【業界研究】不動産業界の現状・動向・課題について

業界の現状

不動産業界とは?

不動産業界とは、その名の通り不動産で収益を得る業界のことです。不動産とは主に法律で用いられる概念であり、多くの場合において土地とその定着物を指すことが多いようです(民法86条)。

建物それ自体でも土地とは別個の不動産とみなされていたりもしますが、ビジネスで不動産を扱う場合は、必ず土地から始まります。不動産は立地がすべてです。

駅からの距離、周辺環境、地形とあらゆるものが関係します。道路付けも大切で、建物は4メートル以上の幅の道路に、2メートル以上接している土地の上でなければ建てることはできません。

そして最も重要なことは、「その北側に何があるか」です。北半球に位置する日本では、南側に高い建物が建つとその北側の建物の日照条件が変わってしまうからです。

この用地の取得業務を行うのが「不動産開発業」です。不動産業界の仕事のなかでも最も難易度が高く、デベロッパーとも呼ばれています。

他にも、不動産を「売りたい」「買いたい」というニーズの間に立って取引をまとめていく「不動産流通業」、集合住宅やビルを所有し法人や個人に貸し出す「不動産賃貸業」、ビルや商業施設などを建物のオーナーから委託されてメンテナンスや清掃などを代行する「不動産管理業」とあり、これらがすべて関わりあって不動産業界を形成します。

以下、主要企業をまとめました。

不動産開発業

  • 三井不動産:国内最大手。日本橋の再開発を推進。
  • 住友不動産:都心オフィスビルや、リフォームに強み。
  • 三菱地所:丸の内を中心に大規模再開発を継続中。
  • 東京建物:高齢者向け賃貸にも強みあり。

不動産流通業

  • 三井不動産リアルティ:三井のリハウス。不動産流通最大手。
  • 住友不動産販売:ステップ・ブランド。

不動産賃貸業(アパート賃貸中心)

  • 大東建託:賃貸アパート建設から仲介まで。
  • レオパレス21:セコムと提携し、セキュリティ強化中。
  • 東建コーポレーション:中部地方の雄。

不動産賃貸業(オフィスビル賃貸中心)

  • ヒューリック:昭栄と旧ヒューリックの合併会社。
  • 森ビル:虎ノ門ヒルズが2014年に完成。
  • 森トラスト:港区での再開発中心。

基本情報

  • 市場規模:39兆9,812億円
  • 労働者数:45,886人
  • 平均年齢:39.3歳
  • 平均勤続年数:7.6年
  • 平均年収:618万円

不動産を扱うだけあって、不動産業界の市場規模は大きいです。財務省の「法人企業統計調査」によると、日本国内においては4番目の大きさを持つ業界となっています(1位:自動車業界、2位:建設業界、3位:医療業界)。

ただ、平均年収が年ごとに変動する業界としても知られていて、今回のこの618万円という数字は日本の平均年収よりも高めに出ましたが、これは不動産価格が上がり、マンションの売れ行きも好調という追い風を受けてのものと考えることができます。

仕事内容

不動産の販売、売買や賃貸の仲介に従事する不動産会社には免許が必要になっています。これは宅地建物取引業(宅建業)免許と呼ばれるもので、これにより不動産会社は従業員5人に1人の割合で宅建士を設置する義務を負うことになります。

宅建士の主要業務は「重要事項説明書」の読み上げになります。「重要事項説明書」とは呼んで字のごとく、対象不動産に関する重要な事項がすべて書き込まれた書類です。つまり、これをきちんと消費者に説明することで、適正な運営と流通の円滑化および消費者保護をはかっているのです。

業界シェアランキング上位3位

1位:三井不動産:1兆5,679億円
2位:飯田グループホールディングス:1兆1,881億円
3位:三菱地所:1兆1,102億円

平均年収ランキング上位3位

1位:ヒューリック:1,267万円
2位:東急不動産ホールディングス:1,212万円
3位:ランドビジネス:1,184万円

業界の動向

オフィスビルの建設が相次ぐ

東京の都心部で、大規模なオフィスビルの建設が相次いでいます。これは、国が都心部の主要地区を国家戦略特区*と指定したためで、とくに東京オリンピックが開かれる2020年までのうちにオフィスビルが大量に建設される見通しとなっています。

三井不動産の日本橋再生計画、三井不動産や東京建物による東京駅前の高層ビル開発、森ビルや森トラストが虎ノ門地区に相次いで建てている超高層ビルと、これらはすべて特区地域が中心となっています。

*国家戦略特区とは、第2次安倍内閣において、地域振興と国際競争力向上を目的に規定された経済特区のことで、アベノミクスの成長戦略の柱として掲げられています。この地区に独立政府のような主体性を持たせることで従来の規制を大幅に緩和し、外国企業を誘致する狙いがあります。

