【業界研究】ネット広告業界の現状・動向・課題について

業界の現状

2014年のインターネット広告(ネット広告)市場ははじめて1兆円を超え、それにともないたくさんの企業が参入しているのがこのネット広告業界になります。

インターネットにはさまざまなポータルサイトがあります。ニュース、天気、メール、検索辞書など、たくさんのサービスを集約して見られるようにしたものがポータルサイトですが、その情報やサービスはすべて無料で利用することができます。

では、ポータルサイトはどこから利益を出すのでしょうか。
答えは、ネット広告で収益を得るとなります。

サイト上に四角い画像を表示する「バナー広告」、利用者が検索した単語に関連する宣伝を表示する「検索連動型広告」、SNSなどのタイムラインに動画広告を埋め込んで再生する「インフィード広告」などがそのネット広告の主なものです。

「デジタル・アドバタイジング」「サイバーエージェント」「バリューコマース」「セプティーニ」「オプト」といった企業がネット広告業界の大手企業と呼ばれています。

基本情報

  • 市場規模:1兆1594億円
  • 労働者数:4290人
  • 平均年齢:31.2歳
  • 平均勤続年数:3.7年
  • 平均年収:524万円

労働者数4290人、平均年齢31.2歳、平均勤続年数3.7年という数字から、ネット広告業界ができて間もない若い業界であることがわかります。そして、市場規模の大きさと労働者数の少なさは、ネット広告業界がその市場規模をさらに拡大させていくことが可能であることを示しています。

仕事内容

ネット広告と名前がついているので、電通や博報堂といった広告代理店が扱っている広告のようなイメージを持ってしまいがちですが、ネット広告業界の広告と広告業界の広告は大きく違います。

広告業界の広告の場合、CMやコピーライティングといった仕事が主要業務の一つになりますが、それはコミュニケーションデザインとかブランディングとかと呼ばれるもので、それはネット広告の領域では一切必要とされていません。

ネット広告とは、ビジネスの進化やデジタル化していく過程において、ネットにおけるダイレクトレスポンスや投資対効果をより向上させ、精度を上げたもののことをいいます。

つまり、その業務は広告の「効果改善」業務が中心となるということです。複雑な計算式とA/Bテスト、さらに統計的な分析に基づいた分析作業がその効果改善業務のメイン作業になります。A/Bテストとは、インターネットマーケティングで行われる、施策判断のための試験の総称のことで、要は、ランディングページAとランディングページBを用意して、どちらがより成果をあげるかを比較するということです。

最近では、オートメーションや人工知能、高度なアルゴリズムの活用、オフライン接触の計測といった技術的にも進化した施策を実施している企業が多くなっています。

業界シェアランキング上位3位

1位:サイバーエージェント:2543億円
2位:デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム:1449億円
3位:セプティーニ・ホールディングス:645億円

平均年収ランキング上位3位

1位:サイバーエージェント:720万円
2位:デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム:574万円
3位:オプトホールディング:571万円

業界の動向

初の1兆円超え

市場規模が1兆円を超え、さまざまなメディアで注目を集めました。

1996年の16億円市場からおよそ657倍もの規模に成長した計算になります。ここ20年のあいだのインターネットや携帯電話、スマートフォンの発展にともない、広告手法を進化することでその付加価値を増大させていったことがこの結果をもたらしたと考えられています。

その広告手法の進化には、DSP(Demand Side Platform)という広告主からみた広告効果の最大化を図るシステムと、SSP(Supply Side Platform)という媒体側からみた広告効果の最大化を図るシステムの登場が挙げられます。

運用型広告

広告配信技術が大きく進化を遂げたのが2008年頃と言われていますが、そのなかでもとくに市場を大きく牽引しているのが運用型広告という領域になります。

運用型広告とは、高度に発達したアドテクノロジーをバックに、リアルタイム入札を経て広告枠の在庫適正化を実現させ、しかも消費者に対するターゲティング効率も向上させるというメリットを持った広告になります。

