【業界研究】広告業界の現状・動向・課題について

業界の現状

広告は、テレビ、新聞、電車の中、街中の看板、映画の予告編、そしてインターネットや携帯電話といった生活のありとあらゆる場所に存在しています。その広告を考案、制作し、テレビやインターネットといったメディアに掲出する役目を果たすのが広告業界です。

ただし、この広告業界ですがもともと寡占化の著しい業界として周知されています。トップは広告業界のガリバーとも呼ばれている電通。その巨大さは電通を語ることが日本の広告を語ることと言われているほどです。

第2位の博報堂も電通に勝るとも劣らない巨大な存在であり、業界では電博と称されています。そしてその後に、第3位のアサツー ディ・ケイ、大広、東急エージェンシーが続きます。シェアは電通だけで25%、上述した上位5社で市場の50%という寡占産業となっています。

基本情報

  • 市場規模:6兆1710億円
  • 労働者数:15,294人
  • 平均年齢:35.0歳
  • 平均勤続年数:8.2年
  • 平均年収:739万円

6兆円にも及ぶ市場規模と739万円という高水準の平均年収が目を引きますが、見所はそれだけではありません。広告業界の数字にはもう一つの見方があるのです。

それは広告費です(市場規模=総広告費)。景気が落ち込むと、企業は決まって3Kと呼ばれる「交通費」「交際費」「広告費」を抑制します。景気が良ければ広告費も増え、悪くなればとうぜん減少します。つまり広告費は景気の動向を映す鏡のようなものと考えられているのです。「日本の総広告費と国内総生産(GDP)の推移」を見ると、広告費と景気が密接に関係していることがわかります。

引用元:「2015年 日本の広告費

仕事内容

広告の仕事の一番の目的は、広告主と人を結びつけることです。その業務範囲は、広告物を制作し、それをメディアに出稿することから、新商品の企画・開発、パッケージデザイン、イベントや展示会の主催、映画やアニメのプロデュース、アプリ開発、広告効果測定のための調査分析にまで及びます。

商品を売る企業、政府、地方自治体、財団法人などといった様々な広告主のコミュニケーション活動を手伝い、取り仕切ることが広告マンの最大の使命になります。

最大手の電通や博報堂は「総合広告代理店」であり、マーケティングから営業、制作とあらゆる機能を備えていますが、中堅以下の広告会社のなかには制作やPRといった一つの業態のみに特化したものも多く、そういった会社を志望するのであれば、その会社がどのように特化して何を扱うのかまで調べておく必要があるでしょう。

業界シェアランキング上位3位

1位:電通:売上7064億円(営業利益1072億円)
2位:博報堂:売上8752億円(営業利益304億円)
3位:アサツー ディ・ケイ:売上3519億円(営業利益49億円)

平均年収ランキング上位3位

1位:電通:1271万円
2位:博報堂:1036万円
3位:アサツー ディ・ケイ:763万円

業界の動向

広告業界再編問題

近年の広告業界の特徴の一つに再編や統合が活発に行われていることが挙げられます。

アサツー ディ・ケイは1999年に旭通信社と第一企画という中堅同士が合併して発足した会社です。2008年には電通がネット広告大手のオプトへの出資比率を引き上げ、同じくネット広告大手のサイバー・コミュニケーションズを完全子会社化しています。

そして、そのなかでも最も規模が大きいものが、2002年の博報堂、大広、読売広告社による経営統合です。3社すべてを持ち株法人「博報堂DYホールディングス」傘下の子会社にしたうえで、各社が持っていたメディア部門を同系列の「博報堂DYメディアパートナーズ」に一本化し、3社そろって赤坂に移転しました。電通のある汐留と博報堂DYの赤坂は、今では広告界の2大拠点と言われています。

大手2社のロボット開発

リーマンショックや東日本大震災による不況で企業の広告費が削られるなかで、大手2社は従来と違うビジネスモデルを模索しています。

電通は2014年に電通ロボット推進センターを発足させ、人とロボットが共生していく社会の実現に向けて動きはじめました。博報堂もロボット事業に参入し、動きを楽しむロボットドール「iDoll」を発表するなど、両社とも既存の広告という枠におさまらない領域にまでビジネスを拡大しています。

これは、大手2社が従来通りのビジネスモデルでは生き残っていけないと十分に認識していることの現れでもあります。

プログラマティック広告の普及

ネット広告の増加と、スマートフォンの普及を受けて、プログラマティック広告取引も普及するようになりました。これは消費者のデータに基づいて対象を絞り、自動的に広告枠を買い付ける仕組みのことです。

