【業界研究】パン業界の現状・動向・課題について

業界の現状

健康志向が消費者に定着

成城石井が2016年の食のキーワードとして取り上げたのが「さらなる健康志向」というフレーズでしたが、消費者にとっても2016年はまさにそうした意識が定着した1年になりました。

スーパーマーケットトレードショウでも、健康を意識した素材のパンがたくさん提案され、なかでも「レーズンペースト」や「プルーン」を油脂の代替商品として利用するという画期的な素材の使い方に驚きの声が上がりました。

パンを作るには油脂を入れる必要がありますが(油脂はカロリーでいうと9kcal/gと熱量が高い)、糖質制限ダイエットやグルテンフリーの流行の兆しに頭を悩ませてきたパン業界にとって朗報となるかもしれません。

パン業界のガリバー「山崎製パン」

2016年、山崎製パン(※)はクッキーの「オレオ」やクラッカーの「リッツ」の製造・販売を終了しました。

これは、外資系菓子メーカーのモンデリーズ・インターナショナルと山崎製パンとのライセンス契約が終了したためで、現在は、モンデリーズ・ジャパンが同ブランドの製造と販売を行なっています。

1970年から40年以上続いた契約の解消は、パン業界で約75%ものシェアを誇る山崎製パンの業績に陰を落とすのではないかと注目を集めました。しかし、山崎製パンは「リッツ」にかわるクラッカー「ルヴァン」を投入して、依然として好調を維持。パン業界のガリバーともいわれる山崎製パンが揺らぐことはありませんでした。

※山崎製パンは、パン業界最大手の製パン会社でありますが東ハト、不二家、ヤマザキビスケットを子会社として持ち、ベーカリー・カフェ「ヴィ・ド・フランス」やコンビニエンスストア「デイリーヤマザキ」を全国で展開しています。

基本情報

  • 市場規模:1兆4,042億円
  • 労働者数:19,141人
  • 平均年齢:38.8歳
  • 平均勤続年数:13.7年
  • 平均年収:473万円

パン業界の主な数字は、市場規模1兆4,042億円、平均年収473万円となっています。残業が多く、商品ごとにかたちが変わるパン作りの仕事は大変という声もありますが、日本の平均年収を若干ではありますが上回っているようです。

ちなみに、総務省「家計調査年報」によると、2014年の1世帯当たりのパン購入金額は前年比4.4%増の2万9,210円でした。

仕事内容

パン業界の仕事内容ですが、製パン会社は、主に「生産部門」「営業部門」「管理部門」に分かれています。

<生産部門>
製品を企画してカタチにしていく部門です。商品の数だけチャレンジが必要になります。

<営業部門>
スーパーやコンビニといった取引先とコミュニケーションをとりながら、商談や新製品の開発を行う部門です。

<管理部門>
従業員が快適に働くことのできる環境を作る部門です。原材料の調達から、人事にいたるまで仕事の幅は広いです。

業界シェアランキング上位3位

1位:山崎製パン:8,963億円
2位:フジパングループ:2,556億円
3位:第一屋製パン:246億円

平均年収ランキング上位3位

1位:フジパングループ:567万円
2位:山崎製パン:559万円
3位:コモ:440万円

業界の動向

パンの消費が上向く

一時期停滞していた焼きたてパンに対する需要が再び伸び始めています。

この需要を支えているのは20〜60代の女性です。そのため、ベーカリーだけでなく、食品スーパーやコンビニなどもパンに力を入れています。また、百貨店の食品フロアでは、有力ベーカリーのテナントを入れて競争させています。付加価値のある商品なら、価格が高くても消費者は購入する傾向が高いようです。

人気のパンは

ライ麦、ブラン、全粒粉、米粉などを添加したノンホワイトブレッドが人気となっています。

2012年にローソンからプライベートブランド(PB)で「ブランパン」が発売され、ノンホワイトブレッドに注目が集まりました。2013年には、敷島製パンがライ麦入りの「超熟」を発売。さらには、ローソンが「ブランブレッド」「ブランパン2個入り」をヒットさせたことで拡大しました。現在は、その他の製パン会社からもヘルシーをイメージしたノンホワイトブレッドの投入が相次いでいます。

山崎製パンがウェブサイトを全面刷新

山崎製パンは約10年ぶりにインターネット上のサイトを全面刷新し、300以上のレシピをまとめたサイト「大好き!パンメニュー ヤマザキッチン」を新設しました。

管理栄養士やフードコーディネーターが提案したレシピは、パンの種類や使用食材の他に、時間短縮レシピなどシーン別・目的別に検索が可能となっています。また、店頭で開催する試食会では、レシピ付きの冊子を無料配布するなど、サイトとレシピの認知度向上に努めています。

