【業界研究】スポーツ用品業界の現状・動向・課題について

スポーツ用品業界の現状

2017年も3月に入り、いよいよ就活が解禁となって、各社が採用活動を始めました。就活生としては、まずは1社から内定を獲得して心に余裕を持ちたい、と考えている方が一般的には多いと思います。

しかし、応募する会社の業界研究はしっかり行えているでしょうか。業界研究を怠ると、入社後にイメージのギャップが埋められず、苦労する方が多いようです。ギャップを生まないためにも、ここでは志望されているスポーツ用品業界について、業界の現状をご説明します。

スポーツ用品業界は過去5年の市場規模の伸び率が約4%程度上昇しており、堅調に伸びている業界と言えます。糖質制限を行いながら筋力トレーニングをしたり、ランニングをしたりと、アクティブな趣味や健康志向が年々強まってきていることが背景にあります。それに伴って、関連するウェアやシューズ、専用グッズの売れ行きが伸びており、それが業界規模の拡大を後押ししています。

直近の業界の動向は明るい話題が多いですが、長期的な視点で見ると、日本の若年層の低収入化や少子化を起因として、ゴルフなどのお金の掛かるスポーツや団体競技を行う人口が減少してきています。

そのため、今後の内需縮小傾向を睨んで海外の販路を拡販していこうと、国内のスポーツ用品業界は各社がしのぎを削っています。実際にアシックスやミズノなどのトップメーカーは積極的に海外展開を行ってきており、欧米やアジアに店舗展開することで、海外における売上比率を伸ばしています。

しかし、海外にはアディダスやナイキなどのビックブランドの存在があったり、アンダーアーマーなどの近年ブランディングに成功して存在感を高めているメーカーがあります。日本のメーカーが世界で更に飛躍するには、このようなブランドメーカーといかに戦っていくかが、課題となってきています。

基本情報

業界研究を行う上で、スポーツ用品業界の基礎的な情報をここでご案内します。スポーツ用品業界の市場規模は、9,218億円になります。この業界に従事している労働者数は8,685人で、40.6歳が平均年齢、平均勤続年数は15年となります。物販の色が強いため、市場規模に対する労働者の数は他の業界と比較して、少し多い傾向にあります。

この業界で働いている人たちは、スポーツ用品ということもあって若い人が多いイメージがありますが、実際の数字を見ても若い人が多く働いていることが分かります。気になる平均年収は585万円です。スポーツ用品は粗利率がそれほど高い業界ではないので、特別高いお給料をもらえるわけではありません。ただ、日本人の平均年収は510万円ほどなので、平均よりは少し多めに給料がもらえる業界と言えます。

スポーツ用品業界と一括りに話をしてきていますが、この業界は大きく2つのプレーヤーに分けることができます。1つめは、スポーツ用品を作るアシックスやミズノなどのメーカーです。2つめは、メーカーが作った用品を売るゼビオやアルペンなどのスポーツ用品専門店です。
※スポーツ用品専門店は、正確には小売り業界に属しますが、メーカーとの密接な関係があるため、一緒に解説をします。

この業界の仕事内容は、メーカー側の場合、用品の製造をしたり新商品の企画やデザインをしたり、完成した製品をスポーツ用品専門店に卸したりする仕事が主になります。その他にも、メーカーはCMを出したり競技場で看板を掲げたりして、スポンサー活動をしています。スポンサーになることでブランドの認知度を高めたり、新商品のPRをするので、マーケティングも非常に重要な仕事になってきます。

自社商品をもっと色々な人に使ってもらうために商品を販売するのか、新しい商品を開発するために企画やデザインを考えたいのか、もしくはそのような商品を製造する現場で働きたいのか、メーカーには様々な部門があるので、どの業界でも言えることですがご自身がどのような仕事をしたいのか、仕事内容を見極める必要があります。

スポーツ用品専門店の場合は、メーカーで作られた商品をいかに消費者に購入してもらうか、ということが一番大きな仕事になります。店舗でたくさんのお客様に商品を売るために、メーカーごとの特色を出したり、購買意欲を高めるようなディスプレイをしたり、様々な工夫をして営業活動をしています。

スポーツ用品専門店には様々なスポーツをする人達が来店するので、直接ユーザーの生の声を聞くことができます。売れる商品と売れない商品の特徴や、ユーザーの興味関心、最新動向などの情報を集めることができるので、それをメーカーに伝えて、より売れる商品にするための改善要求なども行っています。

業界シェアランキング上位3位

スポーツ用品業界のシェアランキングは、以下のような順位になっています。

1位:アシックス 35.8%
2位:ミズノ 19.9%
3位:デサント 11.9%

やはり知名度の高いアシックスが高シェアを獲得しています。
売上高も約4000億円と、他のメーカーと比較すると頭一つ抜けている存在になっています。

上記は国内だけのシェアですが、世界シェアで見てみるとこのようになります。

1位:ナイキ
2位:アディダス
3位:ザ・ノース・フェイス

世界のシェアTOP3は、全てアメリカのメーカーで独占状態となります。日本が誇るアシックスが世界の中で何位かと言うと、第7位にランクインしていて、何とか10位以内の座を獲得しているという状況です。

ナイキは約3兆5000億円もの売上がありますが、アシックスは約4000億円にとどまります。世界ランクの10位以内に入っていたとしても、1位のナイキとは雲泥の差があると言えるでしょう。

