【業界研究】カラオケ業界の現状・動向・課題について

業界の現状

DAMとJOYSOUND

2015年、カラオケ業界の2大メーカーが揃って新商品を発表したことで、カラオケボックス市場を中心にフルモデルチェンジしたカラオケ機器が導入されました。

もちろん、2大メーカーとは、「第一興商」と「エクシング(ブラザー工業グループ)」になります。以前は、第一興商、エクシング、BMBの三つ巴でしたが、2010年にエクシングがBMBを完全子会社化したことにより、カラオケメーカーは第一興商とエクシングの複占状態となりました。

現行機種は、以下のとおりです。

  • 第一興商:LIVE DAM STADIUM(DAM)
  • エクシング:JOYSOUND MAX(JOYSOUND)

さて、このDAMとJOYSOUND、何が違うのでしょうか。簡単に、まとめてみます。

DAM

  • 直営店の数(ビッグエコー):約480店舗
  • 音:原曲の再現性が高い
  • 曲数:約20万曲
  • その他:メディアへの露出が多かった(『関ジャニの仕分け∞』のカラオケ得点対決のコーナーでLIVE DAMの「精密採点DX」が使われていた)

JOYSOUND

  • 直営店の数(JOYSOUND直営店):約100店舗
  • 音:最新機種で音が良くなった
  • 曲数:約26万曲
  • その他:ボカロ、アニメコンテンツの導入が早い

というわけで、直営店の数と音の再現性という点で、今のところDAMのほうが若干優位に立っています。ただ、この2015年に発売された両機種でみる限り、どちらも性能が高く、そこまでの差はないというのが実情のようです。

現在は、このカラオケ機器がさまざまな環境でレジャー・エンターテインメントとして楽しまれています。

基本情報

  • 市場規模:6,144億円
  • 労働者数:2,154人
  • 平均年齢:40.0歳
  • 平均勤続年数:9.3年
  • 平均年収:621万円

カラオケ業界の市場規模は6,144億円とそこまで大きくはありませんが、平均年収621万円は十分に高い数字となっています。6,144億円の内訳ですが、カラオケボックス市場:3,979億円、酒場市場:1,732億円、旅行・ホテル市場:55億円、その他の市場:378億円となっています。

酒場市場とは主にクラブ・スナック・居酒屋などを指し、旅行・ホテル市場は、観光バスやホテルを指します。そして最近は、その他の市場で高齢者施設や福祉施設といったエルダー市場が売上を伸ばしています。

仕事内容

カラオケ業界の仕事内容ですが、主に「営業」「店舗」「開発」「制作」「管理」に分かれています。

営業

業務用カラオケ機器の販売・リースをメインにした営業活動を行います。

店舗

運営しているカラオケ店舗にて接客をする仕事です。店舗の従業員は、社員よりもアルバイトの方が多くなるため、その仕事は教育が中心になります。

開発

カラオケ業務システムの開発を行う仕事です。

制作

レコード会社、芸能プロダクションと連携して、カラオケ配信曲の編成やアーティストの楽曲プロモーションの場として企画提案を行う仕事です。

管理

社員が快適に働くことのできる環境を作る仕事です。総務、経理、財務とその仕事は多岐にわたります。

業界シェアランキング上位3位

1位:第一興商:470億円
2位:シダックス:415億円
3位:コシダカホールディングス:198億円

平均年収ランキング上位3位

1位:AOKIホールディングス:739万円
2位:コシダカホールディングス:734万円
3位:第一興商:635万円

業界の動向

第一興商が家庭向けサービスを開始

第一興商は、家庭のテレビでカラオケを楽しむことができるサービス「光カラオケBOX+@DAM」を2014年から始めています。

利用に必要なものは、ネット接続環境、テレビ、「光BOX+」だけで、必要に応じて、マイクやスピーカーもつなげることができます。光回線を利用してインターネット経由で、カラオケ店とほぼ同様な音質の音と映像により10万曲の楽曲を楽しむことができます。

