【業界研究】航空業界の現状・動向・課題について

業界の現状

消えゆく「第3極」

2015年1月、航空会社スカイマークエアラインズが民事再生法の適用を申請し、経営破綻しました。

超大型機A380を購入して国際線就航をもくろんでいたものの、業績の低迷などから機体購入のキャンセルを余儀なくされ、巨額の違約金を請求されたことが経営悪化の主な原因とされています。経営再生にむけて、ANA(全日空)による経営支援を受けながら、ANA・JAL(日本航空)との共同運航を行なっています。

1990年代の後半から、ANAとJALに次ぐ国内3番手のスカイマークエアラインズのほかに、エアドゥ、スカイネットアジア航空、スターフライヤーが誕生し、「第3極」と呼ばれました。しかし、これらの会社はいずれもうまくいかず経営的に破綻し、結局はすべてANAとJALの傘下に入りました。

「第3極」は、ANA・JALよりも格安の運賃を武器としましたが、LCCなみの低運賃を実現することはできず、運賃・サービスともに中途半端なものとなってしまいました。LCCほどコストを減らす体制が整っていなかったのです。

航空業界は現在、「第3極」をかかえたANA・JALに、LCCを加えた三つ巴で国内線市場を競い合う状況となっています。

LCCって何?

LCCとは、ローコストキャリア(格安航空会社)のことをいいます。

ジェットスター・ジャパン、ピーチ・アビエーション、バニラ・エアといった航空会社がLLCで、その魅力は低価格を追求している点にあります。

低価格を実現できている理由としては、機体を1種類に絞っていること、機内サービスを有料にしていること、短・中距離を中心に多頻度運行といったコスト削減策をとっていることが挙げられます。

それに対して、ANAやJALはフルサービスキャリア(FSC)、またはレガシーキャリアと呼ばれています。

基本情報

  • 市場規模:3兆1,888億円
  • 労働者数:17,252人
  • 平均年齢:39.1歳
  • 平均勤続年数:7.3年
  • 平均年収:583万円

航空業界は、パイロットや客室乗務員といった業務の華やかなイメージもあって、就職活動の人気ランキングでも毎年上位にランキングされています。しかし、その人気の割には市場規模は小さいと言ってもいいでしょう。

これは、航空業界自体がもともと規制の厳しい業界であったところに、航空法が改正され、既存の航空会社よりも格安の運賃を武器に参入する企業が相次いだことで、航空業界全体が価格競争を余儀なくされてしまっていることが原因と考えられます。

そして、平均年収も583万円と日本の平均値よりは多いものの、パイロットとその他の業務での収入格差が大きいことでも知られています。

仕事内容

航空業界は、組織的に「運航」「整備」「運送」「営業」に分けることができます。そして、それぞれの部門の下に多数の関連部署が置かれています。

運航

飛行機の安全運航を担当する部門。(乗員部、航空管制官、航空管制通信官など)

整備

点検などを担当する部署。(管理、技術、品質保証など)

運送

運航のソフト面に関わる部署。(旅客輸送、貨物輸送など)

営業

商品として航空券を販売する部署。(国内旅客部、同貨物部、国際旅客部、同貨物部、管理部、企画部など)

※実際の組織構成は会社ごとに異なります。

業界シェアランキング上位3位

1位:ANAホールディングス:1兆7,134億円
2位:JAL:1兆3,447億円
3位:スカイマーク:809億円

平均年収ランキング上位3位

1位:ANAホールディングス:789万円
2位:アジア航測:686万円
3位:JAL:662万円

業界の動向

国内線はANAとJALが圧倒

日本の航空業界には20を超える民間航空会社がありますが、ANAとJALが市場を2分する寡占状態にあり、両社で国内シェアの80%を占めます。レガシーキャリアのANAとJALですが、2012年よりそれぞれ系列のLCCも運航開始しています。

拡大するLCC

航空業界における近年の航空需要増大を支えているのがLCCです。レガシーキャリアよりも安価なLCCは新規需要を掘り起こす一方で、レガシーキャリアのシェアを奪う方向にあります。こうしたなか、レガシーキャリアでは、マイレージやラウンジの充実などで差別化を図っています。

また、比較的客単価の安いアジア路線などはLCCに任せて、ビジネスクラスの利用が多く、客単価が高い欧米線に特化する方向にあります。

成田にLCCターミナル誕生

2010年秋に、羽田国際空港に4本目の滑走路が完成しました。羽田は、発着枠の拡大によって余力が生まれ、そのアクセスのよさからも、成田に対して優位に立っています。深夜早朝に限定されていた国際線がすべての時間で利用可能となり、これまでの羽田=国内、成田=国際という構図を変えつつあります。

