【業界研究】ジュエリー業界の現状・動向・課題について

業界の現状

水とダイヤモンドのパラドックス

水ほど有用なものはないが、それでどのような物を購買することもほとんどできないであろうし、またそれと交換にどのような物をえることもほとんどできないであろう。

これに対して、ダイヤモンドはどのような使用価値もほとんどないが、それと交換にきわめて多量の財貨をしばしばえることができるであろう。(『諸国民の富』第1巻、岩波文庫)

少し文章が読みにくいですが、アダム・スミスの「水とダイヤモンドのパラドックス」と言われる経済学の命題です。経済学では「限界効用」とか「需要と供給」とも呼ばれています。

アダム・スミスが、ダイヤモンドに使用価値はほとんどないと書いたのは、スミス自身が使用価値を水といった人間の生存に必要なものと定義したからです。高価なダイヤモンドを身につけても飢えをしのげるわけではありませんし、防寒にもなりません。スミスの言うとおり、ダイヤモンドの使用価値はほとんどないのです。

しかし、ダイヤモンドというものが人類の有史以来、特別な存在として受け入れられてきたことも事実です。人々はダイヤモンドに価値を認め、大金を投じてダイヤモンドを購入してきたのです。

では、ダイヤモンドの価値とは一体何なのでしょうか。これは、ジュエリー業界に身を置く者すべてが考えなくてはいけないテーマです。

つまり、ダイヤモンドに代表されるジュエリーの価値を、そうした使用価値にだけ限定するのではなく、精神的なものも含めて使用価値を考え、それがどのような価値を持つのか明確に顧客に伝えなければならないということです。

金とプラチナ

ジュエリーとして人気があるのは、今も昔も「金」と「プラチナ」です。

金は、人類が装飾としてはじめて用いた金属と言われています。衰えることのない輝きと、希少性の高さが、現在でも貴金属として世界中で愛されている理由です。

プラチナは金よりも産出量が少なく、希少性の高さでは金をしのぎます。パリのルーヴル美術館には世界最古のプラチナと言われる『テーベの小箱』が展示されています。

ジュエリーに金やプラチナがよく使われる理由は、加工しやすいという特性があることと、さまざまな宝石との相性がよく、高いデザイン性を作り出すことができるからです。

現在でも、百貨店を中心に金やプラチナだけではなく、ダイヤモンド、ルビー、サファイア、などのジュエリーが人気を集めています。

基本情報

  • 市場規模:9,648億円
  • 労働者数:24,350人
  • 平均年齢:36.8歳
  • 平均勤続年数:7.3年
  • 平均年収:382万円

ジュエリー業界の市場規模は9,648億円となっています。ピーク時の1991年にはその市場規模は3兆円を超えていたので、この20〜30年間で3分の1以下に市場が縮小していてしまっていることになります。

そして、平均年収もその市場の縮小を反映してか、日本の平均収入をわずかに下回っています。

仕事内容

ジュエリー業界の仕事内容ですが、主に「企画」「生産」「販売」「サービス」に分かれています。

  • 企画:マーケティングを駆使しながら、製品をデザインする仕事です。
  • 生産:インゴット(地金)から製品までを生産する仕事です。クオリティを維持しながら製品を安定して供給することが必要になります。
  • 販売:主に自社製品の販売を行う仕事です。販売支援も行います。
  • サービス:豊富な経験とノウハウを活かし、お客様の立場に立ってアフターケアなどのサービスを提供する仕事です。

業界シェアランキング上位3位

1位:桑山:358億円
2位:As-meエステール:344億円
3位:サマンサタバサジャパンリミテッド:315億円

平均年収ランキング上位3位

1位:ヨンドシーホールディングス:477万円
2位:カワシマ・ゴールド:432万円
3位:ツツミ:426万円

業界の動向

ミキモトは真珠製品の価格引き上げ

日本の真珠の人気が世界的に高まっています。ジュエリー業界は相次いで真珠を使った製品を投入し、日本貿易振興機構もアコヤ真珠のPRに力を入れています。

訪日外国人にも日本の真珠が人気なこともあり、ジュエリー各社はデザイン性の高い製品を打ち出し、国内の需要拡大も狙っています。ヴァンドームヤマダは「ヴァンドーム青山」の店舗で、訪日外国人に土産物として人気のある3〜30万円ほどの価格帯の製品を中心に販売を行っています。

ジュエリー業界大手のミキモトは、2016年より真珠ネックレスを含む真珠製品について、約10年ぶりに平均7%の値上げをしました。同社では、生産量の減少と世界での需要増で真珠価格が高騰しているためとしています。