シニア層を念頭に、専用アプリを立ち上げたときのホーム画面などをわかりやすい表示にして、シンプルな操作を実現させています。

シニア向けサービスを工夫

シダックスは、2014年から60歳以上の会員を対象に、優待サービスを実施しています。具体的には、ドリンクなどを最低1品ずつ注文しなければいけませんが、毎週月曜日に限りカラオケルームを2時間無料で利用できるというものです。同社によると、サービス実施以降、シニアの利用が増え、平日昼間の稼働率が向上してるとのことです。

また「ジャンカラ」を運営している東愛産業は、2010年より55歳以上を対象に会員カード「シニアカード」を提供しています。会員数は2015年ですでに10万人を突破しており、そのニーズの高さを伺うことができます。

カラオケ業界の最近の傾向

カラオケ業界では一般的に料金は部屋代、飲食代の2つで構成されています。

部屋代は平日と休日、昼間と夜間で異なります。競争が激しい都心部では、平日昼間は300円といった低料金の施設もあります。利用者獲得のため、主婦・子供連れやシニア層を割り引くケースも増えています。このため、飲食メニューを充実させ、売上げアップを狙う施設も多くなっていますが、飲食代の売り上げはおおむね3割程度にとどまっています。

市場動向

カラオケ参加人口、施設数とも横ばい

カラオケ市場はここ数年横ばい状態が続き、カラオケ業界は安定傾向にあります。

カラオケ業界が最も利益を出した1996年の市場規模は1兆3,000億円で、前年比1000億円を超える伸びを見せていました。CDシングルのミリオンセラーが数十作品出ていた時期であり、カラオケとの好循環が生まれていた時代でした。

カラオケ参加人口は、3年連続で微増となっています。カラオケボックスの施設数・ルーム数もここ数年微増となっています。2000年代半ばごろまではレストランを併設した郊外型店舗の拡大が目立っていましたが、現在では、都心・繁華街へのカラオケボックスの出店が再び目立つようになっています。

その他にも、観光バスや結婚式場などでもカラオケ機器が導入されており、規模は大きくはありませんが、安定した市場の形成に一役買っています。

業界の課題

まだまだ少ない訪日客

訪日旅行客が増加するなかで、訪日客が多い地域にあるカラオケ店では看板を英語表記にするなど、各社は対応を進めています。

シダックスは「シダックス 六本木クラブ」に近い「ザ・リッツ・カールトン」などのホテルと連携して、日本独自のエンターテインメントとして、宿泊客にカラオケを勧めてもらうことで、月間で100〜200人前後の訪日客を獲得しているとのことです。

また、第一興商は、ビッグエコー秋葉原駅前店などで英語、中国語、韓国語などの看板を導入しているほか、受付表でも英語で利用時間や料金をわかりやすく説明しています。

しかし、一部の店舗で対応しているだけに過ぎず、まだまだ大きな収入源となっていないのが現状です。

「まねきねこ」の韓国店舗

カラオケ店「まねきねこ」を展開するコシダカは、海外でのカラオケ店事業を強化しています。

現在、韓国のソウルやインチョンなど都市部と郊外で5店舗を展開していますが、これを2020年までに100店舗に増やす計画です。韓国の利用者はほとんどが学生で、若年層を中心に根強い人気があります。

また、コシダカは韓国以外に、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナムへの出店も検討していますが、環境の違う状況でカラオケがどこまで受け入れられるか未知数の部分も多く、ビジネスとしては課題が残っています。

業界の今後の将来性

収益確保の多様化を

カラオケ業界の需要が伸び悩んでいる現在、カラオケだけでは大きな成長は見込めません。ゲームなど他の室内娯楽も合わせて楽しめる施設づくりも必要となってくるでしょう。

また、カラオケ業界では、カラオケボックス内での飲食で3割程度の売上を確保する営業形態が一般的ではありますが、他業種展開しているカラオケ関連企業では、カラオケボックスと同じビルに自社が運営するレストランを出店させるなどして、複合的に収益を確保していくという手段も活用したいところです。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

全国カラオケ事業者協会

本ではありませんが、カラオケの歴史から、カラオケ業界の概要と市場規模をまとめた「カラオケ白書」の抜粋も掲載されていますので、業界研究の一環として目を通してみるのもいいかもしれません。