【業界研究】農林水産業界の現状・動向・課題について

業界の現状

農林水産業とは何か

水産業と農林業をまとめて農林水産業といいます。農林水産業とは人々の生活に必要な食料や木材を生産する仕事のことで、総務省の「日本標準産業分類」では、第一次産業として分類されています。

ちなみに日本標準産業分類では農林水産業を第一次産業、製造業・鉱業を第二次産業、それ以外の広義のサービス業を第三次産業と定義しています。

では次に、水産業と農林業を個別にみていきましょう。

水産業

水産業は漁業と水産加工業に分けることができます。

漁業

海、河川、湖沼などの漁場において自然繁殖している水産動植物を採捕する事業のことです。また、漁場に人工的設備を施し、水産動植物を移植・放苗・育成することで集中的に生産する事業も漁業に含まれます。

水産加工業

水産缶詰・瓶詰、海藻、練製品、塩干・塩蔵品、冷凍品などを製造する事業のことです。日本は地理的な好条件も重なり多種多様な魚介類に恵まれてきましたが、冷蔵・冷凍技術が一般家庭に普及したのは20世紀半ばのことであり、そのため大量に水揚げされた水産物を保存するためにさまざまな加工技術が生まれました。

農林業

農林業は農業と林業の2つから構成されています。

農業

米、麦、野菜、果物、花といった農作物を育てる事業のことです。また、家畜を飼育して、乳製品、肉、卵、皮革などの畜産物を得る事業も農業に含まれます。

林業

木材やきのこを生産する事業のことです。近年の日本における木材ときのこの産出額は約50:50前後の数値で推移しています。

水産業、農林業ともにさまざまな資源を扱いますが、共通点は自然から直接資源を採取するというところです。つまり、これが第一次産業の特徴となります。

基本情報

  • 市場規模:10兆3,036億円
  • 労働者数:5,218人
  • 平均年齢:39.3歳
  • 平均勤続年数:12.1年
  • 平均年収:516万円

目につくのはやはり平均年収の516万円という数字でしょうか。日本の給与水準を上回ってはいるものの決して多いとはいえないその金額は、どう評価すればいいのか少しばかり悩むところではあります。

仕事量が多いため休む暇がないという声もあれば、自分のペースで自分のやりたいように仕事ができるという声もあり、要は好きな人じゃないと続けられない仕事といえるのかもしれません。ただ政府が食料自給率向上に向けた取組を推進しているため、市場規模をはじめとする数字はまだまだ伸びる可能性があります。

仕事内容

水産業界・農林業界においては各々の業界で仕事内容や就業形態が変わってきますが、自然と向き合うという点では同じです。もちろん自然を相手にする仕事だけに簡単なものとはなりません。ただ水産業・農林業の仕事は日本の食を支える重要な役割を担っていることは間違いなく、それだけにやりがいのある仕事ということができるでしょう。

水産業界に就業する場合

全国漁業就業者確保育成センターのウェブサイト(漁師.jp)に水産業へ就業するための情報が載っていますので、まずそちらに目を通してみましょう。漁師.jpには、漁業就業セミナーや漁業就業支援フェア、漁業体験等の情報が掲載されているだけではなく求人情報も掲載されていますので、水産業界を志望される方は是非活用してみてください。

農林業界に就業する場合

まず、全国及び各都道府県「新規就農相談センター」の相談窓口を訪ねて、情報の収集をするところからはじめましょう。相談センターでは、就業相談会から農林業に関する情報提供を行なっているほか、農業体験や農場見学ツアーも実施していますので興味のある方は積極的に参加してみることをおすすめします。

また、「日本農業法人協会」のウェブサイトに農業法人へのインターン(就業体験)の情報が掲載されていますのでこちらも合わせて参考にしてください。

業界シェアランキング上位3位

1位:マルハニチロホールディングス:8,517億円
2位:日本水産:6,042億円
3位:極洋:2,023億円

平均年収ランキング上位3位

1位:日本水産:764万円
2位:マルハニチロホールディングス:755万円
3位:極洋:670万円

業界の動向

農林業界で企業の新規参入が続く

2009年の農地法改正により全国どこでも農地の借り入れが可能となり、企業による農業参入が相次いでいます。農林水産省によると、2015年末時点で農業に参入した一般法人は2,039社で、改正前の約5倍のペースで増加していることになります。

以下、農業に新規参入した企業をいくつかピックアップしてみました。

イオン

子会社のイオンアグリ創造が農地バンクと契約し、埼玉県羽生市でコメの栽培を開始。その後全国に15カ所、合計230ヘクタールの農場を展開し、野菜や果物の生産を行なっています。

伊藤園

緑茶飲料の原料である茶葉の安定調達を目指し、熊本県の農業法人に出資。今後も積極的に茶葉生産業者への出資を検討しているとのことです。

クボタ

農業機械大手のクボタは農業法人の全国展開を進めています。2015年に第1弾として新潟で輸出米を作る法人を設立し、2019年までに各地域と連携して法人を15社まで増やす予定となっています。

三井物産

北海道の農業ベンチャー企業と共同で機能性野菜の生産販売を開始。野菜の種類はタマネギで、血糖値を整える効果があるとされています。

シダックス

給食受託のシダックスは本格的に農業に参入し、千葉県の農場で野菜の生産をはじめました。受託先の社員食堂を中心に農場で収穫した野菜を提供する計画となっています。

モスフードサービス

農業法人サングレイスに出資し、2015年からトマト栽培の効率化に取り組んでいます。同社がこだわっているのは糖度で、高品質のトマトを安定して調達したいという意向を持っています。