平均年収ランキング上位3位

スポーツ用品業界の平均年収ランキングは以下の通りとなっています。

1位:シマノ(813万円)
2位:ダンロップスポーツ(689万円)
3位:アシックス(674万円)

このランキングを見て少し驚かれる方が多いのではないでしょうか。1位のシマノは釣り具のメーカーになりますが、シェアはランク外なのに、年収はダントツで高くなっています。釣りというのは立派なスポーツの1種で、海外では釣った魚の大きさを競ったりする様々な大会が開催されています。その大会で優勝するとかなりの額をもらえるので、釣りをプロの仕事として生活している人も多くいます。

釣り具の竿やリールは、ピンからキリまで様々なラインナップがありますが、凝れば凝るほど高価なものが必要になったり、欲しくなるスポーツです。そのため、一度ウェアを揃えてしまえば当分買い足す必要のないフィットネスなどとは異なり、商品の販売単価が高い分、労働者の給料も高く設定されています。

また、2位のダンロップスポーツもあまり耳にしない方が多いのではないでしょうか。ダンロップスポーツは、主にゴルフやテニスの用品を販売しています。ゴルフやテニスは競技人口が減ってきているとは言え、根強いファンやプレーヤーがいるので、関連商品は売れ続けています。ゴルフはお金の掛かる代表的なスポーツとも言えますが、釣りと同様で凝るほどに高価な用品が欲しくなります。よって、シマノと同じように労働者の年収が高く設定されています。

市場動向

オリンピックという一大イベントが2020年に東京で開催されることで、その波及効果としてスポーツ用品業界は盛り上がりを見せています。さらに、スポーツ用品業界は時代のニーズともいえるファッション性を高めることに成功し、若者を中心にスポーツ用品アイテムを普段着のファッションに取り入れる傾向が年々増加しています。

ファッション面だけでなく、スポーツ用品はITとの親和性が高いため、業界全体でITとの掛け合わせを行うことによって、新しいサービスを次々と生み出しています。このような従来の価値観や枠組みから一歩抜け出し、新しい分野へと進出を推進しているスポーツ用品業界は、マイナス要因よりもプラス要因の方が多く、今後の伸びしろのある業界と言えるでしょう。

業界の課題

昨今のフィットネス、ランニング、アウトドアなどのアクティブな趣味や健康志向を背景に、スポーツ用品業界はこれからも業界は微増ながらも拡大してくことが予想されいます。

しかし、ブームに乗じて内需に甘えていると、業界全体が沈んでいくことは火を見るよりも明らかです。人口減少、高齢化に直面している日本のマーケットだけを頼りにはできず、より積極的に海外に目を向けて展開をしていく必要があります。

日本のメーカーはブランディング力が弱いので、海外でどのようなPRをして、良さを打ち出していくかが課題として掲げられています。商品の質としては日本ブランドだけあって非常に良いものを作っているのですが、デザインやサービスがローカライズできていません。

また、マーケティング力が弱いため、顧客に適切なアプローチができていないメーカーが多くあります。市場を海外に求め、いかに世界の有名ブランドと勝負していくかが今後の課題となっています。

業界の今後の将来性

スポーツ用品業界の売上自体は堅調に伸びてきているので、直近の将来性は明るい業界と言えます。欧米では前々から習慣として取り入れている方が多いフィットネスも、日本で盛り上がりを見せてきているので、それに付随して用品の売上もあがり、業界の規模は微増していく傾向が見られます。

しかし、ランニング、筋力トレーニング、ヨガなどのフィットネスは、簡単に始められる分、すぐに飽きてやめてしまう人も多いのが現状です。これまではフィットネスを始めた人に対して、継続させて習慣までにさせるための仕組みが不足していましたが、スポーツ用品をIT化させることによって、飛躍的に改善がされてきています。

例えば、スマートウォッチを展開しているエプソンや海外メーカーのガーミンなどは、ランニングの軌跡をGPSを利用してレコーディングし、その内容をスマホと連携させることによって走り続けるモチベーション維持をランナーに提供しています。

このランニングウォッチでは、走行距離、1Kmごとのペース、心拍数、消費カロリー、ステップ数、上下運動幅などなど、様々な数値をレコーディングして、スマホで見ることができます。また、仲の良い友達とレコーディングした数字をシェアできるようになっているので、お互いを励ましあったり、モチベーションを高めあって、フィットネスを継続的に行わせる仕掛けを色々とリリースしているのです。

インドをはじめとした多くの人口を抱えるアジア諸国は、これまで後進国と呼ばれる国でしたが、これからは経済成長を遂げて先進国の仲間入りをしてきます。
そういった国々が、ある程度裕福に暮らせるようになると、健康志向が高まり、運動に目を向ける人が増えます。

欧米とは比較にならない人口が運動を始めることを考慮すると、このスポーツ用品業界はますますチャンスの広がる業界と言えます。

これまでのスポーツ用品業界は、物販とスポンサー活動がメインの事業でしたが、ITなどのテクノロジーと掛け合わせることによって、新しい分野の開拓をしています。また、先細りが顕著な内需を頼りにせず、海外に積極的に打って出ているメーカーも多く、今後の展開が楽しみな業界と言えます。

おすすめの業界研究本

スポーツ用品業界を志望する就活生にとって、業界研究に役立つ書籍のご紹介をします。業界の事情が把握できるものから、スポーツ用品業界はいかにブランディングが大切かが分かるものまでありますので、是非参考にしてみてください。

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