【業界研究】自動車部品業界の現状・動向・課題について

自動車部品業界の現状

従来は個々の自動車部品サプライヤー(部品製造業者)が自動車完成車メーカーに対して必要な時に必要な部品をリアルタイムに供給する関係でした。

しかし、自動車完成車メーカーが個々の自動車部品の生産をコントロールするのと不具合が発生する度に自動車部品を個々に対応するのでは、自動車完成車メーカー側の生産管理、品質管理などの管理工数が莫大にかかります。

近年の自動車の電子制御化が進むこと、自動車を構成する部品点数が増大したことが原因です。

それにより、システムアッセンブリー(部品を組み上げて、機能を果たす状態に)、もしくはサブアッセンブリー(バラバラの部品ではなく、いくつかの部品が組み合わされた状態)の状態で、自動車部品サプライヤーから自動車生産ラインに納入されたほうが、自動車完成車メーカーの管理工数・費用削減にもなります。

それ故に、一次請けの自動車部品サプライヤーが、個々に自動車メーカーに納めてきた自動車部品サプライヤー全体をまとめ上げる時代へとシフトしてきました。

この時代の変化により自動車開発も、システムで企画提案できる一次請け自動車部品サプライヤーによるコンペ(競争入札)で、メーカーレイアウト(発注先決定)が決まる時代になりました。

従って、二次請け、三次請けとなることにより、中間管理費利益が乗ることから、低単価での物流量勝負となり、技術力と品質がものを言う時代となっています。

また、従来は自動車完成車メーカーの系列部品メーカーであれば流動性もなく安泰であったものが、自動車業界の再編を受けて、系列取引にとらわれない枠組みとなった事から、コスト、品質、技術力の面での高い技術力と競争力を求められています。

基本情報

  • 業界規模:25兆9,565億円
  • 労働者数:211,149人
  • 平均年齢:39.9歳
  • 平均勤続年数:15.5年
  • 平均年収:579万円

国内自動車部品メーカー89社統計

仕事内容に関しては、開発(製品開発、開発管理、生産技術)、生産(製造部門、生産管理)、購買品質(社内、市場)、管理(経理、総務、IT)と言った大きな区分けが出来ます。

製品開発

新規製品の開発はもちろんの事、現状、市場に出回っている製品の品質状況の監視と品質改良を行い、製品図面の改廃管理や開発スケジュールの進捗状況を管理します。また、生産技術は、新規製品の生産をする際に、製法の確立と生産品質の安定を目指して、設備や生産手法を開発する役目を担います。

生産

製造部門は、読んで字のごとく製品の製造を担う部門です。生産管理は、顧客の要求する製品を納期通りに希望する数量を納めるとともに、製造部門への生産製品の種類、生産数量、完成納期を伝え、購買に調達する部材を部材別、納期、数量を伝達する役目を担います。

購買

生産に必要な部材を、二次請けメーカーへ納期、数量を伝えて、製品生産に支障が出ないように調整、無論、価格折衝も実施します。

品質

社内と社外の2つに分かれますが、社内に関しては、社内の生産過程で発生した規格外の製品の解析を行い、開発・製造部門へ結果を伝え、改善を促す役目をはたします。また、市場品質(社外)に関しては、客先との情報の共有化により、社内と同様の役割を果たします。

また、先に述べた一次請けになると、ISOと言った国際的な標準規格を満たすのはもちろんの事、ISO/TS16949と言った自動車産業向けの品質マネジメントシステム(QMS:Quality Management System)をクリアし、さらに顧客である自動車完成車メーカー別の品質要求事項を満たす必要があります。

これを満たせない場合、市場がグローバル化していく中で、欧米完成車メーカーとの取引が出来なくなるので、品質マネジメントシステムを中心として、社内外への周知・徹底を施す責任があるのです。

最近では、自動車の電子制御化が進んでいることから、ISO26262(自動車の電気/電子に関する機能安全についての国際規格)なる自動車用機能安全規格が2011年11月に制定され、規格を標準化する動きがあります。

業界シェアランキング上位3位

業界シェアランキングは、世界販売台数一位となったトヨタ系の大手部品サプライヤー3社です。

1位:デンソー:4兆3087億円 15.8%

誰もが知っている、日本トップだけならぬ、自動車部品世界シェアNo.1企業。元々はトヨタ自動車の開発部門であり、トヨタグループに所属しています。

先進的な自動車技術を持ち、システム・製品を提供する、グローバルな自動車部品メーカーです。日本で唯一、ドイツのボッシュ、コンチネンタル、ZFの自動車部品3大メガサプライヤーに対抗できる、自動車部品システムサプライヤーです。

2位:アイシン精機:2兆9639億円 10.9%

トヨタグループの巨大自動車部品メーカー。日本国外メーカー、さらには日産自動車をはじめとして、日本国内自動車メーカー各社にも部品を供給しています。異色なのは、住生活関連、エネルギー関連にも事業を拡大していること。

3位:豊田自動織機:2兆1666億円 7.7%

言わずとも知れた、トヨタ自動車の親会社です。車両組み立てから、エンジン、カーエアコンコンプレッサー、自動車用電子部品・機器、プレス金型など、車両及び自動車関連製品の開発・生産を行っています。

現状3:平均年収ランキング上位3位

1位:IJTテクノロジーホールディングス 9024万円
2位:デンソー 846万円
3位:豊田自動織機 773万円

1位のIJTテクノロジーホールディングスは、いすゞ自動車の子会社であり、アイメタルテクノロジー、自動車部品工業株式会社、TDF株式会社の共同持株会社として設立されました。主に、得意先は商用車メーカーと建設機械メーカーです。