これにより、広告主はいつでも好きな時に最小限の予算でデジタル媒体へ出稿し、見せたい広告を状況に応じてターゲットへ届けることが可能となりました。

広告会社がメディアの広告枠を手動で買い取って、売り、そしてマージンを得るという従来のやり方から脱却する方法として注目を浴びています。

市場動向

2015年の日本の総広告費は6兆1710億円で、なんとか6兆円のラインは維持することができましたが、前年比では微増という結果にとどまりました。2014年には、消費税増税前の駆け込み需要に加えてソチ冬季五輪やサッカーW杯ブラジル大会があり、その反動は大きかったと言わざるを得ない状況です。

ここ10年間の推移を見ても、2006年に7兆円あった日本の広告費は、2011年の東日本大震災を境に5.7兆円にまで下落し、その後は上昇はしていますが残念ながら微増にとどまっています。業種別に見ても、増加は21種類中、6種類のみにとどまり、趣味・スポーツ用品、自動車・関連品、飲料・嗜好品などの落ち込みが目立ちました。

その一方で好調だったのがインターネット広告です。2006年に0.5億円ほどの市場規模だったのが、2015年には1.2億円にまで成長し、2倍以上の伸びを見せています。スマートフォンの普及に加えて、プログラマティック広告といった新しい広告手法があったこともその成長を支えた一因となっています。

業界の課題

電通過労自殺問題

電通に入社した女性が2015年に過労自殺したことが大きな社会問題になりました。

電通という会社が日本を代表する会社であるだけにその衝撃は広告業界志望者だけではなく、日本社会全体に大きな衝撃をもって迎えられました。ただ、問題になったような就労の実態は広告業界全体で以前から指摘されてきたことでもあります。今回は電通が槍玉に挙げられましたが、そういった問題に対し、業界として改めて対応策を提示する必要があります。

インターネットの躍進

広告業界のなかで最も大きな課題となっているのが、急成長を遂げたインターネットと広告をどう融合させていくかということです。近年において広告会社の多くが再編や統合を行なったのも、それに対応するためと言っても過言ではありません。

テレビという最強のメディアが請求力を落とす一方で、インターネット市場は拡大を続けています。消費者という存在も変化し、消費者自身が情報を発信して消費の動向を左右するまでになっています。

インターネットを活用して消費者とのコミュニケーションをいかに取るのか、インターネットでの集客や販売はどうすればいいのか、SNSはどう使っていくべきなのか、広告業界は多様化する広告主のニーズに応えていかなくてはいけません。

業界の今後の将来性

鍵を握るのはオーディエンスデータ

オーディエンスデータというものがあります。これはインターネットを利用するユーザーの購買・行動履歴データのことを指します。このオーディエンスデータは、グーグルをはじめ何らかのネットサービスを行なっている企業やWebサイトならみな持っているものです。

広告主も自分のビジネスの範疇内において、顧客データ、会員データ、Webサイトへの訪問者というオーディエンスデータを保有しています。つまり、これは「マーケティング」です。とうぜんの事ながらこのマーケティングが、広告を掲出する理由、モノを売るための根拠となります。

しかし広告会社はこのオーディエンスデータを保有する立場にありません。広告主のビジネスを支援するなら、彼らが持っていないオーディエンスデータを保有し、提供できる立場になる必要があります。広告会社はマーケティング領域において、消費者のオーディエンスデータを整備しなければならないのです。

具体的に、広告会社が保持しなければいけないオーディエンスデータは以下の3点です。

  • 購買のデータ(オンラインとリアル店舗)
  • ソーシャルメディアのデータ
  • テレビ視聴記録のデータ

これらを広告主に提供できるようになったとき、広告会社の優位性は圧倒的に増加するでしょう。アマゾンやTポイントカードのように、こういったデータの取得システムを持てるかどうかが、これからの広告会社にとっての大きな鍵となります。これさえできれば、さらに市場の成長も見込めるはずです。

市場規模10兆円へ

日本の総広告費は約6兆円です。2015年度の日本のGDPが約500兆円なので、日本の広告費はGDPの約1.2%程度ということになります。広告先進国と呼ばれるアメリカではその比率が2%前後あることからも、広告の市場拡大の余地はまだまだ存在していると考えることができます。

GDPの2%。つまり10兆円です。

広告業界が時代の変化に対応し、オーディエンスデータを操ることができるようになってはじめて、市場規模10兆円への道が開けるのです。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『広告ビジネス次の10年』

業界研究のために書かれた本ではありませんが、今現在のインターネットを中心とした広告のあり方や考え方について深く掘り下げて書かれています。広告業界を目指す人は読んでおいて損はない1冊です。

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