一方の成田国際空港も進化を続けています。2015年に発着回数を27万回から30万回まで増やし、国内線の比率を高めました。そして、第3ターミナルをLCC専用ターミナルとして共用を開始しました。現在では、第2ターミナルと第3ターミナルの2つでLCCの発着が行われています。

市場動向

航空需要は増加が続く

国内旅行や訪日外国人の増加を背景に、航空運送の旅客需要は国内・国際と堅調に推移しています。国土交通省「航空輸送統計」によると、国内定期航空輸送の旅客数は対前年比1.4%増の9,720万人、国際航空輸送の旅客数は対前年比12.3%増の2,050万人と5年連続のプラスとなっています。

2030年には現在の2.6倍に拡大する予測も

今後数十年にわたって、世界全体での航空需要は右肩上がりで上昇すると言われています。その原動力となるのが、中国・インドにおける経済発展と、中間層の人口拡大です。これらのあまり飛行機を利用してこなかった層の出現によって、将来の航空業界では現在の約2.6倍の輸送量になると考えられています。

業界の課題

LCCは早くも正念場

着陸料の高さや成田空港の発着枠不足などから、日本はLCCの就航が遅れ気味でしたが、2007年にオーストラリアのジェットスター航空が初就航したことをきっかけに、アジアのLCCが日本路線を開設しました。

外資系のLCCの攻勢を受けて、日本資本のLCCも相次いで就航を開始しました。ANAは第1のLCCとしてピーチ・アビエーション、第2のLCCとしてバニラ・エアを設立しました。

また、2014年からは、上海に拠点を置く中国最大の旅行会社である春秋旅行社の資本による春秋航空日本も就航。さらに2016年には、エアアジア・ジャパンも楽天グループと提携して、中部地方を中心に運航を開始するなど、航空業界自体の移り変わりが激しくなっています。

そして、そのなかでもLCCはその運賃の安さから思うように収益を上げることができず、各社ともに苦境に立たされています。

次世代機A380

2016年、ANAがこれまでの機材とは別の形である、次世代機エアバスA380を導入すると発表しました。

エアバスA380とは、超大型機としてコストを下げることを意図して作られている機材です。スーパージャンボと呼ばれるなど、史上最大・世界最大の旅客機であり、機体の床面積の広さを生かしてラウンジやシャワー室を設置するエアラインが登場するなど、空の旅のイメージを一新するのに大きく貢献しています。

ただし、座席数が多いことから、その座席を埋めることが難しいとも予測され、一部の航空会社をのぞいて導入を躊躇するエアラインも少なくありません。

しかし、1人あたりの運航コストで考えれば最も有利になることもあり、今後の航空需要が伸びれば、A380の受注数が増える可能性も存在しています。

業界の今後の将来性

航空業界全体の市場は伸びると予想されるものの…

航空業界は、ANAとJALを中心として、その多くが業績を伸ばしています。そして、前述した通り、今後数十年にわたって、世界全体での航空需要は右肩上がりで上昇するとも言われています。

しかし、日本の人口が減っていることを考えると、国内線で収益を増やすのは難しくなるため、今後は、国際線でとくに航空需要の大きいアジア各国の旅客をいかに呼び込めるかにかかっています。

対するLCCも参入障壁が下がったうえ、低コスト運営を強いられるので当面は厳しい経営が続くことが予想されます。国内LLCでこれまでに黒字化したのはピーチだけという事実がそれを示しています。整備にかかる経費や着陸料などの固定費が下げられるかどうかが発展の鍵となりそうです。

航空業界全体の市場は伸びると予想されるものの、各航空会社間の競争はさらに激化する見通しとなっています。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。

企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『トラベル・航空〈2016年度版〉』中村正人

産学社「産業と会社研究シリーズ」のトラベル・航空編になります。旅行業界と航空業界という2つの業界について書かれているので、それぞれの業界の情報は少なくなりますが、基本的なポイントはおさえてありますので、就職活動における業界研究にも役に立つ1冊となっています。

業界研究をすれば、就活の戦い方がわかる

いかがでしたでしょうか。

この記事だけでも、業界の展望や各企業の力関係など、様々な発見があったかと思います。業界研究をせずに企業だけを調べても、業界全体の流れがわからず、狭い視野での企業研究になってしまいます。

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