ただし、広告主は運用型広告取引の利便性や有用性を感じつつも、どのサイトに出稿されるか予測が難しいという側面もあって、既存の枠売り広告の価値を見出す動きが出てきているのも事実です。

つまり、価格は高くてもいいから良質な枠を予約という取引形態で確実に購入したいという需要が高まっており、それがPMP(Private Maket Place)という単価が高く良質な枠の登場をもたらす要因となっているのです。

市場動向

ネット広告業界は、スマートフォン市場の成長、動画広告、新しい技術を活用した広告配信が追い風となって1兆円の市場規模を超えました。とくに運用型広告の成長が目覚ましく、広告効果を図るSSPやDSPといった新しいプラットフォームも成長の一因になっています。

そのなかでも、スマートフォン広告市場は2014年で3450億円と推定され、ネット広告費の約30%を占めるようになりました。広告効果をモニタリングできるようになったことが広告主のニーズに合い、数字の伸びにつながりました。

東京オリンピックがある2020年には、スマートフォン広告市場は7000億円を超えると予想されています。

業界の課題

レッドオーシャン化の恐れ

1兆円の市場規模を超えたネット広告業界ですが、その上位企業のほとんどがこの市場全体の拡大に引っ張られる形で売上を伸ばしているため、何らかの変化でネット広告業界全体が一気に変容してしまうという危険性も存在しています。

そしてネット広告業界自体の好調を受けて、多数の企業が参入しており、市場がレッドオーシャン化(競争が激しくなること)する恐れも心配されています。

出稿業種がいつも同じ

2014年は、予約型広告に代表される枠売り広告が一般運用型広告に取って替わられるという動きになったものの、広告主が自社のブランドイメージを訴求する目的で活用する大型広告やリッチ型広告が目立って出稿されました。

ただし、このバナー広告の出稿業種は「IT業種」と「製造業」で全体の約半分を占めており、ここ数年その業種に変化がないとも指摘されています。

具体的には、ネット広告(バナーおよび動画広告)の出稿動向はIT業種623.0億円、製造業308.7億円、その他のサービス302.9億円、住宅・不動産168.5億円、メディア144.0億円、小売専門店125.5億円、金融・保険業92.7億円、その他66.5億円となっています。

つまり、いつも同じような企業の広告ばかりが表示され、広告主と消費者の双方にとってメリットのない状態になってしまっているので、もう少し幅広い業種に出稿してもらえるように改善していかなくてはいけないということになります。

業界の今後の将来性

動画配信サービスが根付くかどうか

ネット広告の進化にともなって、その媒体も変化するなか、2015年に地上波民放キー局が共同で開始した見逃し番組配信サービス「TVer」が注目を集めています。そして、Netflixも日本でサービスを開始しました。

インターネット動画の普及で、消費者の視聴がテレビの付加価値向上に結びついていくのかどうか、そういった流れのなかでネット広告が正確に機能するのかどうかが動画配信サービスの成功不成功を含めて、大きな鍵となっています。

企業のマーケティングに対応していけるか

日本の広告市場は約6兆円の規模であり、大別すると「マスコミ4媒体」「インターネット」「プロモーションメディア」の3カテゴリーで構成されています。企業の広告費に上限はあるので、結局この3つのカテゴリーのなかで分配しているだけに過ぎず、大きな伸びしろを見出すことが難しい状況であることは否定できません。

各企業が持つ多様化するマーケティングの課題を、ネット広告会社がさらに適切な手法で解決することができれば、企業の広告費の上限そのものを引き上げることも可能となり、そうすればネット広告業界全体でさらなる市場へ邁進することもできるようになるでしょう。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『ネット広告ハンドブック』

業界研究のために書かれた本ではないので内容は多少専門的になりますが、どうしても説明するのが難しいネット広告やネット広告業界の方法論を、できるだけわかりやすく解説しようと試みていますので、ネット広告業界を志望される方は読んでおくことをおすすめします。

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