェーン店を中心に、プライベートブランド(PB)商品の開発が多くなっています。

以前はPB商品といえば、ナショナルブランド(NB)商品に比べて品質が劣るとのイメージが消費者にはありましたが、近年、高品質なPB商品の開発が可能になったことにより、NB商品との価格競争は激しくなっています。

靴業界最大手のエービーシー・マートでは、「Hawkins」や「VANS」といった海外ブランドを買収し、商標権も獲得したことから、消費者に対して、PB商品であることを連想させない自社独自のNPB商品の展開を成功させています。

エービーシー・マートの「エースシューズ」

エービーシー・マートは、スポーツに関心の高い消費者向けの専門店「エースシューズ」を出店しました。同社は、世界のシューズトレンドを反映させるセレクトショップと位置付けており、主に、ランニングやジムで使う靴を想定し、軽量で耐久性・機能性に優れた商品を揃えています。メインターゲットは、おしゃれに敏感なF1層(20〜34歳の女性)とのことです。

ジーフットのスマホアプリ

イオン系の靴専門店ジーフットは子どもの成長に合わせた靴の買い替えどきやおすすめ商品などを提案するサービスをはじめました。スマートフォンアプリを使い、クーポンや新商品の提案も行なっています。

はきごこち研究所

「東京靴流通センター」や「SHOES Paletta」など複数の店舗を持つチヨダは、全社的プロジェクトチーム「はきごこち研究所」を立ち上げました。

これは、接客態度の向上や商品開発の強化を目的としており、その一環として東京駅に「CHIYODA HAKIGOKOCHI」を出店しました。ビジネスマンに対して履き心地の良い靴を提供する一方で、観光客には免税を売りにサービスを展開しています。

これには、提案力が高いコンシェルジュによる接客を通じて、商品開発力や顧客満足度の向上を図る狙いがあるとのことです。

ビジネスシューズの進化

防水や保温、疲れにくいなど、機能性を高めたビジネスシューズが増えています。スニーカーブームの影響から紳士靴は伸び悩んでおり、靴各社は、デザインや履きやすさなどで差別化を図ろうとしています。

また、スーツのカジュアル化にともない、ビジネスシューズの色も多色化されました。さらには、女性用に外反母趾対応の靴も出回っており、外反母趾に悩む女性に支持を集めているようです。

このような、デザイン性を重視しながら、履き心地や通気性などの機能を改善しようとする取り組みは、紳士靴、婦人靴、子供靴ともに見られる傾向です。

市場動向

靴・履物小売市場は1兆4,040億円

2014年度の国内靴・履物小売市場は前年度比2.1%増の1兆4,040億円となり、3期連続の増加となりました。スポーツシューズが好調なことが靴業界の市場拡大の主な要因で、依然としてスニーカーブームが続いていること、訪日外国人客も積極的にスニーカーを購入していることが挙げられます。

靴の年間支出金額

総務省「家計調査年報」によると、履物の1世帯当たりの年間支出金額は1万7,355円で、前年比1.1%の減少となりました。小売市場が増加しているのに対して、1世帯当たりの消費が減少している背景には、訪日外国人による国内産ブランドシューズの購入が影響していると考えられています。

業界の課題

エービーシー・マートの残業問題

東京労働局は、2014年に労働基準法違反容疑でエービーシー・マートを書類送検しました。これは同社が、労使協定で定めた上限を超える残業を従業員にさせたためです。

賃金は適正に払われていたとのことですが、人材を確保するのは靴業界だけではなく、どの業界も難しくなっているようです。同社では、労務管理システムを改良して定められた残業時間の遵守に取り組んでいます。

コストの上昇

靴の生産はそのほとんどを中国等のアジアで行なっていますが、生産国での牛革の使用増加や、アメリカでの肉食減少による牛革不足などで、牛革のコストが上昇しています。

また、安価とされていたアジア各国の人件費においても高騰していることから、靴の仕入原価が上昇しています。

靴小売店の苦戦続く

現在、靴小売業は大きな曲がり角に立たされています。大型チェーン店の進出による上位集中傾向、インターネットでの販売の増加、低価格店の台頭もあり、従来の履物店の経営は非常に厳しいものになっています。

今後は、シューズショップのイメージアップを図るとともに、既存店舗の見直しや、不採算店舗の再構築が必要となるでしょう。

業界の今後の将来性

スニーカーブームで市場拡大

ここ数年来、スニーカーブームが定着しています。これは、消費者のニーズが履きやすく、歩きやすいという方向に向かっているためです。また、消費者は価格が少し高くても、より品質の高い商品を選ぶ傾向が高くなっているようです。

靴各社は、この状況を踏まえた上で、デザインなどで付加価値を高めた商品の開発・販売に取り組んでいますが、靴業界の市場が緩やかながらも拡大傾向にあるのはこういった取り組みが功を奏しているからに他なりません。

矢野経済研究所「靴・履物小売市場規模推移」によると、2005年度から2016年度までの靴業界の市場規模は、多少の増減はあるものの毎年1兆4,000億円前後で堅調に推移しています。これは、時代に関係なく、靴に対する需要というものが存在していることの表れでもあります。

製造コストの上昇といった問題もあり、靴業界の市場が飛躍的に伸びることはないかもしれませんが、今現在の市場規模を維持していくことは困難ではないはずです。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『スニーカー』 アンオーソドックス・スタイルズ

2015年の発行で、中身は2005年に出版された「Sneakers」を翻訳したものです。掲載されているスニーカーは少し古いものの、一読すればスニーカー・ブランドの歴史が一通り理解できるようになります。業界研究本ではありませんが、スニーカーが好きな方におすすめの1冊です。

業界研究をすれば、就活の戦い方がわかる

いかがでしたでしょうか。

この記事だけでも、業界の展望や各企業の力関係など、様々な発見があったかと思います。業界研究をせずに企業だけを調べても、業界全体の流れがわからず、狭い視野での企業研究になってしまいます。

自分の志望する業界は、かなりの時間を割いてでも研究するべきでしょう。

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