業界の動向

自動車部品の業界研究をしてみると、取引の変化にすぐに気が付きます。日本の自動車部品サプライヤーは、従来は系列での取引によりグループ単位で事業を拡大してきました。

しかし、今の主流は一時期自動車部品業界を震撼させた、系列枠を取り払った取引が拡大し、自動車完成車メーカーの新商品開発企画コンペに参入するチャンスを、多くの自動車部品サプライヤーが伺っているのです。

そうさせているのは、新興国の経済発展に伴う生活水準の向上により、市場のニーズがオートバイから自動車へシフトし、地域性に応じた商品(自動車)の投入が必要とされており、日本の自動車完成車メーカーだけでなく、各国の自動車完成車メーカーがシェア争いにしのぎを削っています。

フォルクスワーゲンを抜いてトヨタが世界販売台数一位になった事から、ドイツのメガ自動車部品サプライヤーたる、ボッシュ、コンチネンタル、ZFなどが、日本に研究拠点を構えました。

これらのサプライヤーは、日本の完成車メーカーへのシステム参入をはたし、更なる世界のシェア拡大をしようとする動きが高めており、技術競争の激化と、優秀な技術者の確保に拍車がかかっております。

市場動向

そんな最中、市場としては新興国市場のシェア争いを勝ち抜くため、自動車完成車メーカーは新興国の生活水準に応じた安価な車種を大量に生産したいと考えています。

その相反する要件をクリアするための最重要戦略が、自動車部品のモジュール化と睨んでおり、高級車から大衆車まで複数の車種で共通モジュールを利用すれば、大幅なコストダウンを図れる上に、市場ニーズに応じた完成車車種のバリエーションを増やしつつ、効率的に生産できるという相反した2つを両立できると睨んでいます。

この全世界的に展開する戦略を、メガプラットフォーム(※)戦略と呼ばれており、これにより自動車の共通モジュール(※)の供給規模は一気に拡大します。この拡大傾向にある流れは、良い事のように思えますが、自動車部品業界を一気に二分してしまう潮流となります。

※プラットフォーム:車の基本構成部分
※共通モジュール:基本単位、ユニットを言い、具体的には、エンジンや、前の駆動周り、後ろの駆動周り、コックピット、基幹電子制御装置

この潮流は業界研究をすでにした人なら分かるかと思いますが、自動車部品に関して、高い生産能力や資金力、開発力を持つデンソー、アイシン精機、ボッシュ、コンチネンタル、ZFなどのメガ自動車部品サプライヤーにとっては事業拡大のチャンスとなります。

しかし、生産能力や資金力、開発力の少ない中小の部品メーカーには厳しい環境となってきています。

中小の自動車部品サプライヤーの対抗策としては、資金力があれば海外進出を前提としたM&A(企業の合併や買収)や現地資本との事業連合により生産能力を高める方法、メガサプライヤーとの提携を進める方法、独自技術や品質に磨きをかけて小規模でも収益力の高い事業を志向する方法などが考えられていますが、これはあくまでも現状の化石燃料(ガソリン、軽油)を使った内燃機関に関して言えることです。

これからの時代は少なくとも、そのような潮流には向きません。その証拠に、日産が世に送り出した電気自動車主体の新形態のHV(ハイブリッド自動車)が、市場をすごい勢いで席巻しました。

業界の課題

自動車部品業界には、時代の裂け目と言うべきか、技術革新と言うべきか、適切な言葉が見当たりませんが、EV(電気自動車)やFCV(料電池自動車)など化石燃料に依存しない次世代自動車へのシフトが加速しつつあります。

これまでは、次世代自動車はエネルギー発生源を今までと異なるエネルギーに求めるせいで開発費が膨大になってしまっていました。

さらに販売台数を低めに見ていることと合わせて、販売価格がどうしても高額な設定になってしまう関係で、排ガス規制に厳しい先進国市場向けがメインになり、新興国では安価なエンジン車が一般的だという見解がほとんどでした。

しかし、中国やインドなどに代表する排ガスによる大気汚染や、世界的地球温暖化から、多くの新興国ではガソリン車の新車販売を規制する方向へ検討が進められています。

規制が進めばガソリン車から次世代自動車へのシフトが進み、ガソリンエンジンの燃料供給系部品や吸排気系部品のメーカーは、事業の存続が危ぶまれることになり、多くの自動車部品サプライヤーは技術移転やエレクトロニクスメーカーとの事業連携、M&Aなどを模索し始めています。

最近では高齢化の影響や運転者への負担軽減が叫ばれている上、トレンドが自動運転技術へと移行しつつあるために、業界分析するとエレクトロニクスメーカーが自動車部品サプライヤーとして今までのサプライヤーを席巻するのではないかと見られています。

業界の今後の将来性

自動車部品業界は、今後エレクトロニクス化が加速する事により、今まで化石燃料を使った燃料供給系システムを事業の柱にしてきた自動車部品サプライヤーや吸排気系のシステムを事業の柱としてきた自動車部品サプライヤーは、その製品自体が使われないという局面になってしまう可能生があります。

これを、いかにして現行の自動車部品を供給しながらエレクトロニクス化対応への舵取りを早急にとれるかが、生き残りをかけた勝負になってきます。

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いかがでしたでしょうか。

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