【業界研究】警備業界の現状・動向・課題について

業界の現状

警備の歴史

警備業界の仕事は人々の生命、身体、財産を守る仕事になりますが、日本に警備業が誕生したのは1962年のことです。日本警備保障(現セコム)という会社が、日本初の警備保障会社となりました。

しかし、「水と安全はタダ」という、警備に対する関心などなかった時代の影響もあり、警備業という仕事は受け入れられませんでした。警棒以外に装備が認められなかったというエピソードも当時の空気を象徴しています。

警備業が一般的に知られることになったのは、1964年、東京オリンピック選手村建設現場の警備でした。これが翌年、テレビドラマ化されたことで、警備業界は市民権を獲得したのです。

そして、高度経済成長のビル建設ラッシュにも乗り、需要が増加。高速道路整備も行われ、自動車が急増したことから交通誘導の必然性も高まりました。

現在では、警備員を常時配置する常駐警備、ビルや住宅にセンサーを設置し不審者の侵入など異常を検知すると警備員が現場に急行する機械警備、現金輸送の警備などが主な業務になっています。

「セコム」vs「ALSOK」

警備業界は、セコムと綜合警備保障(ALSOK)の2強体制となっています。

主な売上構成は、セコムがセキュリティサービス:55.9%、防災:14.9%、医療サービス:7.3%、保険:4.6%、地理情報サービス:6.0%、情報通信:5.5%、不動産開発・販売・その他:5.8%です。

一方のALSOKはセキュリティサービス:82.7%、施設管理・防災:14.4%、介護・その他:2.9%です。

端的に言えば、医療サービスなど幅広く手がける業界最大手のセコムと、常駐業務では業界首位のALSOKという構図になります。

基本情報

  • 市場規模:3兆3,547億円
  • 労働者数:29,929人
  • 平均年齢:39.8歳
  • 平均勤続年数:11.9年
  • 平均年収:460万円

警備業界の3兆3,547億円という市場規模は、酒類業界、お菓子業界、パチンコ業界と同程度になります。

労働者数の29,929人に警備員の数は含まれていません。警視庁によると、2015年の警備員数は、常設警備員:461,675名、臨時警備員:76,672名、合計:538,347名となっています。

仕事内容

警備業界の仕事は、警備業法という法律で、1号業務から4号業務までの4つに分けられています。

  • 1号業務:施設、空港警備、機械警備(1号業務のみで、日本の警備業界の仕事の50%を占めています)
  • 2号業務:交通誘導、雑踏警備(大勢の人出がある場所での誘導警備になります)
  • 3号業務:貴重品運搬、核燃料等運搬(運送中の現金等の事故発生を警戒し、防止します)
  • 4号業務:身辺警備、緊急通報サービスなど(一般的にボディガードと呼ばれているものです)

業界シェアランキング上位3位

1位:セコム:8,222億円
2位:綜合警備保障:3,282億円
3位:セントラル警備保障:414億円

平均年収ランキング上位3位

1位:セコム:601万円
2位:セコム上信越:554万円
3位:綜合警備保障:516万円

業界の動向

中小企業への支援サービス

2015年に施行され、従業員50人以上の事務所に義務付けられた「ストレスチェック」の義務化や、2016年に施行された「マイナンバー制度」に関して、大手2社は対応の遅れが目立つ中小企業の支援サービスを開始しました。

セコムでは、心の健康状態を調べるストレスチェックの実施、データ保管などをまとめたサービスを開始。また、地方銀行と連携してマイナンバーの収集、保管などを安全にできるシステムの提供もはじめました。

ALSOKは、マイナンバーを保管する建物への監視カメラや出入管理システムを提供しています。

ホームセキュリティサービスの普及

ホームセキュリティは、侵入者や火災を感知すると、遠隔地にある警備会社の監視卓に異常信号が送信され、当該建物に警備員が駆けつけるサービスであり、契約件数が増加しています。

2016年の時点で、セコムは契約件数が114万件を超え、法人契約を上回りました。一方のALSOKは37万5,000件です。ホームセキュリティサービスは防災、非常通報、火災監視を基本サービスにさまざまなオプションサービスがあり、顧客にとって利便性がはかられています。

