【業界研究】マスコミ業界の現状・動向・課題について

業界の現状

マスコミとは、Mass Communicationの略語になります。マスは「大衆・大量」で、コミュニケーションは「伝達」です。

マスコミ業界とよく言われますが、マスコミという職業は実際には存在しません。何らかの媒体を通じて情報を発信すれば、それがマスコミになるからです。媒体とはメディアとも言い、一般的には新聞、放送、出版のことを指します。また、これらのメディアに広告を出す広告代理店もマスコミ業界として扱われることが多いようです。

つまり、新聞、放送、出版、広告といった仕事はすべてマスコミであり、それらの業界の総称がマスコミ業界になるのです。

基本情報

  • 市場規模:13兆7357億円
  • 労働者数:75588人
  • 平均年齢:39.7歳
  • 平均勤続年数:12.2年
  • 平均年収:868万円

また、新聞業界、放送業界、出版業界、広告業界の個別のデータをまとめました。

新聞業界

  • 市場規模:1兆8266億円
  • 労働者数:42676人
  • 平均年齢:38.8歳
  • 平均勤続年数:13.8年
  • 823万円

放送業界

  • 市場規模:3兆9339億円
  • 労働者数:8980人
  • 平均年齢:42.6歳
  • 平均勤続年数:13.4年
  • 平均年収:1139万円

出版業界

  • 市場規模:1兆8042億円
  • 労働者数:8638人
  • 平均年齢:42.4歳
  • 平均勤続年数:13.4年
  • 平均年収:771万円

広告業界

  • 市場規模:6兆1710億円
  • 労働者数:15294人
  • 平均年齢:35.0歳
  • 平均勤続年数:8.2年
  • 平均年収:739万円

マスコミ業界のなかでとくに目を引くのは、やはり放送業界の平均年収1139万円という数字です。後述する平均年収ランキング上位3位もそうですが、この業界は給与水準が他の業界と違っています。

これは、放送業界がそれだけ力を持っている(持っていた)ということを意味しています。つまり、長いあいだ、最強のメディアとして君臨していたのがテレビなのです。今は力に陰りが見えてしまっていますが、この給与水準はその時代の名残とも言えるのです。

仕事内容

新聞業界

政治、経済、国際問題、社会、生活、教育、文化、スポーツといった生活に関係するあらゆる分野を対象として記事を作るのが主な仕事になります。取材や編集という仕事だけではなく、紙面に掲載する広告を販売する営業もなくてはならない存在です。

放送業界

放送業界の仕事は、NHKや地上波民放キー局を中心に、制作会社と協力しながら放送番組を作っていくことが主になります。放送局の仕事は制作、報道、編成、営業などに分かれており、衛星放送などのイベントの仕事も増える傾向にあります。

出版業界

書籍や雑誌といった出版物の発行を行いますが、そのやり方は大手と中小で大きく変わります。大手出版社の場合は、営業、総務、経理、人事、制作、編集、校閲といった部署に分かれて細分化して本を作っていきます。中小の場合は、必要なのは営業と編集と経理くらいで、各自が仕事を掛け持ちすることが多いようです。

広告業界

広告の仕事の一番の目的は、広告主と人を結びつけることです。その業務範囲は、広告物を制作し、それをメディアに出稿することから、新商品の企画・開発、パッケージデザイン、イベントや展示会の主催、映画やアニメのプロデュース、アプリ開発、広告効果測定のための調査分析にまで及びます。

業界シェアランキング上位3位

1位:NHK:7547億円
2位:電通:7064億円
3位:読売新聞:6558億円

平均年収ランキング上位3位

1位:朝日放送:1518万円
2位:TBS:1509万円
3位:日本テレビ:1469万円

業界の動向

新聞業界

ニューヨーク・タイムズは2015年、デジタル購読者数が100万人の大台を突破したと発表しました。2011年より、ペイウォール方式(コンテンツを一部有料化し、対価を支払ったユーザーのみアクセスできるようにすること)を導入して購読者を増やしてきましたが、今では2020年までにデジタル版の売上を倍増(4億ドルから8億ドル)させる目標を掲げているとのことです。

こういったアメリカの動きと比べると、日本の新聞業界の動きは遅いです。デジタル版は紙面をそのままデジタル化というスタイルが採用されていますが、それもまだ一部の新聞社のみでの話で、業界全体ではマネタイズはほとんどできていないのが現状です。

放送業界

Hulu、Netflixなど外資系配信会社が日本に参入し、シェアを拡大しています。ビジネスモデルは定額制、無料見放題とさまざまですが、どのサービスもまだ模索している段階にあります。メリットはPC、スマートフォン、タブレット、テレビと、あらゆるデバイスで視聴できるところです。ただし、どこまでシェアを拡大できるかは未知数となっています。