水産業界は訪日外国人観光客に人気

近年、日本を訪れる外国人観光客が増えています。2015年には前年の約2倍となる約2,000万人の外国人観光客が訪れました。

観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によれば、訪日外国人の26%が日本食を楽しみに来日しています。そして実際に日本に来て満足した食事を訪ねると寿司や魚料理と答えた人が合わせて34%となっており、寿司を中心とした水産物が訪日外国人の強い関心を集めていることがわかります。

また、漁村やその伝統文化も外国人観光客をひきつける有力なコンテンツとなっています。訪日外国人のなかには、次回以降の訪日で漁村を含めた自然豊かな地方を訪れたいと答えた人が15%も存在しており、漁村やその文化に観光スポットとしてのポテンシャルがあることを示しています。

市場動向

水産業界の市場規模は1兆5,057億円

水産庁の「水産白書」によると、2014年の漁業・養殖業生産額は1兆5,057億円で前年比4.4%の増加となりました。これは、海面漁業・養殖業と内水面漁業・養殖業がともに増加したことが要因となっています。

主要部門別に生産額をみると、海面漁業は9,693億円で同2.2%増、海面養殖業は4,435億円で同8.4%増、内水面漁業・養殖業は929億円で同7.9%増となりました。

農林業界の市場規模は8兆7,979億円

農林水産省の「農林水産統計」によると、2015年の農業総産出額は8兆7,979億円で前年比5.2%の増加となりました。これは、畜産、野菜、米等の各部門において農産物価格が上昇し産出額が増加したためです。

主要部門別に構成割合をみると、畜産は3兆1,179億円で農業総産額の35.4%を占め、次いで野菜が2兆3,916億円で同27.2%、米が1兆4,994億円で同17.0%を占めています。

業界の課題

難航する6次産業化法

政府は2011年に六次産業化法を施工し、第一次産業の高付加価値化を推進しています。

これは、水産業界・農林業界(第一次産業)の事業者が自ら、加工(第二次産業)、流通・販売(第三次産業)を手がけることで六次産業となる(1+2+3)という新しいビジネスモデルを提唱する法律です。ただ、官民一体となって取り組もうとはしているものの成功した事業者がほとんど存在せず、苦しい状況になっているのが現状です。

その原因としては、第一次産業の事業者が高付加価値を狙って第二次産業、第三次産業へと進むのは不慣れなゆえに時間やコストがかかり、かえって効率が悪くなることが挙げられます。結局は本業の第一次産業に特化した方が収益化しやすいという矛盾も表面化しており、六次産業化法自体の見直しも含めて検討しなければならない段階にきています。

業界の今後の将来性

日本食文化の発信とともに水産物の輸出拡大を

地球温暖化による水産資源の減少、日本周辺水域における近隣諸国との摩擦、人口減少による国内消費の低下など、現在の水産業を取り巻く環境は厳しいものとなっています。ただ、こういった問題は事業者のみでは解決できないものであることも事実で、政府を中心に水産業界をあげて取り組んでいく必要があります。

また、業界の市場規模をさらに拡大するには、国内市場と比較しても規模の大きい世界市場に目を向ける必要があり、国際社会への日本食文化の発信とともに水産物の輸出拡大も図っていかなくてはなりません。

政府の農業改革施策に期待

農林業には、狭い農地面積、就業人口の減少、高齢化による後継者不足、耕作放棄地の拡大といった問題があります。政府はそういった状況のなかで、農業ビジネスを推進させ、生産性を高めるために、農地改革や農協改革をはじめとするさまざまな規制改革に取り組んでおり、農林業界は今大きな転換ポイントを迎えています。

前述した6次産業化法にしても現段階では決して上手くいっているとはいえないものの、その施行による流れのなかで多くの農業参入法人を獲得したことは間違いなく、今後は経営の多角化、規模拡大を課題にしながら、農林業界全体で新しい農林業のビジョンを示していくことが重要となるでしょう。

おすすめの業界研究本

『日経業界地図 2017年版』日本経済新聞社

日本経済新聞社の記者が徹底取材をして、日本の180業界の最新動向や課題、将来の見通しを解説しています。企業間の相関図、企業・製品のシェア、業界のトレンドを示す表やグラフがビジュアライズされており、業界のことが一目でわかるようになっています。業界研究をするにはまず目を通しておきたい1冊です。

『会社四季報 2017年 2集春号』東洋経済新報社

国内の全上場企業の業績予想を中心に、所在地から財務情報まで、会社のことを知るのに欠かせない情報をまとめたハンドブックです。就職活動における業界研究から、株式投資といったビジネスユースに至るまで幅広く使えるのが人気の理由です。

『キレイゴトぬきの農業論』久松達央

サラリーマンをやっていた著者が脱サラして農家となり、培った経験を言葉に変えて出版したものです。センスもなければガッツもないし、努力家でもないと自分を評価する著者ですが、その農業理論は極めて論理的かつ科学的根拠に基づいたもので、農業関係者じゃなくても勉強になる内容となっています。

純粋な業界研究本というわけではありませんが、水産業界・農林業界を目指す方々は目を通してみることをおすすめします。

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