個人の警備

大手2社によって、GPSを活用した顧客の安全確認サービスが普及しつつあります。

具体的には、児童の登下校時に保護者や職員に対して個々の児童の登下校をメールで知らせ未登校の児童を把握するサービス、児童が所持している端末機器から保護者等に身の危険を知らせることができるサービス、児童の所在位置を探索するサービスになります。

セコムでは、そのサービスを児童のみではなく、一般顧客にまで応用しています。顧客が、屋内屋外関わらず身の危険を感じた場合や体の変調をきたした場合に、GPS機能のついた端末ひとつで対応してもらうことが可能となっています。

市場動向

年間売上は4.7%アップ

全国警備業協会によると、2015年の警備業界の売上総額は、3兆3,546億円で前年比4.7%増となり、4年連続で増加となっています。ホームセキュリティサービスの普及に加えて、ビルの建て替えや大型商業施設が都市部で相次いで開業したことが主な原因と考えられています。

今後の予測

ホームセキュリティサービスの契約件数の増加から見ても、家庭向けの警備システムはまだまだ成長の余地があるとみていいでしょう。大手2社の場合は、医療サービスや介護サービスの分野にさらに期待できそうです。

また、2020年の東京オリンピックに向けて、1号業務・2号業務ともに需要はまだまだ拡大すると予測されています。

業界の課題

訪日外国人への対応

訪日外国人の増加にともない、警備業界の業務内容が拡大しています。

ALSOKでは、警備員に簡単な英語やジェスチャーを教えて、訪日外国人対応をさせていますが、警備員が対処しきれないときは、警備員の小型端末からALSOKが開設するセンター内のオペレーターにつなぎ対応しています。

センター内には常時英語を話せるスタッフが配置されていますが、2020年の東京オリンピックを控え、さまざまな国籍の外国人が日本に来ることが予測されており、英語が通じないケースなどで適切な対応ができるかどうか、課題が残っています。

民泊問題

外国人の訪日客の急増による宿泊施設の不足が懸念されており、「民泊」(一般の民家に有料で宿泊させること)の拡大が見込まれていますが、訪日外国人を一般の民家に泊めることでどのようなトラブルが起こるのか完全には予測できていません。

セコムとALSOKはこの民泊をビジネスチャンスと捉え、この不安を解消するサービスの準備に取り掛かっています。

セコムは、監視カメラによる監視、鍵のコピーといった悪用を防止する電子キー、スマートフォンによる安否確認サービス、盗難・破損の損害賠償保険の提供を予定しており、ALSOKは監視カメラによる不審者監視サービスの提供を予定しているとのことです。

業界の今後の将来性

さらに効率化された警備システムが必要

東京オリンピックでは約1万4,000人の警備員が必要と言われています。主に観客の誘導などを担当する予定ですが、警備業界からは「人手不足で人材を確保するのは難しい」との声もあがっています。

現在、大規模なスポーツイベントはテロの標的の一つとなっています。残念なことに、2013年のボストンマラソンでも爆破テロが起きてしまいました。

スポーツイベントの警備には、観客のセキュリティーチェック、緊急時の避難誘導など、ある程度の経験が必要となります。ゼロから警備員を育成するにしても、そのコストと時間は軽視できません。つまり、求められているのは、人手のかからない効率化された警備システムです。

大手2社は、今、ITを活用した警備を強化させています。身に付けることができるウェアラブルカメラによる情報共有の迅速化、小型無人飛行機(ドローン)を使った侵入者追跡や施設監視、飛行船を使った上空からの警備強化、不審なドローンの検知、不審者の感情を可視化する画像解析などがそれにあたります。

1964年、東京オリンピック選手村建設現場の警備で、警備業界は大きく浮上しました。それから約半世紀。2回目の東京オリンピックで、警備業界がさらなる上昇をつかみとることができるかどうか、2020年はすぐに迫っています。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『警備員・セキュリティスタッフになるには』山中伊知郎

警備の仕事についてわかりやすく書いてあります。法律や、IT活用による高度化といったテーマについてはあまり深く掘り下げられていませんが、業界研究をするのであれば十分な内容になっています。

業界研究をすれば、就活の戦い方がわかる

いかがでしたでしょうか。

この記事だけでも、業界の展望や各企業の力関係など、様々な発見があったかと思います。業界研究をせずに企業だけを調べても、業界全体の流れがわからず、狭い視野での企業研究になってしまいます。

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