出版業界

マンガを中心にスマートフォン、タブレット向けアプリの開発が進められています。基本的なサービスは無料で提供し、部分的に料金を課金するフリーミアム(Freemium)を採用しています。書籍の電子化も売上を伸ばしてはいますが、まだ大きな市場にはなっていません。

広告業界

2014年に市場規模が1兆円を超え、さまざまなメディアで注目を集めました。1996年の16億円市場からおよそ657倍もの規模に成長した計算になります。ここ20年のあいだのインターネットや携帯電話、スマートフォンの発展にともない、広告手法を進化することでその付加価値を増大させていったことがこの結果をもたらしたと考えられています。

市場動向

広告業界・放送業界ともに市場は緩やかな軌道ながら3年連続で拡大していますが、新聞・出版は依然として苦戦を強いられています。新聞業界は全国紙販売数は減少傾向にあり、2000年と2015年を比べると朝日、産経、日経、毎日、読売の計5紙で約400万部減少しています。出版業界は前年比5.3%減少し、ピークだった1996年より40%近く市場が縮小しています。

広告費という観点でマスコミ業界を見てみると、テレビ、新聞、雑誌、ラジオといったメディアすべてで広告費は減少しています。唯一、ネット広告費のみが前年比2ケタの伸びで増加しています。

業界の課題

変わりゆくメディアビジネス

インターネットが誕生する以前は、ニュースやトレンドなどの「情報」や、映像や音楽などの「コンテンツ」はすべてパッケージ化されて、流通・販売されていました。いわゆる、「情報やコンテンツ」には必ず「流通やインフラ」が付随するビジネスでした。

しかし、インターネットが新たなコミュニケーションの手段として急速に発展したことで、既存のメディアの盤石な構造が変化を余儀なくされてしまったのです。今では、モバイル環境でさえ大容量の「情報やコンテンツ」を伝送できるまでに進化しています。これは、「情報やコンテンツ」をそのまま「流通やインフラ」を使うことなく、データで伝送できることを意味しています。

これは、マスコミ業界も例外ではありません。業界全体でさまざまな対応をせまられています。新聞社では記事を大手ポータルサイトに提供する流れができました。出版社は専用ビューアを開発し雑誌や書籍、マンガを電子化してモバイルやタブレットで読めるようにして、インターネット上で利益を上げようと動いています。放送業界は、見逃し配信サービス「TVer(ティーバー)」を在京民放5社でスタートさせました。

そして、インターネット上では、新しいプレイヤーがデジタルならではのビジネスを次から次へと立ち上げています。Googleは検索ポータルとして一大広告企業になりました。Amazonや楽天はネットでショッピングモールを運営し、小売産業を激変させています。これらの企業の成功はインターネットがビジネスという領域における新しいフロンティアであることを証明したことになりますが、そのフロンティアから遠く離れた場所にあるのがマスコミ業界なのです。

マスコミ業界はいまだ、自分たちが保有する「情報やコンテンツ」とインターネットとを、融合させることに苦心しています。

業界の今後の将来性

再び導入期に戻せるか

人に寿命があるように、商品やビジネスにも寿命があります。これをプロダクトライフサイクルといい、市場参入から退出までを、導入期、成長期、成熟期、衰退期と、生命になぞらえて説明したものです。

現在、マスコミ業界は成熟期にあります。この成熟期においては、業界の再編や価格競争が起こります。この先に待ち構えているのは、業界が縮小する衰退期か、もしくは新たなサービスや市場を掘り起こし、再び導入期に戻すかの2択です。そして、ある程度市場が成熟すると、必ずと言っていいほど、異業種との化学反応が起きます。その結果、新たな市場が生まれます。

すべてを横断し、供給者と消費者、または消費者同士を直結していくインターネットが浸透した今、マスコミ業界も既存のビジネスモデルだけで展開していくことは困難になってきています。そして、今後、どのようなビジネス連携が起こり、驚くようなサービスが始まるかは誰にもわかっていないのです。

マスコミ業界としては、とうぜん、再び導入期に戻したいはずですし、マスコミ業界自体の力を考えれば、それは十分に可能なはずです。しかし、そうするには新たなサービスや市場を掘り起こす必要が出てきます。

つまり、結局はインターネットが鍵になります。インターネットの力で、化学反応を起こせるかどうかに未来はかかっています。化学反応を起こし、新たな市場を生みだすことができれば、業界も自ずと拡大するでしょう。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『池上彰・森達也のこれだけは知っておきたいマスコミの大問題』池上彰、森達也

日本のマスコミや報道についての対談集です。業界研究本ではありませんが、オウム真理教や従軍慰安婦問題についての考察が面白いのでピックアップしました。

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