Boulangerie ASANOYA

パン業界においては老舗ともいえる浅野屋が、シンガポールに海外店「ブランジェ浅野屋」を開業しています。

店内で調理したパン約60種類を提供しており、日本で人気となっている量り売りパン「軽井沢ブレッド」はグリーンティ、ブルーベリー、レーズンの3種類が用意されています。また、イートインコーナーも設けており、コーヒーなどの飲み物の他、スープやサラダなどの軽食メニューも揃っています。

現在、シンガポールの「ブランジェ浅野屋」は3店舗に拡大し、今後はシンガポール向けに開発した商品をさらに取り扱っていくとのことです。

市場動向

国内パン市場規模

矢野経済研究所によると、2014年の国内パン市場規模は、前年比0.2%増の1兆4,042億円でした。市場の3割を占める菓子パンは同1.4%減の4,492億円でした。一方、食パンは同4.0%増の2,855億円でした。

パン業界全体での、高価格帯商品の開発・発売が市場拡大につながったものと考えられています。

業界の課題

原料原産地表示問題

加工食品で使われている原料の原産地表示が義務付けられていますが、日本パン工業会は、中間加工品である小麦粉の原料原産地表示は実行不可能であることを、農林水産省をはじめ各方面に訴えてきました。

結果、小麦粉等の中間加工原材料は米国産であっても製造が国内であれば「国内製造」等の製造地表示をすることで決定し、日本パン工業会の訴えが認められた形となりました。

工場ではどこの小麦粉を使っているかを完全に把握できないため、今回はこの現実的な決定になりましたが、今後は、消費者に誤解がないようにパン業界全体で原産地表示の対応をしていかなくてはなりません。

TPPの行方

2015年10月に12ヶ国による交渉が大筋合意に達した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が振り出しに戻りました。

トランプ次期大統領(当時)は2016年11月に、オバマ政権が推進したTPPについて、「就任初日に離脱を通告する」と明言。そして、2017年1月20日、第45代アメリカ合衆国大統領に正式に就任した直後にホワイトハウスのホームページで公式にTPPからの離脱を表明しました。

第45代大統領は、日米自由貿易協定(FTA)など2国間での通商協定を目指す可能性を示してはいるものの、これにより、大筋合意した関税撤廃はゼロに戻り、輸入小麦の動向は不透明なものとなりました。

パン業界としても、依然として先の見えない状態が続いています。

給食問題

学校給食パンが減少しています。

パンの消費動向は50歳以上では消費の増加がみられますが、若年層ではパン離れの傾向があり、学校給食で提供されるパンの回数の減少に歯止めをかける必要があります。

日本パン工業会は、パン食を普及させるというパン業界の立場からも、パン産業振興議員連盟などの力を借りてこの問題に積極的に取り組んでいくということです。

業界の今後の将来性

競争はさらに激化の恐れ

家で食事をする内食化の高まりとホームベーカリーなどの普及により、パンの需要は底堅く推移しています。農林水産省「食品産業動態調査」によると、2014年のパン類の生産量(原料小麦粉の使用量)は、前年比0.7%増の123万4,270トンとなり5年連続のプラスとなりました。

ただし、生産量は増加傾向にあるものの、スーパーやコンビニがPB商品を増やしているため、店頭での売り場確保が難しくなっており、パン業界全体として経営環境は厳しさを増している状況です。

激しい生存競争を勝ち抜くには、主力製品の品質向上や新商品開発の促進が不可欠となり、そのためにはマーケティングを綿密に行い、特徴ある商品開発を続ける必要があります。また、パン職人不足も指摘されているので、人材育成も合わせて推進していかなければなりません。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『パンニュース』 パンニュース社

月3回発行されている、パン業界についての専門新聞です。パンやその関連企業の最新情報が掲載されています。図書館に置いてあることも多いので、就職活動の業界研究に利用してみてください。

業界研究をすれば、就活の戦い方がわかる

いかがでしたでしょうか。

この記事だけでも、業界の展望や各企業の力関係など、様々な発見があったかと思います。業界研究をせずに企業だけを調べても、業界全体の流れがわからず、狭い視野での企業研究になってしまいます。

自分の志望する業界は、かなりの時間を割いてでも研究するべきでしょう。

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