大手が都心部で飲食ビル建設

大手不動産会社が都心部で外食テナントを中心とした商業ビルの開発を進めています。野村不動産は、飲食店をメインとした都市型ビル「GEMS(ジェムス)」を渋谷、市ヶ谷、大門に続き、神田に開業しました。

GEMSは、周辺のオフィスワーカーや住民に新たな食や空間の提供を目指し、2020年までに都心の駅前を中心に20ヶ所まで拡大する計画となっています。

また、東京建物は、2016年に飲食店を中心としたテナントビル「FUNDES(ファンデス)」を水道橋に続いて、神保町に開業。FUNDESは20〜40代の働く女性をターゲットにしており、カフェや居酒屋など女性のニーズに合わせた店舗を入居させています。

同社は、シリーズ第3弾として上野にも開発を予定しています。都心のオフィスビルの供給は進んでいますが、働く女性を対象にした外食施設は少なく、両社は安定した賃料を見込める商業不動産事業により収益源の多様化をはかろうとしています。

住宅数は増加傾向にあり

国土交通省の「建築着工統計調査報告」によると、新設住宅着工戸数は3年連続で増加しています。持家は前年比2.7%増、借家は前年比15.3%増、分譲住宅が前年比1.8%減となっています。

市場動向

地価は都市部が上昇、地方は低下

2015年に国土交通省が公表した公示地価によると、金融緩和政策と円安による海外マネーの流入もあって全国的に地価は上昇しています。とくに、東京、大阪、名古屋の3大都市圏では上昇が顕著になっています。

ただし、地方の場合は、地価の大きな下落はないものの、依然として低空飛行を続けており、今後も都市部と地方の二極化の状態は変わらないと推測されます。

不動産市況は好調

金融緩和の影響もあり各不動産会社の業績は好調で、不動産業界は活況となっています。この状況は、東京オリンピックのある2020年までは続くとみられています

業界の課題

参入障壁の低さがマイナスとなることも

不動産業界は参入障壁の低い業界として知られています。

実際、宅建業免許さえ取れれば誰でも開業することが可能です。宅建業免許は不動産業界の大手企業に就職する人間の7割が学生のうちに取得し、残りの3割も入社から1〜2年以内に取得を終えます。

世の中の多くの資格試験同様、試験そのものは決してやさしくはありませんが、ちゃんと勉強さえすれば6〜7割で受かると言われています。それゆえに、ネットで商売をする会社が新たなビジネスモデルを求めて入ってくることが多いようです。

そして、不動産は一生に一度の買い物になることが多く、客が二度目の客(リピーター)になる可能性が極端に低いという性質を持っています。つまり、売ったら売りっぱなし、どんな不動産でも売ってしまえばそれでお終いというビジネススタイルに陥りやすいのです。

近年において、このスタイルの新規参入組が増加し、目の前の客だけを相手にする体質や目の前の客を「追客」する体質が散見され、このことが業界のイメージ低下を招く一因となっています。

不動産業界は参入障壁が低い一方で、景気の変動を受けやすく、市況が悪化すると一気に淘汰が進むということを何度も繰り返してきました。新規参入組に限らず、苦境に陥ったときに淘汰されないビジネスモデルの確立が求められています。

業界の今後の将来性

2020年前後に不動産暴落の危機も

今現在、不動産業界の市場は活況を呈しています。東京オリンピック需要やアベノミクス効果により、2020年まではその活況が続くとみられていますが、問題はその後になります。

人口の減少とともに市場自体の縮小も確実視され、国家戦略特区に建設した大規模なオフィスビルもテナントの獲得・維持をするにはかなりの困難が待ち構えていると予想されます。

さらには、不動産価格が高騰しているのは東京のごく一部の地域だけであり、投資をしているのも価格上昇を期待している海外の投資家が多くなっています。

つまり、オリンピック需要での売却差益(キャピタルゲイン)が狙いの投機であり、そうなると東京オリンピックが開催される前に大量の不動産が売却され、オリンピックバブルとしてはじける恐れがでてきます。

もちろん、2008年のリーマンショックにしろ、2011年の震災にしろ、苦境を乗り越えて生き延びてきた企業はたくさんあります。そして、日本4位の巨大な市場もあります。

ですので、好況の今こそ、オリンピック需要だけではなく、日本ならではのサービスや品質を売りに、不動産業界全体で海外の市場開拓を目指すことが必要になってくるのではないでしょうか。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『不動産〈2018年度版〉 』 伊藤歩

産学社から刊行されている「産業と会社研究シリーズ」になります。最新情報を更新しながら毎年リニューアルされている本なので、業界研究に最適です。

業界研究をすれば、就活の戦い方がわかる

いかがでしたでしょうか。

この記事だけでも、業界の展望や各企業の力関係など、様々な発見があったかと思います。業界研究をせずに企業だけを調べても、業界全体の流れがわからず、狭い視野での企業研究になってしまいます。

自分の志望する業界は、かなりの時間を割いてでも研究するべきでしょう。

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