商品相場は騰落の兆し

ジュエリー店4℃を展開するヨンドシーホールディングスは、プラチナ製の結婚指輪や一部ブライダル商品の価格を引き下げました。

値下げ幅は3〜5%程度であり、値下げの理由は原材料のプラチナの市場価格が下落しているためです。ヨーロッパのジュエリーブランドのなかには、5年ぶりの安値となっているダイヤモンド相場を商品価格に反映する動きも出ており、今後商品相場の騰落により、価格の動向が変化すると見込まれています。

TASAKIの中国展開

真珠を中心としたジュエリー業界大手のTASAKIは上海に2016年、「TASAKI Shanghai Hong Kong Plaza Flagship Store」をオープンしました。同店は中国最大規模を誇り、モダンでラグジュアリーな店舗デザインとなっています。

TASAKIブランドが誇る熟練のクラフツマンシップと革新的なデザインを中国に広めていくとのことです。TASAKIの中国支店は2店舗目であり、その背景には中国での日本産真珠の人気の高まりがあります。

市場動向

市場規模は微減

2015年のジュエリー業界の市場規模は前年比0.8%減の9,648億円と前年からマイナスに転じました。2015年後半からの株安・円高による企業業績の停滞や、消費増税の影響があったものと考えられています。

矢野経済研究所の資料によると、2019年に予定されている消費増税前に駆け込み需要が起こること、今後も地金価格の上昇が予想されること、

 

また、東京オリンピックに向けての国内消費および訪日外国人によるインバウンド消費が期待されることを理由に、今後の市場規模は緩やかながらも上昇していくと予測されています。

業界の課題

ブライダルジュエリーの競争激化

ジュエリー業界においては、ブライダルジュエリー(婚約指輪と結婚指輪)の競争が激化しています。

厚生労働省の人口動態統計によると、2015年の婚姻組数は63万5,000組で3年連続で減少しました。こうしたなかで、ブライダルジュエリーの本数が減ったことに加え、婚約指輪の単価の下落などによりブライダルジュエリー市場は縮小傾向にあります。

その一方で、景気に左右されにくいブライダルジュエリー市場へ参入する企業やブランドも後を絶たず、百貨店のブライダルコーナーや、地方の専門店において競争が激化しています。

人口の減少にともない、今後はさらなる婚姻組数の低下が予測されることから、ジュエリー業界全体でブライダルジュエリー市場を維持していく対策を考えていかなければなりません。

ジュエリーに対する需要の低下

日経流通新聞「第44回日本の専門店調査」をみてみると、2015年のジュエリー専門店の売上高は、前年度比4.6%増と全体的には伸びているものの、上位企業13社中6社が売上を減少させているという興味深いデータになっています。

これは、従来型のジュエリー店の経営スタイルでは、上位企業といえども商売が成り立たなくなってきているということであり、従来型の経営スタイルというものの限界を示しているとも考えることができます。しかし、だからと言って経営を転換させれば解決するという問題でもないだけに、その根は深くなっています。

つまり結局のところ、ジュエリーに対する需要が下がり、消費者がジュエリーを欲しがっていないという問題に行き着いてしまうのです。ジュエリー業界はこれから、そういった難問に対する答えを見つけていかなくてはいけません。

業界の今後の将来性

国外での競争力の強化が必要

近年のジュエリー業界の売上は、訪日外国人によるインバウンド消費によるよころが大きくなっており、今後もその傾向は続くと見られています。国内の景気回復傾向もジュエリー業界にとってはプラス要因の1つです。

しかし、ブライダルジュエリー市場の縮小や、消費増税などによる節約志向は避けられず、国内での消費の伸びは過度には期待できないでしょう。ジュエリー自体の価格を手頃に設定し、若年層を取り込んでいくといった対策も必要となります。

そして、国内産の真珠が世界各地で高い評価を受けているように、日本国内の技術の粋を結集して品質の向上に努め、海外市場へ展開していくことも、視野に入れなければなりません。

中国人向けに中国のSNSや旅行会社と組んで情報発信をしている企業も増えてきましたが、中国や訪日外国人だけにターゲットを絞るのではなく、世界の市場に対して魅力のある情報を発信できるようになってはじめて、市場の拡大は可能となるのです。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『ジュエリーの世界史』 山口遼

ジュエリーについての興味深い話がたくさん載っているのでピックアップしましたが、純粋な業界研究本ではありません。ただし、著者は、真珠で有名な大手企業ミキモトに勤められていた方なので、ジュエリー業界を志望される方は読んでおいて損はないかもしれません。

業界研究をすれば、就活の戦い方がわかる

いかがでしたでしょうか。

この記事だけでも、業界の展望や各企業の力関係など、様々な発見があったかと思います。業界研究をせずに企業だけを調べても、業界全体の流れがわからず、狭い視野での企業研究になってしまいます。

自分の志望する業界は、かなりの時間を割いてでも研究するべきでしょう。

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